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早速作戦会議を始めた。
向かい合って、真面目な顔で話し合う。
「ジャカさんは、なにから始めたらいいと思う?」
「確認ですけど、帰る方法が見つかったら、リューカさんは残ってくれますか?」
「うーん……。最人を最人の家の人に引き渡したいけど、あの様子を見るに一緒に帰らない方がいいと思う。最人には諦めて貰わなきゃいけない。世界が違うくらいの距離が必要かも……あ、けど、気が付いたらこっちの世界だったから、もしまた突然帰ることになったらわからない……正直今『絶対に』帰らないと約束するのは難しいのかもしれない……」
「いえ、充分です。自分で意思決定できるなら、ここに残ってくれるってことですね」
「そう」
「それならなんでもかまわねえや。そうだな。リューカさんは予言者に会いたがってましたね。違う世界のリューカさんを予言できた人間、とするなら、何かしらの方法で二つの世界は繋がってたのかもしれない」
「おー、なるほど」
「じゃあ手始めに、この町に来てた奴を探してみましょうか」
「探せる?」
「やってみます。色んな船が出入りしますからね。多分いけるとは思いますが」
「手伝う?」
「いいえ。リューカさんは好きなようにしててください。慣れないことも多いでしょうから」
「うん」
「トーリとカルのことはこれからも好きなように使って下さい」
「うん」
「カルにはこの世界のこと教えるように言っておきます。そうだな。二人でどっかに監禁されてて、逃げて来たことにしときましょうか。国の教育をろくに受けられてないから、ほとんど何も知らない、っつーことで」
「うん」
「サイトくんには」
「私、言っておくよ」
「助かります。たぶんサイトくんは、俺のことが嫌いですから 」
「最人は私のことだって嫌いだと思うよ」
「ええ?」
「本当にありがとう。私ができることがあれば何でも言ってほしい」
「それはこっちの台詞なんですけどね……」
「私は間違ってなかった」
竜日がしきりに頷いている。
ジャカは困ったような、照れたような顔で笑っていた。
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