第49話

        【2】


キララの元を離れると、スウィンは何処へも寄らずそのままソフィアの所へ行った。

ソフィアは少し疲れた顔をしている。


「スウィン………

キララは上手くやってた?」


「えぇ。

あの状況はいつからなんですか?」


「だいぶ前からなんだけど、貴方が旅に出た頃から顕著けんちょになってきてね………


キララはずっと誰にも話さなかったらしいの。

顕著になってきて初めて私に話してくれたわ。


貴方という何でも話せる相手が出来たことで、アンドロイド達も焦り出したのかもしれないわね。

我々に、とても猜疑心さいぎしんを抱いているみたい。

ひどく警戒してる。


まだキララも私達も探ってる状態で、何処までどうなってるかはっきりは分からない。

アンドロイドに悪意があるのかいなかも今はまだ判断できないわ。

いさみ足な判断は危険すぎる!


後でキララからも話すと思うけど、稼動停止中のアンドロイド達にも似たような気配を感じていたらしいの。

本人にも断言は出来ない曖昧な感覚だったようだけど。

キララはまだまだ幼かったから自分でもはっきり気づかなかったんだろうって言ってるわ」


「旅立つ前、僕との会話でも『怖かった』ことに改めて気づいたようでした………」


「だとすると、私達はキララにもアンドロイド達にも間違ったやり方をしていた可能性があるわね……」


「キララを別の部屋に移して、アンドロイド達と離す必要があるかもしれませんね」


「えぇ、私もそう思ってキララにはいつでも離れたい時は申し出てって言ってあるんだけど………」


「キララはアンドロイド友達との別れが大きな負い目になっているようですから、迷っているんでしょう」


「そうね………


それとあの子、以前より強くなった気がするの。

貴方がセンターに戻ってからよ。

感覚の合う何でも話せる相手の存在は可也大きいのかもしれないわね。


と……… 貴方に恋してる可能性もある!」


「僕にですか?………」


「えぇ、あの子の周囲に居たのはずっとアンドロイドだったから、なかなかアンドロイド相手に恋も難しいわよね。

センターのスタッフだって、キララが生まれた時から父親的な存在だったし………


貴方のことは噂でずぅっと聞いていて、おとぎの国の王子様的に憧れていたと思うの。

貴方と初めて会った時『私が想像してたよりずっとステキだった!』って大興奮だったのよ。


あの子にとっての貴方は『初恋の人』かもしれないわ。

もし恋がキララを強くしているのなら、貴方がキララを救えるかもしれないってことよ!」


「…………って……はぁ………」


「あっ、いや、ごめんなさい!

無理にキララを愛させようなんて思ってないのよ!(;^ω^)

別に恋は自由だし………

その、貴方には貴方の好みってものがあるわけだから………(*﹏*;)

まぁ恋が実れば万歳だけど……… 強制はしないし、って出来ないし………(-_-;)


えぇい! 何言ってるんだろ私。


兎に角、あぁ〜今までの話全部忘れて(• ▽ •;)


なんだかなぁ〜………(─.─||)」


「(笑)分かりました!

僕は僕なりにキララと向き合ってみます。


取り敢えず早めに旅へ連れ出そうと思います。


キララにとってもアンドロイドにとっても、距離を置く時間が必要な気がします」


「そうね!

離れてどんな様子か観察することも必要かもしれない」


「早々に誘ってみます」


                       


「ソフィア、私よ」


キララの声だ。

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