普通の?人間だった主人公が教師として一人の少女に出会ったことで、欲求のために身勝手かつ悪辣に変貌を遂げていく堕落譚は恐ろしいと同時に美しさを感じてしまいます。こういう罪を重ねる系の話はあまり知りませんが、ここまで悪業を積み上げるものなのでしょうか?とにかくこの主人公はすごいです。夢中で読んでしまいました。
2人の行動を正当化するために登場する周りの人物ですが、その会話や行動から2人がやっていることの罪深さが明確になっていき読んでいて苦しくなるところもこの話の魅力の一つだと思います。
主人公の罪は法律がどうとかいう次元ではなくて、自己の欲望のために未熟な心の弱い部分に付け込んで、1人の少女の心身を自分だけのものに不可逆的に変えてしまったことだと感じ取れる描写が所々にあって心がズキっと痛みます。きっと主人公が人生をかけて責任をとらなければ、母親のようにまともな恋ができずにほんとに愛されることない人生になってしまうのではないでしょうか?
当人も自覚しているように、待ち受ける未来は破滅しかないように思えますが(地獄行きのフラグしかないです)、2人は幸せを掴めるんですかね?結末が気になります(もはやどんな結末でも納得できる気がしませんが)。ジャンルがラブコメなのにコメディ要素は少なめです。それでも、背筋が凍るような描写に一周回って笑ってしまいます。
美しい描写、ポエティな表現。
ヒロインは、現国の教師なのです。
彼女はコギャルな時代は除いて、極めて真面目に人生を歩んでいます。
そんなある時、夜の街を徘徊する教え子『凛』の家庭の事情を知り校正させようと力を尽くしますが……
ヒロインの想いが揺らぎながら、背徳な方向へと向かってしまう。
先生が描く独特な不思議感覚が、より現実的なヒューマンドラマとして結実しています。
ヒロイン本人が、何度も秩序ある生活が瓦解するターニングポイントを意識しながら、可笑しな方向へと突き進んでしまいます。
それにしたって、何で「グローブ」から、そこに辿り着いてしまったのだ!