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 サヒ市の闘技場だった。ロアと竜日が戦っているのを民衆に混ざって眺めていたパディスを見つけた。

 最人はパディスに声をかけ、後日チバン港の、ビレイ組が持っている倉庫に隠してあるものを献上した。この世界に一緒に迷い込んだクルーザーである。

 王都近くの湖まで運んで性能を試すと、パティスは最人に聞いた。


「何が欲しい?」


 欲しいものはずっと昔から一つしかない。他のことは手に入れるための手段に過ぎなかった。


「幼馴染の女の子です」


 パディスの目は興味深そうに見開かれる。哀れまれているようでもあったが、滑稽に見えたのだろう。


「強すぎて、僕一人じゃ捕まえておけなくて」

「ははははははは!!」


 ついには大きく口を開けて笑い、最人の言うことを信じるに至った。竜日とのことを話すこともあるが、元の世界の歴史であったり、出来事であったり、制度であったり技術であったり。パティスは喜んで聞いていた。


「いいだろう。俺を利用させてやろう」


 三か月後、伊瀬竜日が王都の、第三王子の居城に訪ねて来なければ、最人は処刑される。


「来ても来なくても面白そうだ」

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