第一話 

「はぁ、明日から学校か。だるいな」


すこし涼しくなりつつある平日の正午を過ぎ、学生なのに家の自分の部屋で独り言を言っている高校一年生の俺「高崎たかざき 湊人みなと」は夏の始業式から1ヶ月経った頃、季節の変わり目によくある風邪をひいてしまい、今日も学校を休んでいる。


風邪をひいた初日は金曜日だったため、風邪をひいた本人は「1日学校休めば3連休だし、治るだろう」と思っていたのだが、見事に予想を外し、今日で絶賛6連休中である。


しかしながら6日間休んでいたにもかかわらず未だに咳や鼻水が出るため、体的にきつい。それでも明日から学校に行こうと決めたのは、欠席の電話で担任の先生から

ちょっと脅された(?)からだ。


普通に考えて、先生にとっては俺が休むことなんて、他人事ひとごとなのになんで俺を学校に戻そうと思うんだろう?

少し、不満に思ったが今回は誠意として受け取って、明日から学校に行く旨を先生に伝えた。俺ってもしかして心広いかもしれん。


まぁ、今日はあと半日フリーなので、連休の最後の日は遊ぼうと、今はずっと自堕落生活をしているのである。


消化されていない漫画読んだり、オンラインゲームしたり

時計を見るといつも間にか5時になっていた


俺はなんだかんだ5時間、何も喉に入れていなかったため、喉の渇きと胃の空腹感を感じ、2階の自分の部屋から一階のリビングに移動しようとした。

すると丁度一階に降りた時、うちの家のインターフォンが鳴る。


俺は宅急便かと思い急いで返事をした。


「もしもし」


「すみませーん、高崎湊人さンのクラスの者なんデスが、プリントモッテきまシタ」


意外な刺客だ。しかも嚙み噛みである。

カメラ越しで見るとそこには俺のクラスの委員長がいた。


「はい、今出ます」


ガチャ


ドアを開けると、彼女の手には大量のプリントがあった。


「こレ、今までの4日分のプリントdeath」


彼女が俺に手に持っているプリントを渡してきた。

少し重たい。


「わざわざ学校から届けてくれて、ありがとうございます」


俺は彼女に会釈をし、何かちょっとした手土産をさがす。


「ア、オレいなんてイイです、タマたま家近かったのでモッテきました」


「そうなの?いやほんとありがとう」


「イエイエ、ソレジャーさようナラ」


プリント類を持ってきてくれた彼女に最後に礼をし、解散した。

家のドアを閉める。




うん、なんか見てはいけないものを見た気がする。


夏休み明け、クラスの委員長を選出する際、二人が立候補し、投票形式で一人ずつ

公約的なものを話していたが、彼女はものすごくハキハキ喋る人と印象だった。


もちろん俺はこの選挙に彼女に投票したし、またクラス内で俺と同じような印象を持つ人も多かったらしい。このようにクラス内からプラスな印象を多く持たれた結果、彼女は正式にクラスの委員長となったのだが

今日の委員長なんか違った。


え?どうしてだ?

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失恋したので新しい恋を探したい(願望) あるふれい @femy

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