第5話
【1】
「どうしてポロンの世界の者達は僕を邪魔する必要があるの?」
「私達の世界に人間が入るのは君が初めてだから。
皆不安で警戒もするし試すこともあるでしょう……
でも君が害を及ぼさないと分かれば、きっと協力を惜しまない筈よ !」
「じゃ、安心して良いんだね!」
「でも気を抜いちゃ駄目よ ! 本気で君を試そうと向ってくる連中も居ると思うから。
そういう奴等は君がその試しを切り抜けなければ、自分達の世界には不要なものと見なして君を抹殺しようとするかもしれないわ」
スウィンは、自分の中でメラメラと湧き上がってくる『闘志』を感じた。
「大丈夫 ! もっとリラックスして ! 私達の世界を楽しんで ! この森のことも !
今丁度樹王が欠伸をしていて、私達の世界から仲間達が大勢此処へ遊びに来てるの」
「だから不思議な気配に包まれてるんだね………
でも……欠伸って………」
「樹王の一欠伸は君の世界の百年よ」
「………………?」
幼いスウィンに理解出来る筈も無い。
スウィンは理解することを諦めてポロンの言うとおり楽しむことにした。
進む度、見たことの無い生き物達がスウィンに怪訝な目を向けてはスウィンに寄り添うポロンの姿を確認して安心し、改めてスウィンに歓迎の意を表してくれる。
やはり違う世界の者同士不安は同じなのだ。
スウィンはポロンの存在を頼もしく感じた。
昼は珍しい果実を頬張りながら歩き続けた。
暗くなると妖精達が集まって自らの光をランプ代わりにしてくれる。
スウィンとポロンは、揺れる光の中でいろんな事を語り合った。
妖精達の囁きも聞こえる。
深い夜が訪れて語り疲れると、柔らかい苔のベッドでホロホロと眠った。
ランプが必要無くなると妖精達も輝く羽を畳んで愛らしい寝息を漏らした。
空が白み始め、豊かな木々のシルエットが表れる頃、ポロンの小さな欠伸がスウィンを起こす。
朝露の幻想を楽しみながら、再び二人は道無き道を進んだ。
それを3回繰り返し、4日目の昼過ぎ、一際古くて巨大で立派な樹木に辿り着いた。
★★樹王 !★★
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