昭和ゆとり族の時の大冒険記[ツネオ編]

《第16話》未曾有の危機と突然の挫折

2011年が訪れて早々、全てのアナログ放送をデジタル放送に完全移行と同時に地上波放送をケーブルテレビ放送に完全移行、そして日本放送協会の分割民営化、通信大手をはじめとする民間企業に受信契約サービスを移譲し契約先企業の選択自由化、シティホテルや商業系など多数の副業参入、副業収入で受信料や広告料に頼らない企業に生まれ変わる年であり、BSデジタル放送の試験が始まって以来の夢を果たす時が近付き、世間が浮かれていたそんな中、公明党代表が総理の職を辞する事となり、次の総理大臣には新党改革の代表が相応しいと昭和のゆとり穏健派ツネオは判断し、就任に導かせた。

あれから2週間が経とうとしていた頃、日本と世界を脅かす予想外の大事態が起きた。

南半球のニュージーランドで巨大地震が発生し、日本に津波が襲来する可能性が高く、陰謀を受ける可能性もあるという不吉な予感がした昭和のゆとり穏健派ツネオ、その後も数回にわたり余震が多発した事で不安が更に増し、遂に日本でも3月11日14時46分、全土を襲う超巨大地震が襲来したのだった。

昭和のゆとり穏健派ツネオは新党改革代表兼内閣総理大臣と共に、この地震を「日本列島全土巨大震災事件」と名付け、各放送局で同時放送を行っている緊急報道の生中継を通して『およそ2週間半前に巨大地震が発生した、ニュージーランドの陰謀を受けているかもしれません。主な震源とする現場から広域に該当する箇所に、避難場所として使える箇所があるか調査を行い、水道や電気など全てが使えるかどうか確認します。避難させるには適切かどうか、万が一適切にならなければ避難先が更に遠くなると考えられます。原因につきましては20年以上前から深刻化している地球温暖化の可能性も見込まれますが、それを含めまして調査を行います。』と表明した。

主な現場は三陸沖、東北地方全体や北関東において避難場所さえも使い難く、主に太平洋側が最も被害を受けている箇所が多く、比較的被害を免れている箇所の多い日本海側の地域や北海道の陸地が適切であるという事を、昭和のゆとり穏健派ツネオは判断したのだった。

急いで避難させる為、機能している空港や鉄路や道路を調べ、航空・バス事業者及び鉄道交通局の協力を得て対応したが、若者と子どもと親御さん達は大半が夕張や旭川などの北海道方面多数の陸地に避難した。

海の無い陸地は津波から身を守りやすいと判断した人が多いからか、昭和のゆとり穏健派ツネオは生放送を通して『正しい判断をして避難した皆さん、今しばらくの間は被災地に戻る事をせず、ゆっくり過ごして頂けたら幸いです。安全が確認されたら、自衛隊や建設業者を派遣し、復旧と改造を進めますので、今は遠くから見守って下さい。』と伝えた。

7月24日に予定していたアナログ放送からデジタル放送への完全移行はBSが全体で予定通り施行されるも地上波からケーブルテレビ放送への完全移行は、東北を除いて本州と四国と九州は9月30日に、東北は翌年3月31日に、北海道と沖縄はその1ヶ月後の4月30日に、それぞれ延期となった。

日本放送協会の民営化、通信大手をはじめとする民間企業に受信契約サービスを移譲し契約先企業の選択自由化、シティホテルや商業系など多数の副業参入、副業収入への移行は10月1日に延期する事にしたのだが、被災地の復旧改造が急がれる時であるにも関わらず五輪・W杯・万博の招致撤回と全面停止が遅れている事で与野党から追求され、総理は戸惑っていた。

6月22日に『近々、決断する予定で調整します。』と表明するも、翌日に野党から不信任決議案が提出されたが、その翌日に投票が行われる事無く、内閣総理大臣自らの宣言で未決のまま国会はやむ無く解散、7月24日に総選挙を行う事となった。

昭和のゆとり穏健派ツネオは幸福実現党内で連立政権の在り方を見直す作戦を立て、政権を失って再び解体となった自民党と連立を組み、公明党を幸福実現党に合流させ、みんなの党と共に新しい連立政権「自幸み連立政権」に至らせるべく、総選挙に挑む事にしたのだった。

その作戦は見事に成功し、総選挙の結果は見事な大逆転勝利となり、盆明けに行われた内閣総理大臣指名選挙で、みんなの党代表を指名し、就任早々五輪招致撤回と同時に今後の五輪・W杯・万博招致を全面停止、創価学会と幸福の科学を経営統合と共に天理教グループの傘下企業にしてでも、被災地復旧改造に専念する事を決めた。