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「いいこと!?」
もしかしたら全員ヤケになっているだけかもしれない。竜日はテーブルを手のひらで叩くマールを見ながら思う。
ビレイ組の事務所の一階である。マールの他にはジャカとトーリとカルがいた。
「王子様レベルの後ろ盾ではいけなくなったわ!」
「マール様、どうしてビレイ組にいるんで?」
「わたくしたちは三か月でこの状況を打破する必要があります! お互いの為に!」
ジャカの、その質問は今回で三度目だが全て無視されていた。
「アレ―ンを取り戻さなければなりません! しかし! 彼の要求を飲むことも許さないわ!」
マールは勢いのまま話し続ける。
「つまり、この国の最高権力者と繋がりを作る必要があります!」
「最高権力者」
「わかりますね!? はい、ジャカさん答えてくださいます!?」
「女王陛下、ですね」
「もっと自信を持って答えなさい!」
「女王陛下です!」
「そう! 我らが女王陛下様よ!」
この国、ラディカント王国は、国が確立した時から女王が統治している。その為、他国よりも女性への保障が手厚くなっている。女性が領主になることも、家長になることも有り得る。強姦や浮気は最悪死刑になる。男からの一方的な婚約破棄に対する罰則も多く手続きもある。
しかしそれも、この代で終わりかもしれないと言われているようだ。何せ、現在女王陛下の御子は第四子まで、全て男。
また、規則や法律はあるものの、裁判所や王城で力があるのは男が多い。過剰な情状酌量が与えられることもしばしばである。
と、マールが言った。
「どうやって?」
「良い質問ね、リューカ! 実は! 私たちはもう既にそのカードを持っているのよ」
「リューカは闘技場で、ダンガ様と話をしたわね?」
「話した」
「ダンガ様は直接女王陛下と交流があると聞いたことがあるわ。騎士団を使ってできない仕事を一手に担われているとか」
「ダンガさんってどこにいるんだっけ」
マールは鞄から地図を取りだした。チバン港、サヒ市、中央に大きな町が書かれている。そこから更に進むと、国境がある。隣の国との境目に、黒く塗りつぶされたエリアがある。
その黒い部分を指さして言う。
「ダンガ様がいるのは王都よ!」
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