第6話 素晴らしい日々


孝が雪乃と一緒に帰った。

私は無事に部活動を終えてから帰宅をする。

それから私は考え込む。

孝の誕生日プレゼントをどうしようかな、と思いながら、だ。


県外から孝が帰って来てから一緒に過ごし。

丁度...半年近くとなる。

去年は孝は居なかったから...久々の誕生日プレゼントとなる。

悪夢の様な日々を6か月前まで送っていた。

どういう悪夢かといえば至極単純。


孝が居ないから、だ。


だからこそ孝が帰って来るとなって私の心は更に揺れ動いた。

そして雪乃と一緒に喜んだ。

本当に嬉しかったから、である。

もう二度と孝を失ってはならない。

そういう思いで...居る。


そう考えながら私は部屋に戻る。

それから私は机の上に置かれている写真を見る。

アルバムを見る。

正直、思い出したくない悪夢だ。

孝が居ないなどは。


「...」


そんな孝と再会して私は孝の家によく遊びに行っている。

それからじゃれ合い私に微笑んでくれている。

その中で私の中にとある感情が芽生えて始めていた。

それは孝を見る度に何だか胸が高鳴るのだ。

正直、何でこの感情が生まれるのかは分からないが。


「やれやれだね」


そう言いながら私は孝の事を考える。

それから私はアルバムの表紙に手を添える。

そして撫でた。

孝を見る度にこの感情では...何だか。

考えながら私は溜息を吐いた。


そして私は椅子に腰掛ける。

伸びをしてからそのまま私は目の前を見る。

教科書を取ってから読もうと思った。

だけど全く集中出来そうにない。

何故...こんな事に。


「...分かった。モヤモヤするんだ」


多分それだと思う。

雪乃が孝と一緒に居るのが結構...モヤモヤする。

何でか分からない。

だけどモヤモヤするのだ。

だからまあ集中できないのであるが。


「...うーん」


私は顔を上げてからスマホを見る。

それから電話を掛けてみる。

孝の電話に。

すると直ぐに孝が出た。


「おう」

「...孝?家に帰った?」

「おう。帰ったよ。...どうした?声に覇気が無いぞ?」

「え?あ...そ、そうかな」

「ああ。いつもならお前かなり元気だからさ」


孝は凄いと思う人だ。

こういう所は一発で見抜く。

そして気を遣ってくれる。

正直、孝と一緒だと心が穏やかになる。


「ゆ、雪乃とは別れたの?」

「先に帰ってしまったな。雪乃は。...んで俺はゆっくり帰って来て着替えて今だな」

「そ、そっか」

「なあ」

「は、はい」

「...はい?」

「な、何。孝」

「はいって何だよ。お前らしくない。敬語使うとか」

「もー。それ何。私が先生とかに敬語使ってない様な感じじゃない」


私は心を和ませながら椅子で回転した。

それから私は孝とお喋りする。

その中で明日の予定の事になった。


「なあ。明日もし暇だったら雪乃と一緒にどっか行かないか」

「え?何処に?」

「水族館とか?」

「...良いね。久々に!」

「おう。お前好きだもんな。魚」

「そうだね。私...魚は名前は分からないけど独特だって思うし」

「ハハハ。珍しいよな。魚が好きな女子高生って」

「もー」


心臓がバクバクする。

私はそう考えながらはやる気持ちを抑えながら明日の予定確認の為にカレンダーを見てみる。

そこには何の予定も無かった。

電話口に戻る。


「明日は予定が空いてる」

「ああ。そうなんだな。じゃあ一緒に出掛けようか」

「そうだね。3人で一緒に遊ぼう」

「だな」


そして私は明日の予定に丸を付ける。

それから孝の電話を切ってからそのまま鼻歌交じりでその予定表を何回も確認しながら笑みを溢した。

明日という日が早く来ないかな。

そう思いながら。


「えへへ」


それから私は早く寝る為に準備を始める。

そして私は早めにその日は寝た。



良かった。

アイツの予定が空いていた。

最悪の場合、また別の週にしようと思ったのだが。

だけどテストも有るしな。

行くなら今週だ。


「ふあぁ」


俺は大欠伸をしながら...座ったまま目を閉じる。

それからふと...思い出す。

それはもう会えない幼馴染の菅山春海(すがやまはるみ)を。

どこに行ったかも分からない。

当時、俺達は幼かったからスマホを持つ訳にもいかない。


「...悲しいもんだな」


春海にもう会えないというのが何だか心を締め付ける。

あくまで俺達は...3人で1つだったから。

だから1つでも欠けるとそれはかなりの痛手だ。

そうだな。

ジグソーパズルの最後のピースが見つからない感じの痛みがある。


「...春海。元気だったら良いけどな」


俺はそう呟きながら窓から空を見上げる。

それから息を吸ってから吐く。

そして俺は頬を叩いた。

そうしてから勉強を始める。


「...嘆き悲しんでいてもどうしようもねぇよな」


そんな感じで呟く。

それから俺はもう一度頬を叩いてからそのまま勉強をし始めた。

そんな感じで時間が過ぎて行った翌日の事。

飛び上がった。



『たっくん。大好き。将来結婚してね』


「おはよう。孝くん」

「...お、おう。お前が起こしに来るとは」

「えへへ」


そこにその栗毛色の髪の毛をツインテールにしている雪乃が居た。

俺を見ながら微笑んでいる。

とても可愛らしい服装だ...っていうか俺を至近距離から見つめている。

キスがもう少しで出来そうなぐらい。


「お、おい。近いぞ顔が」

「あ、ご、ゴメン。こうして見つめるの新鮮だから」

「お、おう」


そして俺は頬を掻く。

すると飛び退いた雪乃をよく見るとエプロン姿だった。

俺は?を浮かべて見る。


「どうした?雪乃。珍しいじゃないかエプロンなんて」

「うん。実はね。ずっと...お料理の練習をしていたの」

「え?何でだ?」

「それは私の料理がマズいから」

「...そんな事無いぞ。でも偉いじゃないか」

「将来はね。私、場面緘黙症を治したいの」


正直。

場面緘黙症...治ると思って居るしな俺も。

俺はそう思いながら考える。

うん?今日は...夏花はどうした。


「夏花は?」

「あ、準備で忙しいって。だから許可を貰って私が来た」

「やれやれ。おばさんめ」

「...良い人だね。あの人」

「...完全に俺の親代わりだしな」


それから俺は雪乃を見る。

雪乃はニコニコしながら小動物の様に俺を見ている。

俺はその姿を見ながらふっと笑みを浮かべながら起き上がる。

それから雪乃の頭を撫でる。


「...有難う。雪乃」


しかしまぁ何というか何か重要な夢を見た気がする。

だけどもう忘れた。

それならそれで良いか。

今が楽しければな。

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(幼馴染)とお付き合いするまでの話 アキノリ@pokkey11.1 @tanakasaburou

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