第3話③
第19話
そして、学園長の立つ場所まで辿り着き、
台へと立った私は、風魔法で声を大きく届ける、マイクのような魔道具を使いながら話し始める。
ベル
「この度、新入生代表挨拶といたしまして、ご挨拶させていただきます。この度は、私達の為に、この場を設けていただき、ありがとうございます」
ベル
「私は、、魔法が好きです。この学園でもっとたくさん、魔法のことを学んでいきたいです。そして、」
予定通りに私は、魔法で空間に仕舞っていた
自分のほうきを取り出し、ほうきにまたがり、
空を飛びながら呪文を唱える。
「アイス·クリスタル·プラズマ、グレント!」
私が呪文を唱えると、小さな雷を付与した氷の結晶が光のように、まるで雪のように降り始める。
そして、
「ファイア·スパイラル」
次に、その結晶たちが、私の炎魔法によって
溶けて、雨となり、小雨のように降り始める。
最後に、その場をくるくると飛びながら、杖を天に掲げて唱える。
「プリズム·サンライズ!!」
そして、私の光魔法によって、日の光のようにその雨が晴れて、その場には、とても美しく大きな”虹“が現れる。
虹が現れると、会場のあちこちから、大きな感嘆の声が聞こえた。
ベル
「い、、以上で!発表を終わります!ありがとうございました!!」
ほうきを降りてから、私はその場に向けて深くお辞儀をする。
頭を上げると、たくさんの歓声と拍手が会場を包み込んでいた。
ーーー
ママとの魔法練習の時にね、雨がよく降ってきたんだ。
雨はすぐ、止むこともあるけれど、長く降り続ける雨もある。
けれど、いつか必ず晴れて、晴れたその空には、とても、綺麗な虹が現れるんだ。
綺麗な虹を作り出す魔法を、この発表にしたいと思ったんだ。
魔法に愛を込めて、いろいろ掛け合わせながら
作った私だけの魔法。
ーーーーー。
長いようで短く感じた入学式が終わるとすぐに、
私は緊張の糸が解けていた。
そして、
「ベルちゃん、、だよね!!これからよろしくね!てかすごい!めっちゃいろんな属性使えるんだね!!」
「この後ご飯一緒に行こう!!」「おい、お前ずるいぞ!」
「ベルちゃん!マイハニー!私とお茶が先約だよね!?」「メリッサ!お前結局さぼりやがって!!今すぐ反省文を書きやがれ!」
ベル
「あ、、えっと!」
あれ、なんか知ってる人も混じってる、、?
たくさんの人に詰め寄られている私を見兼ねて、
近くに居たタルティア先生が助け舟を出してくれる。
タルティア先生
「えーー!皆さん!明日から授業が始まります!
そして、これからクラス別に集まりますので、先程説明があった通り、指定された教室へ向かってください!」
ーーーー
私も、指定された教室へと向かっていた。
クラスの人たちと、うまくやっていけますように!
シャインは、同じクラスかな?
あとで会ったら、さっきの事、お礼言おう。
あの時の彼のウィンク未満の顔を思い出し、
私の顔は自然と笑顔になっていた。
本格的に学園生活が始まる。
けれど、この時の私はまだ知らなかった。
この世界に迫っている不穏な“影”に。
一人の少女がこの世界に生まれた。
彼女は、後に
”彩りの天弓魔女“
と呼ばれることになる。
これは、少女がそう呼ばれるまでの、魔法のある
世界でのお話である。
彩りの天弓魔女 雪板すや @yukisuya
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