第14話

ササの少し弱気の、気のない声に、私は、一呼吸おいて答えた。


「ごめんねササ。でも、ササの気持ちに応えることは出来ない」



「まだ、泣いてるのは大和のことだろ??」


私の顔はまだ、泣き顔だ。

ササの場所からでも泣いているのが見えるのかな。


「見ないように逃げてた私に、教えてくれてありがとう。もう、これ以上の関係は望まない、もともと邪魔する気もなかった。大和のもっとそばに、いきたかったけど、大事な存在になりたかったけど、彼女の存在が明確になったのに、そんな貪欲になれない、ただ、見てるだけでいいの、」



静かに、何も音を立てず、静かにササが私の声を聞く。



「ただ、見てるだけにするから、今の関係で全然幸せだし満足だし、これからだって仲間だし、でも、、、、まだ、気持ちは消せない、大和が、すき、気持ちは消えない、ササの気持ちは、受け入れない」



少しだけ、分かるか分からないかの一瞬の小さな息を飲む気配がした。

ササを、傷つけた。


小さな沈黙を破ったのは、ササのいつもと変わらない声。

私の名前を、普段通り、呼んだ。





「陽菜、とりあえずさ、どっか遊びいかね??」




ここから見えてしまった佐々原航の笑顔は、泣いていた。



END

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border line【完結】 広瀬 可菜 @hirosekana2024

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