第46話

わたしも、はせくんを抱きしめたくて、緊張している手を一生懸命動かして、広い背中に腕を回した。


 はせくんの体が一瞬、びくっと反応したあと、大きく息を吐いて、出せずにいた言葉を口にする。


「洸に会っても、今の気持ち、変わらないでいてくれる?」


「っ!変わらないよ!!!」


「……うん」


 そういって、より密着を深めるはせくんに、わたしは、過去のわたしのことも、たくさん好きでいてくれたことを、実感した。


「はせくん、好きだよ。すごく好き。好きになってくれて、ありがとう」


 これからは、遠慮せず、はせくんへの気持ちを、言葉にしていこう。

 

 言葉にしたって、はせくんへの気持ちは軽くならない、なくならない。


 どんどん生まれてくる感情は、この先も、なくなることはないと、確信しているから。


「こちらこそ。もう、手放さないし、誰にも渡さない」


 そういったはせくんの言葉は、いつもよりも圧を感じて、そんなところにも、愛されている実感を得てしまった。


 はせくんの腕の中、はせくんの香水に包まれて、自然と引き寄せられるように、名前を呼ばれて上を向けば…。


 極上のキスが、降ってくる。


 





 バックヤードの秘め事。



 私たちだけの、秘密の時間。



 

 END

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バックヤードの秘め事【完結】/番外編を作成予定 広瀬可菜 @hirosekana2024

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