第24話
【1】
黙々と歩き続けた。
空の一部が広範囲にわたって異様にキラキラ輝いているのが見えてきた。
でも光源では無い。
先頭のカチヨンが輝きを観察する為に立ち止まった。
「美しいなぁ………」
その輝きは本当に美しかった。
皆言葉を失ったまま暫し呆然と眺めていた。
半透明な彼も見入っているようだ。
カップの中から鳥花の呟きが聞こえた。
「鳥のままだったら
スウィンは人差し指で鳥花の花弁をそっと撫でた。
鳥花は憧れに満ちた眼差しで空の輝くものを見つめている。
スウィンはふと思いついて川の傍に移動し、カップの水を変えてやった。
その間鳥花は、輝くものから目を離さない位置に顔を固定する為、茎が折れ曲がってしまいそうになるくらい茎を首のように使って努力していた。
スウィンは鳥花の清らかな魂に心打たれて、鳥花を守る使命感を強くした。
スウィンの行動を真似て、何人かが水を補給し始めたため、此処で食事をとろうということになった。
皆てんでに腰を下ろして、持参した果物や豆類などを食べた。
ケラケラ隊はそれなりの食料を持ってきたようだが何も持ってきてない者達がけっこう居るため、持ってきた者達が
カチヨンは、当然のこととしてそれが成されたことに感動すると同時に、この分だと食料を調達する必要があるのは歴然だけれど、このまま岩ばかり続いたらどうしたものか少し不安になった。
輝く美しいものを見ながらの食事は、ピクニックみたいで楽しい。
とりわけケラケラ隊の子供達は大はしゃぎだ。
半透明な彼は食事にも無関心で、ちょっと離れた場所に相変わらずモ〜ッと座っている。
得体の知れない不安と恐怖の中に居る彼等にとっては、束の間の娯楽でありブレイクタイムだった。
輝く美しいものを眺め、美味しい物を食べて、目的を忘れる程このひとときを楽しんだ。
よく食べ、よく
カチヨンとその仲間達以外は皆初対面なのに、昔からの友達、或いは家族とも思える信頼感が生まれていて、和やかな
スウィンは豆類を噛み砕いて鳥花の口先に付けてやった。
鳥花は嬉しそうにそれを
ポロンが自分と同じくらいの大きさの真っ赤な果物にかぶりつきながら
「スウィンと鳥花は親子みたいだね」
と笑った。
スウィンは既にそのつもりだったので、ちょっと嬉しかった。
そしてもう一人自分が守りたい存在を思い出した。
「ハックは何も食べないの?
水も飲んで無いみたいだし」
「勾玉が私に必要なもの全てを補給してくれているから大丈夫!」
「そうなの?」
「それよりスウィン、あのキラキラした輝きが少し下がっている気がしないかい?」
「えっ? そうかなぁ………」
「よぉ〜く見て!
ほら、しかも下に動いている気がしない?」
スウィンはじっと空の輝くものを見つめた。
「あぁ……… たしかに。
動いていると言うより落ちてる………
でも、落ちてる時はキラキラして無いね。
虹色の淡い輝きに変化して、下に行き着く前に消えてる感じ………」
「そう、そうなんだよ」
「そうでしょ、やっぱり。
私もさっきから気になってたんだ」
ポロンが食べていた赤い果物にちょこんと座って、二人の会話に入ってきた。
「君も気がついてたんだね」
「ポロンはいつ頃から気がついてたの?」
「大分前から。
アレを見つけて直ぐくらい」
「なんで今まで言わなかったんだよ」
「だって輝きが強すぎてはっきり分かんなかったんだもん。
アレはアレで綺麗だし………」
「そうなんですよ。
だんだん落ちる量が多くなって、ようやくはっきり見え始めたみたいなんだ」
「そう言われてみると、輝きの範囲が少し小さくなったようにも見えるね。
落ちてるからかな………」
「あっ、落ちる量がまた増えたみたい。
スピードも出てきた」
「アレなんかずっと下まで落ちたんじゃない?
あぁ〜、そうだよ! 地面の上で輝きがバウンドした!
ってか、爆発したんじゃない? 散らばったみたい」
「何が起きてるんだ?」
3人、目を丸くしながらヒソヒソ声て顔を見合わせた。
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