第13話
今日の実家訪問は、特に何か言われることもなく母親に受諾された
それに少しホッとしつつ、実家へ持っていく本をより分ける作業を始める
基本的に俺が実家へ持って帰る本は、読了済みで近いうちに読む予定のない本だ
とはいっても、そのような本はあまりないわけで、うんうんと悩みつつも本を選ぶ
これは面白かったからまたじっくり読み返したいし、こっちは今後何かに使うかもしれないし…
そうやって厳選に厳選を重ねて、実家に持っていく本をやっと一段分選び終わったのは、始めてから3時間後のことだった
想像以上に時間がかかってしまった
一応ぼんやりと考えていた予定では1時間くらいで選ぶはずだったのに…
…まぁ、過ぎたことを考えても仕方はないか
とりあえず俺は選び終わった本を傷つけないように布でくるみながらキャリーケースに入れる
実家から電車で5つほど駅を挟むし、実家から実家の最寄り駅まで徒歩30分近い距離があるのだ
その距離をハンドバッグだけでこの量の本を持って移動しようとは到底思えない
キャリーケースだとちょっと幅を取るが、段差や階段がない限りそこまで重量を感じずに持ち運べるので、実家との往復にはとても重宝している
本を丁寧にキャリーケースに入れ込み終わると、部屋を簡単に片づけて家を出る
鍵をかけるときに思い出し、家を出た旨を母親に連絡しておいた
いつ家を出たかなどを連絡しておくと、着く頃にお茶など準備してくれていることが多いため、なるべく時間が分かるときは連絡しておくようにしている
連絡した後、スマホをポケットに入れなおして、キャリーケースを引きながら実家へ帰る
そういえば最近はあまり実家に顔を出していなかった気がする
仕事が忙しいから、というのもあるのだろうけれども、前よりもホームシックになることが減ったような気がする
それだけ1人暮らしになれたということなのだろうか…?
余りそのような自覚はないのだが、もしかしたらそうなのかもしれない
両親はともに元気だろうか?
母親とはこの間実家に帰った時に少し言葉を交わしたが、父親とは長らく会えていない
父親はまだまだ現役でバリバリ仕事しているため、今日もきっと家にはいないのだろう
土日関係なく仕事へ行く父親にはすごいなと思いつつ、子供心に遊んでもらえないのが寂しくて、小さい頃は余り懐かなかった
二十歳を過ぎてから一緒に飲むようになってそれなりに喋るようにはなったが、今でも素面で父親と話すのは少し緊張する
母親曰く、俺や妹が帰ってきたことを聞いたときは会えなくて寂しそうな顔をしているらしいが、あまり想像ができない
実家に帰ってたまに会えた時も、父親はいつも通りむすっとした顔で、ぽつりぽつりとしか話した覚えしかないのだから
もう1度、この恋を 葉月 @hazuki_0123
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