第65話

        【2】


「ポロン達に答えてもらうしか無いわね」


「えぇ、聞いてみましょ」


キララとソフィアがアンドロイドルームを出ると、入り口の前でポロン達3人がしょんぼり立っていた。


「ポロン、何もかも話して。

情報のブロックを解除してちょうだい」


ポロンは黙ってうなずいた。


「じゃ、私の部屋へ行きましょ」


5人でぞろぞろキララの部屋へ向かっていると、


「えっ?! なんですって!」


ソフィアが突然大声を張り上げた。

スタッフから連絡が入ったのだ。


「分かった! 直ぐ行く!」


ソフィアは珍しく青ざめた顔をしている。


「脳内チップが爆発してそのスタッフが亡くなったらしいの!

取り敢えず行ってみるわ!


キララはポロンの話を聞いてあげて!」


そう言い残しソフィアはバタバタと走って行った。


アンドロイド達はオロオロしている。


「私達が話さなければならないことと関係してるかも………


私達も現場に行きたい!

亡くなったのが誰なのか知る必要があるの。


話はそれからにしちゃいけない?!」


「分かったわ。 そうしましょ!」


4人はソフィアの後を追った。


                       


現場は騒然としていた。

人間もアンドロイドも、殆どのスタッフが駆けつけて遺体を取り囲んでいる。


キララ達が着いた頃には、ソフィアが遺体を確認し始めていた。


キララ達はソフィアの邪魔にならないよう少し離れて野次馬の中に紛れ込んだ。


そしてキララが隣りのスタッフに聞いた。


「事故なんですか?」


「そのようだね………

でも100%では無いらしい」


「と言うことは?」


「生の人間とメカの共存には、いろいろ面倒な事情があるからね………」


「殺人の可能性は?」


「ん……… ゼロでは無いだろう。

何をもって殺人とするかにもよるけどね………


どうしてチップが爆発したのか、これからじっくり原因究明することになるな………」


「それで………

あの遺体は誰なんですか?………」


「技術スタッフのルターだよ」


「ルター、ってあのルターですか?

陽気で、いつも明るかった?」


「そう………」


「そんな………」


キララは唇に手を当てたまま暫く呆然としていた。


ポロン達は顔を見合わせて肩を落とした。

とは言え、さっきまでの狼狽ろうばいや焦りは少し無くなったようである。


ソフィアが遺体確認を終えて立ち上がった。


ソフィアに隠れていた遺体の頭部がまる見えになる。

その無惨さに皆どよめき、目を逸した。


皆に好かれていたルターの死に涙するうめき声が充満する。

キララも泣いた。


ソフィアが片手で顔を覆い、フラフラとキララの方へ歩いてきた。


目の前に来たソフィアの肩に、キララはそっと手を置いた。


「あっ、キララ来てたの………」


「大丈夫?ソフィア………」


「えぇ、有り難う。

彼には期待してたのに………


単なる事故じゃ無いかもしれないわ………

爆発したチップも調べる必要がある。


私が恐れていた事態が始まったかもしれない……………」


「ソフィア、私そのことについて全てお話しします。

早急にそうすべきだと思います!」


ポロンの目は真剣だった。


ソフィアは鋭い目でポロンをじっと見つめていた。


「そうね!

知ってることを全部話してちょうだい!

情報ブロックは無しよ!」


「はい!」


5人はソフィアの部屋に向かった。

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