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ジャカと竜日は隣の家の方へ移動した。トーリは事務所に残し、他の連中へ適当に武勇伝を語っておくように指示をして、竜日には一息ついて貰う。
竜日はソファに座って水を飲む。
話を聞けば、大方は新聞に書かれていた通りで、ジャカの予想の通りでもあった。
それでもまさか、ダンガ一家と関わりを持って帰ってくるとは思わなかった。
「はええ、そりゃあまた」
「スィスは頭が良くてね。おかげで助かった」
「ははあ、さいで……」
「うん」
「そりゃあ王族に負けず劣らずのコネクションですねえ」
竜日はハッとしてジャカを見た。これもまた予想していた。竜日は王族とコネを作るという目的を忘れていた。気まずそうに目を逸らして頭を抱える。
「そうだ。王子様が来るまで闘技場で粘ってコネを作ろうって話だった……。ごめん、完全に忘れてた。アンジュさんを見るまでは覚えてたと思うんだけど」
「いやいや、別になんともねえですから。今のところ。それに、たぶん、リューカさんがよかったと思うなら、よかったんすよ」
マタリ商会のお嬢様と婚約解消もできていないようだったし。
「もう一回行って来る……?」
「いやいやいや」
ジャカが思うに、全く無駄な道筋ではない。どころか、王子と知り合いになるよりも、もしかしたら、竜日にとってはプラスに働くかもしれない。立ち上がった竜日の腕を掴み、止めながら考える。
最人が竜日と会っていれば、目的を思い出しているかもしれない、とも思っていた。「リューカさん」それがこんなにきれいに忘れているのだから、きっと。
「サイトくんには会いませんでしたか」
「最人? 会ってないけど」
「リューカさんが出かけて、一週間後くらいに訪ねて来て、そのあとすぐにサヒ市に向かったんですがね。うーん。入れ違いになったかな」
「ふうん。あとでデュオかドッグに聞いてくる」
「そうですね。けどちょっと休んで下さいよ。ね?」
休んで、という言葉を聞いて、帰ってくるのも久しぶりと気が付いたようだ。「うん」と頷く声はいくらか力が抜けていた。
「あ、さっきの炒飯まだある?」
「え、ああ。そうですね、相当な量作ったんで、まだあると思いますよ」
「貰っていい? 私あれ大好き」
様々考えていたことが吹き飛んだ。「はい……」ジャカは自身の声も気が抜けたものになっていると気付く。自分もまた、竜日のいないチバン港を守る為に気を張っていた。
「部屋に戻っててください。すぐ持って行きますから」
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