21
チバン港で暮らすようになってから、一ヶ月程が経過した。空を飛び去る龍を見ていると、トーリが走っているのが見えた。
玄関扉にはベルもあるが、遠慮なしに走り込んでくる。迎えるように玄関に行くと、あまりの騒々しさに勉強中のカルと最人も顔を上げていた。
「姐さん! リューカ姐さん!」
「……うん」
「そんな嫌そうに返事することないじゃないすか!」
竜日はトーリのテンションの高さから、大体の状況を把握している。カルと最人はこの家に篭って勉強していることが多いが、竜日は外に出て、港を散歩してばかりいる。
港の人間ともすっかり打ち解け、特に、竜日が喧嘩を仲裁する姿が人気だ。
「市場で喧嘩! 喧嘩ですよ! 行きましょう!」
「行くけど、最近みんな私が来るの待ってない? 気のせい?」
「元々小競り合いの絶えない物騒な港なもんで!」
「そうかあ……」
トーリは竜日の腕を掴み、港の方へ走っていく。
残されたカルは同じく残された最人を見る。最人は、視線に気づくとにこりと笑う。
「元気が有り余ってるんだろうね」
それだけ言うと、本に視線を落とした。
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