第3話

「バカなことを」


 士門は水にまれた少年へ向けて、冷たい言葉を吐き捨てると、うしろを振り返った。


 そこには、第三番目の少年が、うしろ手に縛られた有様で立ち尽くしていた。


 この三人目の少年もまた──先ほどまでこの河べりにいた少年と、似たような顔をしていた。


「……二体の『予備』の回収に失敗した──ひとりは私が自ら殺し、もう一人は川に身投げ。移植手術の失敗は許されなくなったな」


 士門は、少年の手を縛るヒモをつかむと、あたかも牛でも引くようにして、さっさと来た道をたどっていった……。

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永遠の命 みんQ @minQchan

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