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「王都へ行きましょうや。スィスがいりゃ、まあワンチャンダンガさんの協力を得られるでしょ」
マールは信じられないと頭を振った。スィスは口に手を当てて考え込んでいる。
「あなたねえ! リューカが心配じゃないの!?」
「それは心配ですけどね」
「なら、マールは予言の国に行くのはどう?」
「いや。あの龍を差し向けてきたのがサイトくんだったら、と、考えるとマール様はここでリューカさんと一緒にいてくれた方がいいな」
「それで、貴方達は離れるの!?」
「ええ、リューカさんが、大丈夫だと言いましたから」
龍に激突される直前。体が地面から離れる前。ジャカと目を合わせて、竜日は言った。
『ジャカさん、私は大丈夫だよ』
たったそれだけだった。しかし、それだけで十分である。
「リューカさんは俺に言いました。大丈夫だと。ならば、やるべきことをやんなきゃ怒られちまう」
大丈夫だと言われたのなら、大丈夫だと信じる。そういう約束だ。
「つーわけだからよ、スィス。アンタには一緒に来てもらう」
「……わかった」
「マール様はそばに居てやってください。リューカさんはアンタが大好きですから。声掛けてやったら、そのうちひょっこり起きるんじゃねえかな」
マールはぐっと押し黙り、ついに、反論されることはなかった。
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