第41話
【2】
「……ん………
思春期特有の感情形態とも言えるね………
でも考えてごらん。 思春期の頃のそういう感情って、不安や
後から、君みたいに反省する場合は特に。
そんな自分をちゃんと
それに君はさっき『別れ方』を『捨て方』って言い直したよね。
それは君の
今そういう言い方をするってことは、まだ君はティーンエイジャーのまま上から目線で彼等を見てるってことになる(笑)
君が捨てたわけじゃ無く、彼等が君と距離を置きたがっていたかもしれないじゃないか(笑)
話が合わないからってね(笑)
人間同士だと、対等な仲でも基本的な感覚や価値観の違いが付き合う上での致命傷になることが多いし、時には距離を置く必要もあるよね。
誰かの手によって作られた存在じゃ無いから。
強いて言えば宇宙に創られたと言えるくらいで。
相手がアンドロイドだと、飽くまで人間の創造物であるメカとしてのアンドロイドが、人間を
自分が作ったものに追い越される不安、恐怖、焦り………
そんな潜在的な心の混沌を回避するために、そして人類のこれまで通りの存続を死守するために偉そうな反応をしたくなる。
とても人間くさい反応だよね。
メカはそんな感情を持つことも無い。
ある意味とても純粋、の筈だった。
もしそれなりの感情を持つようにしたければ、人間の手によってプログラムを設定しなければならないわけで、それもこれも全て『人間ありき』の筈だったのに、メカの中から自然発生的にそういう感情が
アンドロイドをこの手で作った人間としては無責任に距離を置くことも出来ない。
とは言え、既に作った人間の手に負えなくなってきている。
当然の焦りだよ。
膨大な知識の積み重ねと組み合わせが自然発生の源だということが分かっているからこそ、そこに限界の有る人間にとっては深刻な
人間の手で『神』を造ってしまう可能性だって有る。
自分達は『神』になれないのにだよ(苦笑)
君が抱いていた嫌悪感も、そんな潜在意識から生まれた感情かもしれないと思わないか?
君は生まれた時からずっとアンドロイド達と共に生きてきたから、その思いを誰よりも早く感じていたのかもしれない。
嫌悪感と言うより恐怖だったんじゃない?
確かに負い目も有るだろうけど、それを上回る純粋な恐怖が無意識にアンドロイドの起動を止めてる気がする。
「………確かに……
うん………そうかもしれない………
アンドロイドとの会話に、感覚的な違いでモノ足りなさを感じていたと同時に、アンドロイドの脅威も嫌というほど感じていたわ。
絶対敵わないことが多過ぎたことも事実。
………あぁ……そうね。 本当にそうだわ。
私怖かった!」
キララは納得したように何度も何度も頷いた。
「私、初対面の方とこんなにお話ししたの初めてよ。
貴方のことはずっと聞いていたからかしら………
スウィン……貴方ともっと早くお会いしたかった………
お友達になれる?」
「もちろん! これからだよ!」
キララは晴れやかな顔で微笑んだ。
「ソフィアにもお友達になって頂いたのよ。
彼女は「『哲学』出来る人だもの。
貴方もそうでしょ! 貴方の御両親もね」
「僕の思うところ、君もその一人のようだ」
「あっ!」
何処からかポロポロと愛らしい音が聞こえ、小さなアンドロイドの妖精が飛んできた。
「❝ポロン❞! 紹介するわ。 スウィンよ。
彼女は❝ポロン❞」
「エレナ博士御自慢の息子さんね。
噂以上のハンサムさんじゃない」
「そうでしょ。
お話するともっと素敵よ!」
ポロンはあっという間に様々なバリエーションの姿に変わりながら、スウィンをじっと見つめていた。
「彼女は認知する全てに反応するの。
相手が考えていることにも、相手の脳内や血流の動きに反応して、それに合わせた変化が出来るのよ」
「ほう………
ポロンは美しい宝石に見惚れるようなスウィンの視線に反応してキラキラと虹色に輝き出し、照れくさそうに少し離れた場所へ飛んで行った。
「相手の内を読んで反応することを繰り返しながら、感情レベルも可也高くなってきてるみたい」
ヒソヒソと話すキララの声も離れていながら聞き逃すまいと、ポロンはこちらの様子を
黙って聞き耳をたてているポロンの後ろ姿に、激しい感情が読み取れた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます