▶第3話のシナリオ

■場所(マンション・一室・夕方)


ほむらは、室内を見て回っている。


側には、警察官が見守っている。


その様子を凛や春樹や工藤が眺めている。


竜が、3人を見つめている。


工藤「何で、此処にお嬢がいるのですか?」


工藤の足元には、狼が座っている。


少女は、狼を撫でている。


狼は尻尾をぶんぶん振っている。


凛「はっはっは」

工藤「性懲りもなく、探偵の真似事ですか。お嬢にも困ったものですね。頭が聞いたら、心配しますよ?」

凛「親父は、応援してくれてるさ。それに、これは人助けだ」

工藤「……頭は、甘いのです。あなたに」


工藤は、溜息を吐く。


そして、胃を押さえる。


工藤は、春樹を睨む。


工藤「お前が付いていながら、お嬢を危険な目に遭わせやがって」

春樹「俺に文句を言うな。今回だって、お嬢が」


工藤は、溜息を吐く。


工藤「……まぁ、いい。

お嬢はどうしてここへ?」

凛「あの子の友達が行方不明になったとかで。ここに来た」

工藤「なるほど。そうですか」


ほむらは、棚に置かれた小瓶に目を留める。


そして、それを手に取る。


ほむらは、小瓶を見つめて首を捻る。


竜「おや、何かな。これは。不思議な瓶だ?」


春樹は、ほむらが持つ瓶を見つめる。


瓶からは、靄のようなものが漂っている。


紙人形・壱「気持ち悪いね」

紙人形・弐「そうだね。気持ちが悪いね」


狼は、小瓶に牙をむき出しにして唸っている。


少女も小瓶を見つめている。


春樹は、ほむらに近づいていく。


そして、小瓶を手に取る。


凛「……っお、何かを感じたかっ⁉」


凛は、春樹に駆け寄っていく。


ほむら「そんな物は、前に来た時にはなかった気が。これが、何か?」


小瓶には、不思議な模様が描かれている。


春樹は、小瓶を耳に近づける。


謎の声「……っだ、誰か。助けてくれ。誰かっ⁉」

紙人形・壱「声が聞こえるね」

紙人形・弐「そうだね。声が聞こえるね」

竜「声だとっ⁉」


春樹の元に竜や少女。狼が近づいてくる。


竜「本当だ。声が聞こえるぞ。助けを求める声が」


春樹は、小瓶の栓を抜こうとする。


しかし、抜けない。


凛「春樹は、ひ弱だなっ⁉」


春樹の眉間がピクリと動く。


紙人形・壱「ゴリラ女」

紙人形・弐「そうだね。ゴリラ女だね」


工藤は、くすりと笑う。


凛「貸してみな。俺が開けてやるっ⁉」


凛は、得意げに鼻を鳴らす。


春樹から小瓶を奪う。


そして、小瓶の栓を抜こうとする。


凛の顔がどんどん赤くなっていく。


しかし、抜けない。


凛「ちくしょう。開かねぇじゃねぇか。この野郎っ⁉」


凛は、小瓶を壁に投げつける。


春樹は、溜息を吐く。


紙人形・壱「短気だね」

紙人形・弐「そうだね。短気だね」

ほむら「何をやっているのですかっ⁉」


小瓶は、跳ね返る。


そして、春樹の顔面に直撃。


紙人形・壱「痛いよ」

紙人形・弐「そうだね。痛いよね」


春樹は、床に仰向けに倒れる。


小瓶は、工藤の足元に転がっていく。


工藤は、小瓶を拾う。


工藤「頑丈だな。お嬢の馬鹿力でも壊れないか」


工藤は、小瓶を振る。


そして、耳に近づける。


凛「まったく。それぐらい避けろよな。運動神経悪いなっ⁉」


凛は、苦笑いを浮かべる。


竜「世話の焼ける」


ほむらが、春樹に駆け寄っていく。


ほむら「大丈夫ですかっ⁉」

春樹「……っあ、あぁ」


春樹は、起き上がる。


春樹の鼻から、血が流れる。


ほむら「鼻血がっ⁉」


ほむらは、ハンカチを取り出して春樹に差し出す。


しかし、春樹は断る。


春樹「いい。ハンカチが汚れる」

ほむら「ハンカチは、汚すためにあるのですっ⁉」


春樹は、目を見開く。


紙人形・壱「正論だね」

紙人形・弐「そうだね。正論だね」


ほむらは、春樹の鼻にハンカチを押し当てる。


ほむらと春樹の姿に凛は舌打ちをする。



■場所(一ノ瀬邸・夜)


瓦屋根の日本家屋。


表札には、一ノ瀬と書かれている。


敷地内には、蔵や日本庭園がある。


黒服(上下スーツ)を着た者達が、巡回している。



■場所(一ノ瀬邸・和室・夜)


風鈴の音が鳴っている。


座卓を囲み、


一ノ瀬竜輝・塁(妻)・凛・工藤・春樹が


食事をしている。


塁「まったく、この子ったら。いつもいつも春樹君を巻き込んで。悪戯ばかり」

凛「いつまでも子ども扱いするな。悪戯じゃねぇよ。人助けだ」


ショートヘアで黒髪。


シャツにジーンズ。エプロンを身に着けている塁。


凛の頭を小突く。


塁「ごめんね。うちの乱暴者の娘が」


塁は、春樹に微笑む。


春樹「……いえ。もう、慣れてますから」

紙人形・壱「この人は、苦手だ」

紙人形・弐「そうだね。どうしていいか分からないね」

凛「おい、そりゃ。どういう事だっ⁉」

一ノ瀬竜輝「凛。食事中だよ。静かに」


一ノ瀬竜輝は、凛に微笑む。


一ノ瀬竜輝の背後には、


鎧兜に身を包んだ武者が仁王立ちしている。


強面の顔。額からは、2本の鋭い角が生えている。


紙人形・壱「相変わらず怖いね」

紙人形・弐「そうだね。怖いね」


鎧武者は、ぎろりと春樹を見つめる。


凛「はーい」

塁「貴方。もっとしっかり怒ってください。この子が図に乗ります」


塁は、眉間に皺を寄せて一ノ瀬竜輝を見つめる。


一ノ瀬竜輝は、苦笑いを浮かべる。


工藤は、箸を置く。


そして、頭を下げる。


工藤「俺からも頼みます。お嬢の命にも関わります」

一ノ瀬竜輝「そうだね。凛。他人に迷惑を掛けてはいけないよ。いいね?」


塁と工藤は、呆れてしまう。


狼は、工藤の側で眠っている。


凛は、春樹に歯を見せて笑う。


少女は、縁側に腰かけて足をぶらぶらさせ空を見上げている。


紙人形・壱「懲りてないね」

紙人形・弐「そうだね。懲りてないね」


春樹は、溜息を漏らす。



■場所(一ノ瀬邸・大浴場・夜)


湯気が充満している。


蛇口から滴る水滴。


春樹は、湯に浸かっている。


紙人形・壱「良い湯だね」

紙人形・弐「そうだね。良い湯だね」


春樹は、欠伸をする。



■場所(一ノ瀬邸・廊下・夜)


浴衣姿の春樹。


首からは、タオルをぶら下げている。


春樹は、廊下を歩いている。


反対方向から、少女が駆けてくる。


そして、春樹に抱きつく。


紙人形・壱「世話が焼けるね」

紙人形・弐「そうだね。世話が焼けるね」


春樹は、くすりと笑う。



■場所(一ノ瀬邸・道場・夜)


凛は、胴着姿でトレーニングをしている。


大粒の汗を流している。


トレーニングを中断。


床に仰向けで倒れる。


春樹「明日の課題。終わったのか?」


春樹は、凛に飲み物を差し出す。


凛は、飲み物を受け取る。


凛「大きなお世話だ」


春樹は、凛の隣に腰を下ろす。


凛は、頬を赤く染めていく。


そして、春樹との距離を少し空ける。



(第3話 終了)

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アウトローたちの譚詩曲(バラッド) @meganecoking

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