2話
そのうち俺のとこで生活するなら、慣れるためにも早いほうがいい。
明後日から純は俺と生活することになった。
「孝之、すまんな。」
静かだった親父の声にドクっとする。
「や、大丈夫だよ。でも俺が仕事の時、純はどうすんの?」
こんな状態の純が学校に通えるとは思えない。昼間なにしてるのか?
「いまはお昼の間、施設に行って施設の方といるのよ。」
なるほど、じゃあとりあえずは大丈夫そうだ。
俺ができることはない気がするが…。
「とりあえず今日、純と一回俺ん家にいってみるか。純、行こう」
純は言葉がわからないみたいだが、なんとなくのニュアンスで通じているみたいだ。
ガサガサと準備をしているみたいだ。
そんなに準備しなくても言って帰るだけなんだけどな…。
「あ、そうだ!純くん喋れないんだけど、あいうえお表を指さして意思疎通をしてるの!」
「えっ?なんでもっと早く言わないんだよ」
それがあればだいぶ助かるのになんで最初に言わないんだよ。
「ただ、やっぱりまだ曖昧で…わからないこともあるから練習中なのよ」
いつからこの家に住んでいるのかは知らないが、飲み込みが速いなら助かる。そもそも、顔の系統からして日本人だろうしすぐに覚えていくだろう。
「そっか。じゃあ、ちょっといってくるわ」
話すことも出来ない彼との生活をするための準備を始めた。
忘失 @yanagisi
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