『たまてんどん』
やましん(テンパー)
『たまてんどん』
心配なんかしなくていい。
核戦争なんかしないから。
と、核戦争の30分前まで、大半の核保有国の首脳は、みな言っていた。
しかし、誰が発射したか良くわからない一発のICBMが引き金になって、1時間後には、世界は滅亡に瀕していた。
そんなことは、起こるはず無いはずだったのだけれど、そうなっちゃったんだから、どうにもならないよ。
でも、幸いと言うか、単に運が良かったのだが、人類は絶滅はしていなかった。
そこまで行かない内に、それ以上の核弾頭の発射ができなくなったのである。
それも、何故なのかは、誰も説明していなかった。
最初の一発は、大西洋から発射されたらしいというニュースは出ていたが、検証する力は人類にはもう、残っていなかった。
😫😫😫😫😫
『はい、らっしゃい。』
大将は威勢が良い。
核爆弾なんて、大将にはあまり影響しなかったらしい。
地球上は、ややこしい残留放射性物質やら、さらに、核爆弾のせいかどうか分からないが、アメリカ合衆国と、日本で発生した巨大カルデラ噴火の影響も重なって、ほとんど絶望的な状態にはなっている。
それは、人類のせいではない。
でも、この街は、なんとかまだ機能していた。
これも、たまたまであって、理由はわからない。
住民は1500人くらいはいたのだが、残りは30人に、満たないくらいである。
食糧は、底をつきつつあった。
国からは助けが来ない。
『まあ、最後まで店はやるよ。出せるメニューは看板にかいただけ。お支払は、なんでもいいや。まあ、物々交換も、オッケー🙆。』
しまーやんは、出張でここに来ていたが、動きが取れなくなった。
会社とはもちろん連絡不能。
まあ、残っていないだろう。
町外れの小屋を借りているが、家賃は無し。
どうにもならないからである。
お空は不気味な雲が一杯で、かなり寒い。
しまーやんが持っていた簡易型の放射線検知器は、『たいへんきけん』を示したままである。
電池がもう切れそうだが、買い換えはできない。無いからである。
『大将、あの、‘’たまてんどん‘’ て、なに?』
『あれは、高級料理だぜ。うちの最後の鳩が生んだたまごだ。うどんは、まだ冷凍のがちょっとある。まあ、先は見えているがなあ。鳩は、さっきのお客が食べちまった。』
『氷はたくさんありますからねぇ。ぼくも、今夜は、もう越せないかも。』
『がははははははあ。なら、サービスして、ネギを入れてやろう。最後のネギをだぜ。』
『ありがとう、お代は、この腕時計で。もう、あとは、なにもない。』
『いいよ。今夜はサービスだ。あんた、顔色、最低だ。ははははははは。』
『まあね。放射線障害かな。』
『みな、そうさ。』
『まね。』
その『たまてんどん』は、大変に美味だった。
『じゃ。いつか、また。』
『ああ、天国があるなんて思わないがな。おいらは、まだ、奇跡を信じてるよ。』
『ぼくもさ。』
しまーやんは、もう、ばらばらに成りかけの店を出た。
歩くのもウットおしい。
なんだか、おかげで、幸せに終われそうだった。
雪の上に寝てしまったしまーやんの上を、タマテ・ン・ドン星人の飛行挺が通過しようとして、向こうの空き地に着陸した。
なんと、奇跡は来たのである。
😌😌😌😌😌😌😌😌😌😌
おわり
『たまてんどん』 やましん(テンパー) @yamashin-2
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