15

 竜日は無言で部屋の片づけを始めた。ジャカも部屋に入ると、積まれたものを掻き分けて進む竜日を追いかける。


「あの、本当に、あとでやっとくんで」

「ううん。今、こういう作業がしたい」


 ぐるりと見まわすと、壁に楽器が飾られているのを見つけた。弦楽器だろうか。弦は三本。三味線よりはネックが長くて、隣にはヴァイオリンの弓のような形状のものが同様に飾られている。


「これはなに?」

「――龍線って楽器ですねえ」

「へえ、弾ける?」

「たしなむ程度に」

「どんな音がするんだろう」


 竜日はちらりとジャカを見た。


「恩人様に聞かせられるような腕じゃねえんで! ホントに!」

「そっか……」

「う、そ、そんな悲しそうにしなくても……」

「そっかあ……」


 窓を開けると風が入って来た。窓の傍に積んであるものが落ちそうだった為、すぐに閉める。適当に手に取った本をぱらぱらとめくる。字はやはり読めない。ただ、楽譜が載っていた。音楽の本だろう。その隣の本には、壁にかけられている楽器の絵が描かれているのを見つけた。各部位に線が引っ張ってあって、その先の文字は名称だろうか。


「わかりました!!」

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