第15話
【1】
ゾロゾロと歩いていると、道の傍らにスウィンくらいの年齢に見える少女がポツンと立っているのが見えて来た。
淡い色合いの花達に囲まれて、まるで
少女はカチヨンを見ると、驚いた表情で深く黙礼をした。
「プリンスカチヨン ですよね……」
か細い声で問う少女にカチヨンは
「カチヨンで良いよ」
と優しく言いながら少女に近づいて行こうとした。
「カチヨン!それ以上は……」
ブラックがカチヨンを止めた。
「あぁ、そうだな。 危ないところだった!」
道の端すれすれの所でカチヨンも気づいた。
と、突然少女の姿がブレ出した。
「そんな畏れ多いこと………
カチヨン様にお目にかかれて光栄です」
そう話している少女とは別に5人の同じ少女が次々と現れたり消えたりしている。
そして順番に
「もう少し先に行くと」
「また私が居ます」
「そこで詳しく」
「お話しします」
「時間が………」
で、最後が途切れ全て消えた。
「いったいどうしたんだろう……」
スウィンは不安になった。
「時間が往復しているのかもしれません。
道から外れた場所に居たから、不穏なエネルギーに囚われてしまったのでしょう」
この先でまた会えたら、道に入るよう言った方が良さそうですね」
カチヨンは冷静だ。
どう見ても、この道はただの道。
ちょっと外れただけで、いろんな不具合が生じるなんて不思議過ぎる。
スウィンは、道の境目に何か無いか上下左右しつこく見回したが、結局何の発見も得られなかった。
「この道の不思議に関する情報は何も無いんですか?」
「私の先祖代々、この道は安全だと言い伝えられているだけで………」
そうこうしている間に、無言でカチヨン隊に加わる者達がどんどん増えてきた。
囁きの情報伝達がスピーディに進んでいるのだろう。 なんとも頼もしい!
これなら魔王を倒せるかもしれない。
希望の光が見えてきた。
暫く歩いて道のカーブに差し掛かった所に、さっきの少女が佇んでいた。
カチヨン隊の行列を見るなり、怯えたような表情で
「私の伝言が分かりましたか?
さっきの場所で、またカチヨン様にお会いしたいと思っていたら、急に此処へ来ていて、こうやって皆さんにお会い出来たと思ったらまたさっきの場所に戻っていて………」
と言いながら少女は消えた。
でも直ぐまた現れたので、スウィンは少女が話す間も与えず少女の腕を掴んで道の中へ引っ張り込んだ。
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