第2話

「……そっかぁ


秀ちゃん彼女、居たんだね?」


「おう!


可愛い俺の自慢の彼女が居ますとも」




照れくさそうに笑いながら、秀ちゃんは言う


その言葉に俺がどれだけ傷ついているかも知らず


まぁ、それを知られても困るんだけど…




「…ラブラブなの?」


「ちょーラブラブ!


あきらは彼女作んねーの?」




無邪気な秀ちゃんの問いが俺の心をえぐる


女性を好きになったことのない俺が、彼女なんて一生出来る気がしないよ




「んー…


俺の趣味、理解してくれる子が居るかなぁ?」


「趣味?」


「うん


今日もそうだけど、休みの日にデパートとかおっきいお店をぶらぶらして、疲れたらなんか飲みながら人間観察するの


楽しいよ」


「へぇ~、あきららしい趣味だな!


理解してくれる子が居たら良いなぁー」




最初はきょとんとしていた秀ちゃんは、そう言って笑う


その笑顔に、その言葉に俺の胸はきゅんと締め付けられる


友人にも理解されなかった俺の趣味を、俺らしいと言ってくれる彼の優しさに、俺は惚れたんだ


あぁ、やっぱり俺は秀ちゃんが好きだなぁ…




「あ、俺もしかして今あきらの趣味邪魔しちゃってる?」


「え…?


そんなことないよ」




秀ちゃんの突然の質問にクエスチョンマークを飛ばしつつ否定する


特に邪魔されたとは思っていない


秀ちゃんは良かったとホッとした顔で言葉を紡ぐ




「じゃぁさ、彼女への誕プレ選ぶの付き合って」


「………え?」


「いやさ、女性用のショップ入るの俺1人だけだとすっげぇ入りずらいからさー、一緒に来て?


俺の道連れになって!」




まさか、のお誘いだった


好きな人の彼女の誕プレ選び


普通に考えて、そんなことしたくない


………でも、この恋は叶うことのないものだと分かっていた


だから秀ちゃんに会わないように、離れていたのだけれども


それでも、この恋心は未だに秀ちゃんの一挙手一投足に一喜一憂して燻ったままなのだ


いい加減、この恋心に終止符を打つべきではないだろうか…?


秀ちゃんがどれだけ彼女のことを好きなのか、聞いていたらもしかしたら諦めがつくのではないだろうか?




「……分かった、良いよ


ただし、貸し1つね」


「あきらーー!


ありがとーー!」




とても嬉しそうな秀ちゃんの笑顔に、俺もつられて笑ってしまう


きっと秀ちゃんは彼女のことが本当に大事で、大好きなんだ


だから、俺の入る隙間なんてものはなくて


この恋も諦められる


秀ちゃんの友達として、これからも付き合っていける


さようなら、俺の初恋


俺は秀ちゃんが大好きでした

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ハツコイ 葉月 @hazuki_0123

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ