サイバーセキュリティと『PRISM(プリズム)』と。ホワイトハッカーのすべて

長尾景虎

第1話 ~全世界監視社会とサイバー戦争と(株)日本の崩壊のシナリオの真実~元・全国新聞紙投書有名人の僕が、天才IT技術者たちが違う道を歩み始めるまでを取材して~

ノンフィクション

サイバーセキュリティと『PRISM(プリズム)』と。ホワイトハッカーのすべて

  ~WHITE HACKER(WHITE HAT HACKERS)~

~全世界監視社会とサイバー戦争と(株)日本の崩壊のシナリオの真実~元・全国新聞紙投書有名人の僕が、天才IT技術者たちが違う道を歩み始めるまでを取材して~

 とんでもないことが、今、日本で起きている。中国、米国、EUのハゲタカが日本を買い漁り、日本の崩壊が近づいている!                       

                       

         ~新たな真実!渾身の書き下ろし

        『伝説の天才ハッカー』『ハッキング』の真実が甦る!

                 total-produced&PRESENTED&writen by

                    NAGAO Kagetora

                   長尾 景虎

 

          this story is a dramatic interoretation

         of events and characters based on public

         sources and an in complete historical record.

         some scenes and events are presented as

         composites or have been hypothesized or condensed.


……人は望むとおりのことができるものではない。望む、また生きる、それは別々だ。

 くよくよするもんじゃない。肝心なことはねぇ、

  望んだり生きたりするのに飽きないことだ。………

     ロマン・ローラン作『ジャン・クリストフ』より



「ハッキング」は不正アクセス禁止法違反の犯罪です。

けして模倣や行動に起こさないで下さい。この書はノンフィクションです。


   概要・ホワイトハッカー

[まえがき]ハッカーとは何か?[第一章]〝天才ウィザード級ハッカー〝のハッキング

[第一部 サイバーショック・名和利男氏]

[第二部 ヒメオモン 蒼天のZEROヒメオモンの最期][第三部 マックス・バトラーICEMAN 天才サイバー・テロリスト][第四部 エドワード・スノーデン PRISM]

[第五部 株式会社日本の崩壊のシナリオ20 日本が根こそぎハック(略奪)される!]

[第二章]ハッキング ハッカーの現在(いま)

[最終章]ハッキング・ジャパン アンド ワールド[謎解き]



          まえがき[ハッカーとは何か?]


確かに、わたしは専門家でもないし評論家でもない。が、僕は十数年前に、全国新聞紙で何回も投書が掲載されて全国に情報やこの国の危機を発信し有名になり、あの週刊文春までもが僕を取材した実績と経験を持つ。いわば素人ではあるが最強の知性の〝はしくれ〟―――――この作品は元・NECプログラマのわたしが本気で、血のにじむような研究の末に、著わした作品である。この著作を一読すれば、どれだけ研究や勉強に長い時間がかかったか、とわかるはずだ。

まあ、それだけ価値がある、ということ。

みなさんはこのようなハッカーの知識を持っていますか? ただやみくもにハッカー本を読んでいてもハッカーの知識の不足は解決できると思っていたかもしれませんが、それではうまくいかないですよね? 今回、わたしが提示するハッカーの知識の本は、この課題を解決する最適な方法で、100冊のまとめで作った本というという方法です。この方法の画期的な点(斬新さ・メリット)は、100冊の知識が一辺にすべて学べるという点です。なぜ私がこの方法を知っているかというと、私は学問好き・本好きだからです。この方法はすでに数万人の人が試して成功しています。こういう知識を習得すると、人生が劇的に変わります。良いことだらけです。みなさんがこの方法を知らなかったとしても無理はありません。なぜならプロには当たり前でも、素人にはわからない知識だからです。この方法は、時間がなくしかし知識を得たい人達におすすめです。さあ、この本を読みましょう。

ハッカーとはコンピュータの仕組みやプログラム言語やインターネット上での活動に詳しい「優れたひと」という意味である。だが、企業のホームページや顧客名簿にアクセスして、個人情報を盗んだり、個人のPCにウィルス型メールを送って感染させ、個人情報やクレジットカード暗証番号を盗んだりするのは「ハッカー」ではない。

そういうのは「クラッカー」と呼ぶ。

なにあれハッキング・クラッキングも「不正アクセス禁止法違反」でしかない。

つまり、犯罪である。興味本位で大企業のホームページをダウンさせたとしよう。ほんの数時間でもその企業は営業に支障をきたす。(ネットの匿名性など嘘だから、警察が本気になればすぐ現住所も本名も特定され、逮捕補導される。そんな甘い世界ではない)

それで警察に捕まれば、損害賠償額は数億円規模になる。

アクセスの理由が「興味本位」「遊び感覚」だろうが、そんな言い逃れは通用しない。

「〝踏み台〝を何台か経由させたから…」も甘い。警察のサイバー課のスペシャリストを舐めてはいけない。すぐ捕まる。

それと勘違いがあって、本を一冊読んだからとて、ゲームをつくりながらプログラム言語を勉強するからとて、コンピュータプログラム言語を専門学校かネット講座で習ったからとて、すぐに『天才ハッカー』『天才ウィザード級ハッカー』『天才プログラマ』などにすぐになれる訳じゃないということだ。

それは当たり前だ。

野球・サッカーの本を読んだからあなたがすぐに『大リーガー』や『プロサッカー選手』になれないのと同じ事だ。残念ながらこの本を読んだだけでは〝凄腕のハッカー〝にはなれない。

理由は前述した。だが、ハッキングの基本やサイバーの最新情報などを読み込むことでイロハは学べる。

後は、あなたがコンピュータプログラム言語(UNIX Java script Python Ruby C++ HTML PHP iOS android CSS等)やハッキングツールやらを必死に努力して学び、数年後、くらい経てばプロになれるかも知れない。

だが、要は、それで「何をするか?」だ。

確かにパソコン・オタクみたいだ。だが、この書もミステリーのようでもある。

ハッキングの正義のハッカー「ホワイトハッカー」に迫るノンフィクションである。

だが、「パソコンでどこまで「できる」んだろう。」そう考え始めたとき、キミは「ホワイトハッカーの道」の第一歩を踏み出している。

残念ながら、この本をひととおり読んでも、「ホワイトハッカー(正義のハッカー)」にはなれない。当たり前だ。誰だって簡単に大リーグ選手になれないのと同じ事だ。

でも、この本はあなたが「ハッカー」になるための情報が満載である。コンピュータは学べば学ぶだけ上達する。まずは「ホワイトハッカー」への第一歩である。

この本で、あなたの「ホワイトハッカーとしての人生」がスタートすることを祈っている。

では。     HACKING START!!



 「登場人物表」

 名和利男      ………… 日本のサイバーセキュリティ技術者

                天才ホワイトハッカー。1971年北海道出身。妻子あり。

 竹中平蔵      ………… 経済学者・パソナ会長(日本の資源を食い物の売国奴)

 安倍晋三・菅義偉  ………… 政治家・首相(アメリカのポチ・日本を食い物に。悪党)

姫尾和博      ………… 通称・ヒメオモン。IT企業社長を経て、宇宙事業社長。

 日枝久会長     ………… 元・フジテレビ会長

 亀淵社長      ………… 元・日本放送(フジ系ラジオ放送局)社長

 北尾吉孝      ………… SBI元・CEO(ソンバンク系企業)

 乙部綾子      ………… 元・ライフノア社長秘書

 ――――――――――――

 エドワード・スノーデン …… 元CIA・NSAセキュリティSE(告発者・当時29歳)

 リンゼイ・ミルズ    …… スノーデンの恋人

 ローラ・ポイントラス  …… ジャーナリスト(カメラマン・映画監督・脚本家)

 グレン・グリーンウォルズ…… ジャーナリスト(インタビュア)

 イーウェン・マッカスキル  …… ジャーナリスト

 ハック・フォスター   …… NSAの技術者

 ジェイコブ・アッペルバラム… ジャーナリスト

 オリバー・ストーン   …… 映画監督

マックス・バトラー   …… 天才ハッカー(別名ICEMAN)闇の不正の帝王へ。

クリス・アラゴン    …… 偽造クレジットカード作成者

ザ・コラプティッドワン(仮名)……謎の天才ハッカー(闇サイトで暗躍?)

サイロ(仮名)        ……謎の天才ハッカー(カナダ?闇サイトで暗躍?)

マスター・スプリンター(仮名)……謎の天才ハッカー(巨大犯罪組織のリーダー)

                         (ポーランド?)

                           他


第一章  〝天才ウィザード(魔法使い)級ハッカー〝のハッキング LIFE to A Hacker


    ハッカーになろう How to A Hacker


           ハッカーになろう


あなたが「ホワイトハッカー(WHITE Hacker)になりたい!」と思ったとき、方法はいろいろある。ネットワークの天才たちや熟練のプログラマのコミュニティや共同体文化、その文化のなかのひとたちがあなたを「ハッカー」と呼んでいたらハッカーであろう。

ハッカーではなく(「正義のハッカー」を「ホワイトハッカー」と呼ぶ)「クラッカー(Cracker)」はコンピュータに侵入したり、電話のただ掛け、ウィルス入りSPAMメールやマルサムウェアやトロイウィルスや企業へのDDos攻撃などや仮想通貨の不正搾取などをする(悪質な犯罪)ハッカー(クラッカー!)のことである。

クラッカーは怠惰(たいだ)で無責任であまり頭が良くないとハッカーは思っています。

ネット上のハッキングツールを只、利用して、気に入らない相手にクラッキングしたり……まあ、車の点火装置をいじって、キーなしで車を始動できても、自動車のエンジニアになれないのと同じ事です。ハッカーは創造し、クラッカーは破壊する。



ハッカーとは創造性(クリエイティブ)であり、退屈な単純作業ではない。



1、 プログラミングを身につけること(はじめはPython→Java→Unix→C++→Perl→LISP→アルゴリズム→AIプログラム)

2、 オープンソースUNIXをどれか入手し、使い方を動かしておぼえること(UNIXがわからないとハッカーにはなれない)

3、 World Wide webの使い方を学びHTMLを書くこと(コードを書く)

4、 まともに英語(英会話)ができないなら、身につけること。

ハッカー文化での活動

1、 オープンソースソフトウェアを書く(フリー・ソフト)

2、 フリーソフトウェアのテストやデバックを手伝う(旧・BackTrukみたいな)

3、 有益な情報を公開する(Webページ内)

4、 インフラが機能し続けるように手伝う(ネットやデバイスやハード&ソフト)

5、 ハッカー文化そのものへの貢献(ハッキングは不正アクセス禁止法違反です。)

(つまらないおおげさなIDやハンドルネームを使わない。バカなやつのフレームとは関わらない。サイバーハッカーを名乗らない。そういうやつに関わらない。誤字脱字だらけの文法で投稿やメールをしない)

大体、18ヶ月から2年くらいでハッキングスキルはちゃんと身につけられる。

楽しんで学べばよい。ハッカーになるのは数学はまったくとはいわないが必要はない。

数学ではなくプログラミング言語だから。逆に英語と国語とプログラムの技術のみ!


  






NHKスペシャル「日本の諜報 スクープ最高極秘ファイル」



誰かが見ている!

アメリカ諜報機関元幹部「NSAは特定のスマートフォンに遠隔操作アプリを秘密裏に仕込んでいます」遠隔操作カメラON。そうすると個人のカメラを乗っ取り、隠し撮り情報を秘密裏に得られる。そのことを誰にも気づかれず〝メール〝や〝画像〝も個人情報を簡単に抜き出すことが可能だ。

これはPCでもモバイルでも同じことである。簡単にインターネットにつながったPCから、画像やメールなど、個人情報を、簡単に抜きだすことが可能だ。

元諜報機関高官は「電話の内容も、メールも、すべて収集しています。人々の行動すべてを手に取るように把握しているのです。」

諜報機関、CIA(米国) NSA(米国) MOSSAD(モサド・イスラエル)MI6(イギリス) GCHQ(イギリス)中国国家安全部(中国)。国の安全保障をお題目に大量の情報を収集している。かつてはスパイ(諜報員)や、通信傍受とかあったが(通信暗号、解読)、現在は、今ではネット諜報が主流だ。

諜報活動はインターネット空間に拡大した。

肥大化の一途をたどっている。

アメリカの諜報ファイルの中のジャパンファイルに頻繁に登場する日本の諜報機関。DFS。日本の防衛省の電波部の謎の諜報機関だ。

防衛省幹部職員「何をやっているのか全く分からない。表に出せないことをやっているのだ、と」ファイルには「CROSS HAIR」(クロスヘア作戦)という作戦名まであった。

日本も参加した、世界規模の秘密諜報データやネット情報システムも。

〝MALLAD system upgrade.〝。

緊迫する世界情勢。その中で日本の諜報機関はどう動いていたのか?その謎に迫る。

ヒミツのベールに包まれた日本の諜報。その存在が極秘ファイルのスクープで、今明らかになる。アメリカでNo Such Agency(存在しない組織)とやゆされる NSA(国家安全保障局National Security Agency)電波や通信の傍受をこなす国家機関で、取材・撮影も厳しく制限されている。

今回そのNSAの最高機密を極秘入手した。

調査ネット会社「ジ・インターセプト」が保管していた極秘ファイルである。

そのデータは厳重に暗号化され保管されていた。「ジ・インターセプト」

ライアン・ギャラガー記者「この機密ファイルは、これまで全く知らされていなかった日本の諜報活動の実態を、歴史上、初めて明らかにする貴重なものです」

 2013年NSA元分析官エドワード、スノーデン氏が、大量のNSAの極秘ファイルを外部に持ち出した(スノーデンファイル)(スノーデン事件)その中のジャパンファイルである。日本の諜報活動について、記した極秘ファイルである。

(大韓航空機007便撃墜事件 (ソ連が))〝The KAL-007 Shootdown.〝1983年、日本の情報機関が世界に知られるところになったのが、ソ連による1983年の大韓航空機撃墜事件であるとされている。

日本の傍受した音声が、北海道沖で大韓航空機がソ連の領空を侵犯し、ソ連の戦闘機がミサイルで、サハリン沖で撃墜したとされるのが、日本人28人をふくむ269人が死亡した〝大韓航空機撃墜事件〝である。

当時、ソビエト軍による関与が疑われていた。

しかし、ソビエト連邦のグロムイコ外相(当時)は、「アメリカが韓国の航空機を事故と、故意に利用し、国際情勢を悪化させようとしているのは明白である」と。

ソ連は「アメリカの陰謀だ」と強く非難した。「容赦しない」と。

この期を打開したのが、日本の諜報機関だったと、ジャパンファイル〝Japanese SIGNT organization.〝〝日本の通信傍受機関〝には記されていた。

事件当時、防衛庁稚内通信傍受施設所のレーダーがソ連の通信を傍受していた。

ソ連の戦闘機の地上への通信を傍受。

通常軍の通信は、傍受されにくいように、頻繁に周波数が変えられていたり、暗号や特殊な言葉が使われることが多い。

だが、稚内の通信部隊は、ソ連の通信の周波数もキャッチし、特殊な暗号も把握していたのだ。

傍受の現場に立ち会った佐藤守男氏「〝ツエーリ(目標)、ウニシトウージュナ(破壊された)〝」

「ソ連の、戦闘機の演習の時でも使われる決まり文句なんですね。これは衝撃ですね。この文字は。死ぬまで忘れないでしょうね」

アメリカ・レーガン大統領(当時)「日本がソ連機の通信を傍受し、テープにとっていた。その録音をお聞かせしましょう。あす安保理(国連常任理事国)に提出する」

 日本の傍受の録音は1983年の国連安保理理事会にかけられた。

公にされた。〝目標を撃墜〝……動かぬ証拠を突きつけられたソ連は、撃墜の事実を認めた。日本の諜報能力の高さを世界に知らしめた。ところが、アメリカは日本側の音声テープのみを公にした。

テープは二種類存在したが、一つだけを提出した、と。

実際にはアメリカもソ連の通信を傍受していた、と。

アメリカ・メリーランド州 。NSA元・分析官カーク・ウィービー氏「レーガン大統領は、私たちNSAに対し、こう命令しました。大韓航空機を撃墜したソビエトのパイロットの音声テープを、国連の安保理常任理事国に提出するように、と。しかし、NSAは通常音声テープなどを公開することはあり得ません。すべて最高機密だからです。

通常、諜報機関はだれがいつどうやって情報を傍受していたのかを隠すために、音声データを、そのまま公にすることはない。

しかし、アメリカはソ連の撃墜の事実をさらすために日本側の音声のみをさらしたのです。本来なら、その音声テープを公表すべきではありませんでした。それは誤った行為でした。秘密にすべきだったのです」

ファイルには、ほとんど表に出ることのなかった日本の諜報機関の関与が公になった、と。

将来にわたりその交信チャンネルが機能しない状態に追い込まれたのだ。

そういう危機は、日本側も承知していた。しかし、アメリカに従うしかなかった。

佐藤守男氏「極論すれば、アメリカの出先機関である。大韓航空機撃墜のボイス録音テープが、諜別 (傍受部隊)からアメリカへ渡ったのは、ごく自然な流れだったと思います。いつものように流していた。ここは日本じゃない。日本じゃなくアメリカだ、と。アメリカのなかのアメリカだと。」

日本の諜報機関はこの後数十年間隠れ続けた、とジャパンファイルにはある。「DFS(日本の諜報機関)は米国NSAの重要なパートナーだ。その関係は50年以上にわたる」

戦後、半世紀にわたり存在してきたにもかかわらず、すべてがなぞのDFS。

一体どういう機関なのか?

防衛省のC-1棟の電波部。電波部は組織図さえなく、部員には厳しい守秘義務があるという。

内閣情報調査室もジャパンファイルに頻繁に登場する。

内閣情報調査室(Cabinet Intelligence Research Office(CIRO・サイロ))……警察庁(国内治安)…公安調査部(国内の治安情勢)…外務省(国際情勢)…防衛省(電波部)(海外の情報)(安全保障)

陸上幕僚監部第二部調査別元隊員、宮田敦司氏「北朝鮮の情報収集。対象国の情報を集めて調査内容を上部に報告していた。日本の防諜アンテナの拠点は全国で六ケ所。北海道・新潟・東京・島根・九州・沖縄。数多くの衛星通信の傍受していた。軍事施設や戦闘機や空母からの通信情報であった。情報は米国のNSAにも渡っていた。

情報にはギブアンドテイクという。しかし、日本は情報を全部、渡していたが、アメリカからは選んだ情報が渡されるだけであった。対等ではない」

アメリカには情報を共有する優先順位がある。アメリカ+イギリス+カナダ+オーストラリア+ニュージーランド…「ファイブアイズ」(セカンドパーティー)*英語圏で、第二次世界大戦をともに戦った戦勝国で、米国の同盟国。日本やイタリアフランスは(サードパーティー)。ファイブアイズのさらに下。日本が、戦後独立をかちとった1952年の内閣官房調査室、大臣官房調査室調査員(内閣情報調査室)の古い文章が存在している。

アメリカから、内調を作る際に、「世界の諜報機関の重要性」を強く主張したアドバイスがあったという。内閣調査室元・首席・志垣民郎(しがき・みんろう)氏 96歳。

「当時、米ソ冷戦下にあって、ソ連の、共産圏の防衛国としての役割を持ったアメリカは、日本にその役割を求めた」という。

内調の公文書を手に入れた作家の吉原公一郎氏「アメリカに代わって情報収集。なんたって中国は近いし、北朝鮮は近いし、ソ連もとっても近いですね。裏庭みたいなものですよ。情報によってアメリカの中の 一役割を果たしている」という。

 戦後日本の諜報活動を示したジャパンファイル。

横田基地で、米国が、通信傍受の機器の費用の一部を日本が負担した、という記述。約3000平方メートルの、最新機器の通信システムの建設費用を660万ドルのほとんどは、日本が支払った。年間37億円、5000万ドルの人件費もすべて日本が負担した。

思いやり予算(年600万ドル 2000億円)として、日本政府が、払い続けている。もっとも特筆すべき成果は、日本の支援を持って作った、20カ所の特別なるアンテナで、アフガニスタンにおけるアフガニスタン攻撃を支えた「クロスヘア作戦」だ。

世界中に、通信傍受のアンテナを作り、地球規模の諜報網を作り上げたアメリカ。

アメリカの軍事費削減のためクロスへア作戦の、傍受と、20数施設を、閉鎖しなければならないこととなった。情報収集能力が著しく低下した。

しかし、日本を含むサードパーティーの国々は、作戦に協力する能力、意思があり、彼らの参加によって、クロスヘアは拡大することになった。

戦後、憲法9条によって、後方支援にもかかわってきた日本。情報収集にかかわってきたことに、違憲性はないのか? 情報戦で、日本の情報が直接戦争に従ったのであれば違憲である可能性もある。

2003年イギリスGCHQ。アメリカのNSAが、一連のメール(2003年のイラク戦争で、関係国のカメルーンやアンゴラ、パキスタン)とやらの国の弱みを探ってくれ、と。

その情報をもとに、脅し・ゆすり・恐喝や世界情勢の混乱を狙った。

電話、FAX、インターネットのメール情報…。

GCHQの元職員のキャサリン・ガン氏は、それをマスコミに暴露した。

ガン氏「ショックでした。その内容は、もはや外交を逸脱していましたからね。許されない行為だったからです。アメリカの目標達成のために、有効な、あらゆる情報を収集しろということだった」逮捕後、無罪になったもののGCHQをクビになった。

イラク戦争 (2008年~2011年)。戦死者120000人。サダム・フセイン逮捕、死刑。

ガン氏「NSAは、同盟国であれスパイするのです。歴史も示していますが、国家が、このような権限を得ると、際限なく肥大化します。たがが外れて、終わりがなくなります。あいつが悪い。あいつが盗んだ。と、スパイしあうことがきわめて強くなるのです。」

DFS。「NSAのおかげで、ネットで情報を、収集をするスキルを身につけられた。ネット情報収集は 、2001年9月11日、アメリカ同時多発テロから始まる。それまでは一部の情報者の追跡や傍受をするもの。しかし、社会に巧妙に溶け込んだテロリストは、一般市民とテロリストを分けるのを不可能にした。そこでネット情報諜報機関が重要視された。」

「マラード(MALLARD)は、一般の通信情報収集のシステムのように収集する。日本の福岡の大刀洗(たちあらい)には、傍受レーダーが小型を含み十一機ある。ドームの中にアンテナがあり、どの方向から情報を収集しているのか、分からなくなっている。

無線のインターネット。マラードで、北朝鮮や中国の情報を収集している。

マラードはNSAと、電波部の、共同通信傍受システムである。集めようと思えば、衛星を介した情報は何でも集められます。民間のネットメールや電話やファックスなど、すべてを集めていて傍受しています。もはや我々には、プライバシーはないのです」

ネット情報の乱用を世界が知ったのは、 NSAの元分析官エドワード・スノーデン氏の告白でした。

〝Collect it all.〝すべてを保有する、を掲げた米国NSA。その中には日本を含む一般人のネット情報もあった。ネットのわずかなとっかかりから個人の情報をすべて収集できる。

スパイのGoogle〝エックスキースコア(XKEYSCORE)〝。

例えば、ネットやインターネットで検索して、ホームページを見たところから、その人の、メールや画像など、あらゆる情報を見ること、収集することができる。スノーデン事件で、明らかになった、行き過ぎたネット諜報。

アメリカでは、個人情報の収集は法律で禁止されている。

オバマ大統領(当時)による改革で、規制がかかった。

日本のネット情報を集めていたのは、日本の内調。そのトップ、北村滋内閣情報室情報官。「ノーコメント。日本では国内外のネット諜報は原則禁止。法律違反である」という。

しかしスノーデン氏は、2011年に、内閣が、ネット諜報にのりだしているという。

マラードは、一時間当たり50万回のネット諜報を行っていた。

1時間に、彼らは、50万回の情報収集をしているが、脅威なのは、たった一件。彼らはこう云うでしょう。「私たちはネットの情報を得ることはあるが、読んではいません。」

誰がそれを確認するのか ?

内調もDFSも、電波部も「情報を収集はしていない」と「ノーコメント。」

ネット諜報。国家によるネット諜報。トランプ大統領(当時)誕生もロシアのサイバーテロやサイバー攻撃による、情報かく乱、で、あった。マラードの強化を目指すことであった。

国民の知らない間にネット諜報は進んでいく。

問われているのは私たち国民一人一人だ。



[第一部 サイバーショック・名和利男氏]



   サイバーショックCYBER SHOCK〝日本の機密情報〟(NHKスペシャル参照)

     2016年2月7日放送分


「けっこうきています」

 日本に集中する無数の道程……サイバー攻撃だ。

 日本年金機構もサイバー攻撃による集団攻撃で、少なくとも約125万件の個人情報が流出したといわれている。

 しかし、このサイバー空間の主役は個人や一部の天才ハッカーから、国家レベルに移っている。後述するが、アメリカ合衆国の世界監視システム『PRISM』。中国も同じようなシステム+中国国内の監視カメラ+AIによって国民を徹底的に厳しく監視している。

 日本年金機構が流出させた情報は、「年金加入者の氏名・基礎年金番号 約3万件」「氏名・基礎年金番号・生年月日 約116万件」「氏名・基礎年金番号・生年月日・住所 約5万件」これらが流出した。

 犯行グループは年金機構以外にも少なくとも、被害企業と団体は1000以上であるという。

 機密文章を含む日本の大企業の機密・特許や技術は、2万件が流出したという。

 日本を襲った前例のないサイバー攻撃であった。

 (当時)開業間近だった北海道新幹線の機密文章もやられた(特許・セキュリティ技術含む)。

 また、日本の防衛省や軍事関連企業の情報もやられた。最先端の技術情報がサイバー攻撃のハッキングで、秘密裏に盗みとられたのだ。

 かつての経済大国・日本国家が長い間築き上げてきた技術情報も何もかも盗まれた(ハッキングされた)のだ。これは痛い。これはキツイ。

 アクセスのログ(通信記録)を追っていくと、上海のある場所にたどり着いた。

 中国のハッカー集団の〝影〟が……見えてきた。

 日本の年金機構を狙ったのは誰なのか? サーバーにログ(通信記録)。

 しかし、何台もの、〝踏み台〟……。

分析することでハッキングの犯行が見えてきた。

セキュリティ会社『カスペルスキー』。

ログを分析すると、犯人たちはエムディビィに感染させて、マルウェア(クラックソフト)で情報を盗みとっていた。

(IPアドレス群)(A社__B社___C社____)(#Whois?)

で、IPアドレス(パソコンやスマホの住所)で被害にあった組織名が判明した。

軍関係、航空関係、省庁関係…………カスペルスキー川合林太郎社長(当時)。

九州歯科大学附属病院も取材をすすめるとサイバー攻撃にあっていた。

医療の最先端技術を狙った犯行らしい。

内部の人間に狙いを定めて、(ウイルス付きの)内部メールのようにみせかけて、メールを送り(標的型メール)、ウイルス感染させたようだ。

北日本新潟の日本海沿いの田舎町のHP(ホームページ)にエムディビィを仕掛けた水飲み型攻撃がなされたこともある。確認した。

HPの画面には何の変化もなかった。

このHPを閲覧するだけで、その個人のパソコンやスマホがウイルスに感染して、情報を盗み取られる形だ。(クレジット番号、IDなどのアカウント、住所や氏名などの個人情報)

HPの画面におかしなところがなにもなかったので、町の役人も気づかなかったという。

HPを閲覧しただけでセキュリティの弱いPCやスマホは感染した。

それは〝日本海難防止協会〟のHP(ホームページ)であった。

サーバーのIPアドレスやログを追うと、福岡の居酒屋の店のPC(パソコン)や、北海道の牧場のPCが〝踏み台〟につかわれていたことも判明した。

日本の大手大企業YAMAHAのバイクの特許や機密情報も盗み取られていた。

サーバーのログを逆探知して、上海や広東省にいっても中国のサイバー軍の正体はつかめなかった。さすがはサイバーの国家的諜報機関だ。

 日本の企業にセキュリティ対策を頼むと、月六十万円(年間七百二十万円)。

「ずいぶんと至れり尽くせりのセキュリティ対策ですが、お値段は?」

「月六十万円。年間七百二十万です」

「……くぅ。」(思わず苦笑)

 だが、背に腹は代えられない??

 日本のあらゆる技術や特許やノウハウが狙われている。

 サイバー攻撃は一日に日本だけで二百万件(年間三百億件)。

 日本のすべてが狙われている。年間256億件(攻撃数2016年当時、現在はその二倍)。

 今、こうしている間も日本の国家や企業の機密は流出し、盗み取られている。

 この事実だけでも、我々は知っておこうではないか。


  NHKプロフェッショナル仕事の流儀『名和利男 激増するサイバー攻撃の脅威。日本を守るセキュリティ技術者』(2015年9月14日放送分)

 

〝I KNOW YOU〟(お前を知っている)……相手のクラッカー(悪質なハッカー)のパソコンに侵入し、パソコンを動かなくする。

 名和利男さんは元・自衛隊員。自衛隊でサイバー技術を磨き、独学でもパソコンのあらゆるプログラムを学習した。

 だが、自衛隊での呑気な上司の態度に煮え切らなくなり、自衛隊を辞めて、独立。

セキュリティ技術者として活躍する。

そんな名和さんは常に、オーバーワーク(過重労働)だ。

日本には名和利男さんに匹敵するホワイトハッカーはまだほとんどいない。

名和さんも講習や企業研修などで後進育成にあたるが、追い付かないようだ。

「一日に数万件のサイバー攻撃がある。だから、ぼくはこの仕事についた。正直、仲間がほしい。自分ひとりでは限界がある」

「なぜ、この仕事を?」

「〝(サイバー攻撃の)現実〟を知ってしまったから……」

 名和利男さんの孤独な戦いが続く。

 現実は小説より奇なり。サイバー攻撃におわりはない。休みはない。

 だが、その現実を知らず、漫画やゲームをするだけなら「現実がみえていない」とそしりを受けても文句は言えないだろう。

 この現実を知ってしまったから……。

 サイバー攻撃、サイバー戦争の幕は、もうとっくに開いている。




[第二部 ヒメオモン 蒼天のZEROヒメオモンの最期]


  この小説はフィクションです。現実の人物や組織・団体などとは関係がありません。


 1 マネーゲーム



  当時、ライフノア(LN)を巡る粉飾決算事件で、証券取引法違反(有価証券報告書の虚偽記載など)に問われた元社長、姫尾和博被告(38・当時)に対し、最高裁第3小法廷(田原睦夫裁判長)は2011年4月25日日付で、被告側の上告を棄却する決定を出した。

懲役2年6ヶ月の実刑とした1、2審判決が確定する。

元社長は全面無罪を主張したが「上告理由に当たらない」と述べて退けた。有罪確定までの勾留日数のうち40日が差し控えられるため、実刑は2年5ヶ月である。

姫尾元社長はLD幹部らと共謀、04年9月期連結決算で、「資本」に計上すべき自社株売却益約37億6700万円を、ファンドを通じて同社の「売り上げ」に計上。さらに、後に子会社になる2社への架空売り上げ15億8000万円も計上し、総額53億円を粉飾(有価証券報告書の虚偽記載)。

また、同年10月から11月には、関連会社の株価をつりあげる為、企業買収や業績状況について虚偽の発表をした(偽計・風説の流布)。

ライフノアがマスコミに注目されたのは04年だった。

独裁総帥・姫尾和博…。このぶくぶくに豚のように太ったまるでドラエモンのような角刈りの男が最初に登場したのはプロ野球新規参入でのことだった。御輿にのせられ、プロ野球球団をつくろうとした。しかし、後出しジャンケンで楽土ITに負けた。

姫尾和博(通称、ヒメオモン)…ライフノアを「わが家」と呼び、インターネット部門などのIT企業(年商300億円程度、従業員千人・当時)ライフノアを作った男はまた愚鈍でもあった。だが、一時期は……破竹の勢いだった。

 しかし、ネクタイも締めず、いつもジャケットかセーターやTシャツ……

 それに比べて楽土ITの社長・未希波社長はビシッとネクタイと背広姿。誰がみたって楽土ITが勝つに決まっている。ヒメオモンには戦略がない。いつもいきあたりばったりだ。

 あのだらしのない贅肉と態度と服装。

 姫尾和博が起業してわずか九年で若き金持ちになる。すべてを独占しなければ気のすまない男は『皇帝』となり、やがては富士山グループを支配しようと試みる……

 パソコンは使いこなせて当たり前……通常の国ではそうなった。IBMも中国にいった。しかし、彼は赤字覚悟で、いや経営感覚などもたずに次々とM&A(企業買収)していく。 米国は双子の赤字、日本は一千兆円の債券国…

  彼は、体は強いほうではなく、よく病気したという。

「子供の頃は、すこし泣き虫だった」

 姫尾和博は後年そうふりかえる。

 学校では姫尾和博は成績も態度も普通で、とりたてて「天才」という訳ではなかった。 学校生活は苦しいものだった。皆からイジメられた、と、いう。

 彼は時代をみる目をもっていた。

 そして、東京大学中退後、起業した。

 二十歳の頃だった。

 しかし、彼は〝ネット産業〝や〝パソコン産業〝の将来もみえていなかった。

「このままパソコン・ネット時代が続く訳ない。きっとITバヴルは弾ける。それにはソフトだけでなくコンテンツも必要だ……」

 そういう部下もいたが、彼は独裁者であり、皇帝でもあったのでそういう不快な輩はクビにされた。彼は考えたあげく、急速にシェアを延ばしているマスコミ産業だと考えた。日本の大きな役所にマスコミ課が普及している。

「おいはパソコンで身をたてにゃいかんばい。それが僕の仕事のような気がするど」

 姫尾和博は目を輝かせた。

「時代は変わるばい!」

 そう思った。

 先生に「音楽の才能がある」といわれ「音楽家になろうか?」とも考えた。「文才がある」といわれて、作家になろうか? とも考えた。

 しかし、姫尾和博は世紀末という出発点にあたり、

「僕がやれるのはソフトだけではないか……?」

 と思うようになっていった。

「パソコンで身を立てるだ!」

 これが彼の志だった。

 しかし、パソコンで身を立てるといっても、なかなか姫尾和博はその一歩を踏めない。 冒険をしたものだと思う。

 しかし、姫尾和博というのは一度決めたらやり遂げる男である。

『世界一のマスメディア帝国』を占領ししようとする男は、どこまでも大胆だった、のである。

 姫尾和博は三十代になった。しかし、髪は角刈り、いつも脂で汚れたぶくぶくの体にTシャツ、ネクタイを緩めずに、ジャケットの肩にはフケがたまっている。肥満だ。

 それに贅沢病である。

 飛行機にはファストクラスにいつも乗る。

「…金がいっぱいある」あっさりいう。グルメで、贅沢な料理を食べ、高級ゴルフをする。 頭はいいが、「パソコン・オタク」で、学生の頃から徹夜してでもパソコンにあたったという。頭はいい。しかも、英語も話せず感情を出し過ぎる。

 いつも野心というか「拝金主義」を剥きだしにして嫌われる。

 彼は徒手空拳でゼロからスタートした。

 調べてみれば、姫尾和博の父はサラリーマンで、富も名声もなく、母はどこかへいって絶縁状態だというのは有名な話しだ。

 ヒメオモンみたいな醜悪なまねだけはしてはならない。蟻が象に勝つことはありえない。堤義明にしたって財産があったから次々と起業し、自社のハードを世界基準までもってこれたのだ。だから姫尾和博は無知だというのだ。

宇宙ロケット事業だのくだらん自己啓発本とかビジネス本とか。まるで女優を愛人にしているなんとか社長ではないか。

 いま「パソコン・オタク」が多いが、姫尾和博はそのハシリだろう。頭の回転が早く、記憶力がいい。学校ではイジメられたが成績はトップだった。

 なんでも一番がいいと勉強した。

 そのためオタク度が進み、独裁にのめりこんだ。人付き合いが苦手で、本当は寡黙だという。しかし、彼の母はそういうことも考えて、ボーイスカウトに入隊までさせた。

 だが、治らなかった。

 彼がパソコンと出会ったのは、学生時代だった。ITバブルで出世していっただけだ。学生時代の学校は、金持ちの子供が通うところだった。

 先に経済戦争がおわり、ウインドウズ・コンピュータがもてはやされていた。

 ソフト作りを学んだ。先見性があった訳ではなく、勘だった。

 だが、誰でも姫尾和博のようになれる訳ではない。最近のヒメオモンの例をみてもわかる通り、ちゃんとした天才がどこかにないと駄目なのである。

 彼はマーケティングも独学で学び、プロパガンダも独学で学んでいる。

 彼の戦略は、「流行り」をつくることだ。

 彼を時代が追い越している。やがては誰かがヒメオモンを追い越す。

 それは、ヒメオモンのような虚業家ではなく、もっとマシな人間だろう。

  話しを元に戻す。

 姫尾和博が東京地裁勝訴という前哨戦勝利ぐらいでなぜ公表の場にのこのこ出掛けてフラッシュを浴びたのか?

 恥ずかしくなかったのか?

 答えは「俺は勝った」という甘えである。

 当時、三十にもなってまだ独裁色が抜けなかった。

 ちっぽけな勝利に酔い、姫尾は浮かれた。……これで富士山グループを乗っ取れるかも知れない……

 甘い感情をもった。専務が進言した。

「社長、富士山テレビ側がポイズン・ピルの次は、ホワイトナイト作戦にでました! まずいです」 他の側近たちも同調した。

 しかし、姫尾はにやにやして笑い続いていた。

 ヒメオモンは敗北は認識していながら、

「そうはいっても、どうしようもないじゃないか!」

 などと逆ギレして激昴しだした。

 そのために買いましが続いたという。

 04年2月に西京銀行(山口県周南市・大橋光博頭取)と共同出資でライフノアはインターネット専業銀行を立ち上げて提携すると発表……金融庁に書類が提出された後も、会議出席幹部たちもヒヤヒヤした。

 ……虚偽がバレないか……

 このためヒメオモンは知り合いの弁護士に、

「虚偽報告がバレそうなんです。どうすればいいですか?」

 などと真顔できく。

 するとその弁護士も馬鹿で、「公表して謝罪すればいいじゃないですか。あなたは天下の姫尾和博なんですよ」といったという。

「頭を下げれば許してもらえるでしょう」

 世間とのあまりにも合わないズレ……

「そうだなぁ」

 姫尾和博はそう頷いた。

 只の馬鹿ではないか?

 インターネット大手(首位)のヤフーあおぞら銀行との提携で銀行を立ち上げている。ヒメオモンはそれを猿真似した。銀行名は「西京ライフノア銀行」……

 しかし、どこの馬鹿が、年商300億円のライフノア銀行などに金を預けるたろうか? 資本金51%を西京銀行が、ライフノアは49%を出資した。ネット販売やネット証券を続けるという。しかし、人気はない。大株主訴訟しか手はなかった。

 無担保ローンにしても「あのライフノアだぜ…」と嫌われる。

(04年3月に姫尾は日本グローバル証券を買収して証券に手をつけたが、04年10月に失敗して撤退している。日本初の女性銀行役員もヒメオモンと組んで窮地にたたされている) 姫尾は会見する。

「ヤフーを出し抜くためにはまごまごしてられない」と野心を剥きだしにする。

 彼はふと自分の愛人たちのことを考えた。

  同じことを息子である姫尾和博もする。父から「友達をつくるな」といわれて、教えを学んだ。

 アイドルの愛人がいる。

 今(当時)、彼女は二十代だ。

 三十代の愛人もいる。この女には六千万円の豪邸をプレゼントした。

 もちろん会社の金でである。

 とにかく絶倫で、女に目がない。

 またとにかく、独裁しないと気がすまない。いつもトップで、命令されるのを嫌う。命令して部下をコテンパンにすると喜ぶ……

 まるで金正恩のようだ。

 05年には出版界にも眼をつけ、幻冬舎と提携…しかし、会社の懐が苦しくなると出版社の株を無断で叩き売った。社長の見城徹は激昴したという。

「なにがライフノア・パブリシングだ! あの豚!」

 04年は「新規参入」が流行語になり、ヒメオモンは賞をもらった。あるお笑いタレントが「なんとか斬り」などというと「くだらねぇやつ」などと嘲笑する。

「東大卒で成功してるのは俺だけ」

「朝、ハムエッグ食べてる」

 ぶくぶくした丸い体を揺らし笑う。

 皆はこのドラエモンのような男を訳もわからず賞賛した。

 皆、無知だった。

 そして、彼は富士山グループを狙う。

「富士山放送の下にフジTVやポニー・富士山、産経新聞、横浜ベースターズや出版社やヤクルト球団などがぶらさがってる。これをネットでメディアとの融合(フジはもうネットもブロードバンドもしている)して互いに儲けましょうよ」

 豚はいう。

「ライフノアはネットで〝ねとらじ〝という形でラジオ配信してる…」

 プロ野球新規参入失敗後も姫尾は「弥生会計」などの業務ソフト会社を買収、また銀行とも提携、インターネット電話ソフト「SKYPe」の会社(ルクセンブルク)スカイプ・テクノロジーとも提携……(ぺイしてないという)M&Aと株式分割で大きくなったが、ライフノアはほとんど事業価値ない。ネット検索会社大手、ヤフーやグーグルに並びたいと顔と名を売った。プロパガンダだった。

(ヒメオモンの顔と会社と個人名の認知度・広告効果価格は数百億円をくだらない。それを姫尾は無料でマスコミに勝手にやらせた。日本の馬鹿らしい大衆マスコミ対策だ)

 ポニー・富士山も産経新聞もホワイトナイト作戦で姫尾には渡さないと、フジたちは画策した。(M&Aとは企業買収合併のこと。株式分割とはたとえばわかりやすくいうと一万円の株を百円で多数へ売り売りやすくしてうって安価に売買して買収すること。あんまり専門家ではないので知らないが、焦土作戦(コーチ・ド・アード・ディフェンス)とは文字通りその会社の企業の利益部分を焼き払う……つまり全部売ったりして焼き払い焼け野原にすること。この焦土作戦で、富士山放送の価値は地におちるところだった。姫尾は北尾に説得されて金をもらえば何も出来ない)

 姫尾和博には、インターネットで何でも出来る、という無謀というか無知な戦略が見える。高崎競馬場買収は失敗。高知競馬、ゴルフ関係と手を広げすぎた。「フジと仲良く提携したいです。富士山放送の筆頭株主はうちとフジテレビさんなんだから焦土作戦なんて意味ないじゃない? 皆で平和的にやれば誰も損しないんだから。私の何がだめなんですか? 顔? キャステング・ボードにぎってる日枝さんと話しあって一緒に儲けようって話しですよ。ライフノアの技術(専門家によるとないという)と(クラウンジェルの)ポニー・富士山や富士山グループのコンテンツで一緒に儲けられるんだから…ぼくのどこが駄目なんですか?」

日枝は「(トップ会談は)考えてません」と斬り捨てる。

そして姫尾は富士山テレビ親会社である富士山放送の株を時間外取引で大量に買い占めだした。(東証2部)05年2月……これはフジにとってドーン・レイド(暁の奇襲)

TOB(公開買付け、テーク・オーバー・ビット)ではないが違法ではなかった(当時))。しかも、金はないから米国のリーマン・ブラザース証券から1000億円も借りた。 ヒメオモンは一代博打、マネーゲームへと突き進む!

 ToSTNeT(トストネット・時間外取引株式市場)でのことで、政府も法の盲点をつかれて慌てた。そして、05年中に時間外取引にもTOBが義務づけられる。

 投資家の敵対的買収を抑制しようとするものだ。

「法律に触れてないじゃないの」

 豚は笑った。「インターネットを使えば、新聞TVは死ぬよ。俺が殺しちゃう」

(公共性知らないで)「シームレスにインターラクティヴにメディアを殺す」

 富士山放送の株過半数を握ろうとした姫尾。そのためまたリーマンからCB(転換価値をきめて借金すること)で何百億円も借り捲る。銀行に「金貸してください」と泣きついた。しかし、「資金は大丈夫なのですか?」と記者にきかれると苦しくなって、

「………うちの財布の心配をしなくていいですよ」

「しかし、資金は?」

「……………だから………うちの財布の心配をしなくてもいいって」

 と逃げ出した。

 ライフノアが潰れてもリーマンには400億円と貸した金1000億円合計で1400億円入るという(MSCB)。ハゲタカ外資といわれる所以だ。

 しかし、外資のメディアへの関与は法律で20%までと決められている。しかし、間接ならまだ法整備は不備だった。

 トヨタの奥田経団連会長(当時)は「フジも用意不足だった」と断罪している。

 ヒメオモンは「金で人間の心は買える。命の次に大事なのは金だ!」という。

富士山テレビの会長のロバのような顔をしたメガネの白髪老人・日枝久は「いや違うと思いますよ。金でひとの心は買えないでしょ? みんなライフノア嫌だっていってるんだから……あの青年と話す気は今のところないですよ」

 と斬り捨てる。

 マスコミは熱をおびたようにこの『ライフノア対フジテレビ』を報道する。

 まるで相撲中継のように……

 なぜヒメオモンのような醜悪な人間が出来たのか?

 それは次の章で描きたい。                      




2 姫尾和博の波乱人生


                          

  姫尾和博は昭和48年(1973)10月29日、福岡県山部市に生まれた。

 彼の父は奉文(ともふみ)といいサラリーマンだった。母は今どこかへいってるが、民江といいこちらも仕事をもっていた。和博はひとりっ子で、鍵っ子で退屈な毎日を送ることになる。

 田舎で、80のばあさんがいたがすぐ死んだという。

 5才で幼稚園へ。バスで30分かかった。

 この頃、百科事典を暗記したというのは〝でまかせ〝である。自分を英雄とみせたかったのであろう。

 昭和54年(1979)6才で山部小学校に入学する。書道を習った。暗記だけはよくできて、学校ではトップの成績だったという。「勉強は嫌いだった…」などという。

 両親は百点の答案用紙をみても何ともいわない。

 父や母は仕事のほうが大事で、子供の成績などどうでもよかったのである。

 小学校の文集には〝常識人過ぎる。もっと創造性磨きたい〝と書く。

 昭和60年(1985)12才のとき私立久留米大学付属中学に入学した。

 成績が落ち始める。小学校では一番だったが、やっと中核の位置に入るのがやっとになる。新聞配達のアルバイトをした。両親は仕事に夢中でこずかいもくれなかったからだという。お年玉もない。

 当時はゲームウォッチやファミコンがブームだった。

 しかし、貧乏人の和博には買えない。そこでコンピュータを買った。

「自分でゲームをつくった」というのは法螺である。

 昭和63年(1988)16才のとき私立久留米大学付属高校に入学した。エスカレータ式だった。また成績が落ち始める。ソンバンクの孫正義が先輩にあたる。

 その頃、ビル・ゲイツが台頭し初めていた。

「おれもゲイツのようになりたいばい」

 和博は夢みた。

「それには東京にいがねばならんばい! そげんこついうても東大だな。東大卒業であれば皆が注目しておれの話ばきいてくれるばい!」

 ヒメオモンは当時痩せてた。やっと勉強した。苦手の英語だけ勉強した。

 暗記……である。

 そして、奇跡が起こった。ヒメオモンは平成3年(1991)東京大学文科3類に合格したのである。「奇跡ばい! 奇跡ばい! じゃっど、すごかばい。よし! やったでごわす!」彼は有頂天になった。

 平成3年上京した。

 しかし、そんなところでビジネス・スキルなど身につく訳がない。

 ヒメオモンは優秀な頭脳(といっても東大は世界の大学ランキングでは百位にも入らない)の前でびびった。彼は「つまらない授業で…」といってごまかしている。その前にひれ伏した。おいの頭では無理ばい。こげんこつなるとは思わなかったでごわす……

 正直そう思った。

 アルバイト先でパソコンと出会った。

 学生のときにあったパソコンとは違っていた。マシン語、ベーシック……そんなのではない。天才猿真似男、ビル・ゲイツのウインドウズ95が発売されたときだった。

スティーブ・ジョブズのアイデアの盗作のWindowsのOS…………

「パソコンはこんなに便利なんだなぁ」

 ヒメオモンはこれに目をつけた。

 儲けられるかも知れない。

 その頃、ヒメオモンはニートみたいなものだった。月に千円しかなく、小麦粉を買って御好み焼きばかり食べていた。こんな生活嫌ばい! どけんこつあっても儲けたい!

 ビル・ゲイツみたいになりたいでごわす!

 平成8年(1996)友人ふたり(失脚させている)とホームページ作成有限会社(資本金200万円)で『オン・ザ・エッジ』を設立した。再先端という意味あいだが、崖っぷちという意味も含まれていることをヒメオモンは知らなかった。

 彼は太り出す。20キロも30キロもふとり、ぶくぶくと豚のような外見になった。

 後年からはそれを自慢にする。

「9年で200万円を300億円にしたのでごわすぞ!」

 しかし、それはITバヴルにのっただけの話であることを彼は気付かない。

「インターネット…パソコン…地味で暗いというイメージあった。でもこれだ! って思ったんでごわす。ひとりでゴールド・ラッシュでごわす」

 しかし、すぐに孫、未希波がやってきて追い越していった。

「なにごて?!」

 姫尾は仰天した。

 平成8年には中退して、起業家きどりのことをした。友達だった男たちは邪魔になるので失脚させた。髪はボサボサであったが、「社長、ホームページで営業成績があがりますよ」というと相手の中年や老人はわからないから「じゃあ、まかせるよ」という。

 やがて、平成9年に株式会社として上場する。

 中間管理職を置くためだった。インターネット無料サイトである「ライフノア」を買収し、自社名を「ライフノア」にかえたという。

 平成11年(1999)姫尾は経理の女と結婚して子供をもうけたという。しかし、愛人つくるはDVするはですぐ離婚となった。

 人にきかれると「すれ違いで…」と嘘ぶく。

 社員はやっと百人になった。

 平成12年(2000)姫尾和博27歳。東証マザーズへ上場した。買収、買収をくりかえした。31歳で金持ちになった。憧れのセレブ生活を送れるようになり、スポーツカーにも乗れて、六本木ヒルズに住んだ。正式に離婚して、愛人をかこった。

 リストラやコストカット……文具やパソコンは自前にさせた。

 社員百五十人……だった。

 ヤフーや楽土ITやソンバンクはどんどん先にいっている。「くやしかばい。じゃっどん。もう少しばい! ビル・ゲイツみたいになる! おいどんはゲイツのようになるんでごわす!」姫尾は野心を剥きだしにした。

 絶倫で、女に目がない。しかし、テレビの見合い番組で「さとう玉緒」とかいうタレントにプロポーズされても「おいは愛人や恋人がいるばい」とでもいうのか振った。

 コメントでは「目に¥マークがみえたので…」とお茶をにごした。

 平成16年(2004)になって初めてライフノアの名がマスコミの前に現れる。

 それはプロ野球新規参入に名乗りをあげたからだった。

 当時、近鉄とオリックスが合併して球団がひとつ減る……とマスコミがニュースでいっていた。億単位の赤字を出していた。

「これじゃっど!」

 姫尾和博は買収しようとする。「ヒメオ! ヒメオ!」

 無知な連中は豚のようなノーネクタイの男を絶賛した。

 近鉄とオリックスは合併合意する。姫尾が東北で野球チームをつくるときくと、楽土ITは見逃さない。楽土ITの未希波社長は思う。

「ライフノアみたいなちっぽけな会社だって野球やるっていうんだ……ぼくらに出来ないことないさ」

 かくして、楽土ITは東北に手を広げた。05年9月オーナー会議が開かれた。

 楽土ITの未希波社長はネクタイに背広でびしっときめている。

 それに比べて当時の姫尾はノーネクタイでポロシャツ、髪はボサボサ……

 オーナーたち老人は「なんだ? こいつ…」と思ったという。

 かくして勝負は決まった。

 新規参入は楽土ITに決まったのだ。

 公開ヒアリングが二回も行われたのに、姫尾はノーネクタイのまま……

 学習能力や戦略、マナーというものをこの男はもちあわせていない。

  結局負けた。

 高崎競馬にも負けた。そして、フジのクイズ番組『ミリオネア』に出て一千万円を貰うと偽善で「新潟の被災者へ…」という。司会のみのもんたが、

「一千万とは姫尾さんにとってどういう金額ですか?」ときくと「たいした額じゃない」などと胸を張る。ならなぜポケット・マネーは出さないのだ?

 ベスト・ジーニスト賞をもらう。お笑いタレントを「くだらないやつだ」と嘲笑する。 高知競馬場を買収する。

 赤字だという。

 しかし、負け惜しみをいう。

「ラスベガスはテラ銭15%……日本の競馬のテラ銭が25%…ダメだというところがチャンスがあるんでごわすよ!」

「なんで野球だったのですか?」

「……野球ってテレビにでない日はないじゃないですか? これはPR効果大だなって。それでですよ。シナジーをだすためのインセンィヴです」

 姫尾は六本木ヒルズ36階に自社をかまえる。やっと社員千人になった。

 午前9時に出社してメール五千通をみる。コンビニの弁当を食べて女を抱く。

 そして、思いつきが始まる。

「……富士山グループ?」

 豚はカリスマ弁護士と呼ばれていた顧問にききかえした。

 こうして、メディア侵略を謀り……ポイズン・ピル……ホワイト・ナイト……撤退・提携作戦と抵抗を受ける。かくしてヒメオモンは最期を迎えることになる……





3 1000億円借金からのスタート



「メディアの20%枠? いいんじゃないですか? アメリカだってカナダやEUだってやってますよ。外資によるメディア支配は防ぐのが世界の常識……あの青年は金で人心も買えるといってるが僕は買えないと思うなぁ」日枝フジ会長は首をひねった。

「メディアの20%枠なんてすぐこわれちゃうんですよ。ぼくはメディアなんて殺します」 姫尾は醜悪な身体を揺らす。

 IT企業のひとたちはシナジーに疑問をもつ。「ライフノアと富士山グループがくっついてもうまくいく訳ない」

 姫尾は富士山放送株を買いまし、富士山放送は上場廃止になる。

 かくして、富士山放送はホウイトナイト作戦を開始……北尾に金を渡されて撤退・提携するしかなく姫尾は愕然となる。力の差……しかし、焦土作戦よりはマシだった。

 ヒメオモンに買収された「弥生」ソフトの社長(五十代)は語る。

「会議でまたネクタイなしで、いつも数字だけ細かい。問題点ばかり探す。オン・ザ・エッヂは知ってた。金はフェアだといってました。IT業界と世間のギャップはすごい。

 姫尾は老人とは違う頭があるが、世の中をかきまわしただけ。

 直球しか投げないひとで、マーケティングはすごい。キャラクターはすごい。学習能力はあると思う。プロ野球でやぶれて、裏側から富士山放送に入った。

 何百億という金を使うのはすごい。ぼくより年下でもまったく抵抗はないが……」

 富士山放送の社員は反姫尾であった。

 亀渕富士山放送社長(当時)は「ネットもブロードバンドもフジもうちもやってる!」と激昴する。敵対的買収の時代の扉を開くにはケースとなった。

 ライフノアでは『メディア部』という部署をもうけ、おなじみのネットに本腰をいれることになるはずだった。

 発足と同時に若い人材が入ってきたが、それはITバヴルにやぶれて泣く泣くライフノアへきた男だった。

「こいつは下請けではごわさんか」

 姫尾和博は感付いた。

 しかし、この男、なかなかプログラミングの知識がすごい。剣豪は相手の剣さばきで腕がわかるというが、姫尾和博は相手の頭のつかいかたで腕がわかったという。

 姫尾和博は感心して「こいつ、おれのとこにくれへんかな?」と思った。

 さっそく男と話して、下請け工場の長とも話して、ライフノアにきてもらうことになったのだという。この男はのちにリストラされて会社から去ったもので、姫尾和博の審美眼は駄目だな、と思う。重役陣も大学の友達の出身者だ。

 英雄とは、ずばぬけた審美眼と体力、知恵をもっていなければならない。

 残念ながら姫尾和博にはそれがない。

 ライフノアというのは徹底した姫尾独裁主義で知られる。

 姫尾和博は、

「物をつくるよりひとをつくるのが先である」

「人材は長い目でみて掘り出せ」

「人間の潜在能力を引き出す」

「人は短所より長所をみるようにする」

「ひたすら求めれば、人材はえられる」

 といって人材やひとづくりの大切さを力説する。

 のちに教育がおかしくなっていく中で、姫尾和博が国の教育、親のしつけを憂いたのもそうしたポリシーからだった。しかし、方向を間違った。

  1990年からにかけて、日本は深刻な不景気にみまわれた。

 この不景気は深刻なもので、大学卒業の人間でも就職先がなかったほどだった。

「大学出たけど…」

 というのが流行語にまでなった。

 しかし、それでもライフノアはどんどんとM&Aをしていく。気がつけば、従業員は千人にもなっていた。友達たちとわずか三人で始めた事業が、何百倍になったのだ。

 この頃から、姫尾和博は、

「企業は社会的責任がある」

「企業で働くひとも、資本も、設備も社会からの預かりもの。だから大事に育てていかなければだめだ。そこから生まれた利益も、社会のために役立たせなければいかん」

 という哲学を無視するようにになった。

 経営者は企業のトップである前に、道徳のトップでなければならない。

 姫尾和博はそうした。いつもトップを好み、独裁する。

 ちゃんと商いしているなかで、そういう哲学を自然と身につけてるのが人間というものである。ヒトラーじゃないんだから、誰かがこの若造に進言できなかったのか?

 たとえば母親とか、父親とか……

 姫尾和博は、

「ひとづくりをやらなければならない」

 と、社員研修や見習い制度、企業内研修などをやってなかった。

 姫尾和博は自分の独善と勘だけで、研修をすすめた。

 まるでヒトラーのようだが、姫尾和博の信念に一寸の狂いもない。

 その結果、のちに幹部や重役となる人材はすべて馬鹿ばかりだった。

 学歴だけのかつての連中だ。

 ライフノアのライバル企業もバタバタと倒産していく。ライフノアだって例外ではなく、売り上げが半分にまで落ち込んだ。

 もはや企業努力だけではどうしようもない。

 赤字で傾く。

「もうこれ以上ネットつくれません!」

 幹部が悲鳴をあげる始末だった。

 悪いことは重なるもので、この年姫尾和博は病気になり、自宅療養ということになった。元々、体があまりじょうぶではない。そんなところに過労が重なった。

 これは仕方がない。

 しかし、寝ていてもそんな不景気だから、「あれをこうしろ」「これをああしろ」と寝床で指示を出す。

 しかし、不景気で業績は伸びない。

 とうとう幹部たちがやってきて、

「社長、もうだめです。従業員減らしましょう」という。

 姫尾和博はリストラに首を縦に振った。この男にとって従業員などチリ紙のような存在である。「人を減らすのもいいかなぁ」

 従業員を辞めさせるということは、その人たちの生活を奪ってしまうことである。

 リストラ、と馬鹿のひとつ覚えのようにいっている経営者のひとりだった。姫尾和博は、リストラの愚かさを知らなかった。

「だけど、社長、船は浸水しています。もっと荷をおろさないと…」

 そんなことをいう幹部までいる。

 姫尾和博は目の前のことにばかりとらわれている幹部を一喝して、

「たしかに船は浸水してるかもしれない。しかし、だからというて社員が荷物などと思ったことはぼくはないばい。手があればそれだけで船に入った水をかきだすことができるじゃないのでごわそ?!」と以外にまともなこともいう。

 ……うちの社長はやはり眼のつけどころが違うな……

 幹部たちは沈黙した。

 姫尾和博は続ける。

「生産を半分にするのは仕方ないだろう。しかし従業員には半分働いてもらう。給与はそのままだ」

「ですが……それだったら会社の負担が重うなるんと違いませんか? 社長」

 社長秘書の乙部綾子は口をとがらせる。

「たしかに一時はそうかも知れない。けどな、不景気が回復したらそんなもんすぐ取り返せる。いいか、人材は命なんだ。いままでせっかく育ててきた人材を手放すというのは損失のほうが多い。損失は人材損失だ」

 姫尾和博はにやりと笑った。

「だけど、条件をだす。社員は半分手があく。その分、セールスやPRに歩いてもらうんでごわす」

 なるほど、船にはいった水をかきだすとは、そうことか……

「わかりました」

「全力をあげてやります」

 幹部たちは、口々に答えた。

 従業員もこうなるとハリキる。リストラされなければ、営業だってなんだってやる。

 首になったらおわりだが、そうではないならやってやる!

 従業員や幹部は頑張って、姫尾和博の言葉に励まされながら売り歩いた。

 若造には経営感覚などない。

 またM&Aをして赤字を出し、姫尾和博はリストラという消極的判断に走った。従業員はしゃかりきに働いて、営業までした。しかし、赤字は続く。

 なんでも成せばなるという精神が必要なのだ。しかし若造にはそんな頭さえない。

 リストラして、コストダウンなどと考える。

 辞めさせられたほうは、一生を棒に振ることになる。技術をもっていれば別だ。が、今の日本の外国人犯罪をみていると『単純労働者』として不法に雇われ解雇され、それゆえ金ほしさに強盗や売春や空き巣をしているようにしか見えない。

 技術をもたない彼等は、手っ取り早く金になることをするしかないのだ。

 これから日本は少子高齢化で人口が減り、移民を考えなければならないなら単純労働はロボットにでもまかせて、あとは〝技術のある外国人労働者〝だけを移民としてつれてくるべきだ。そうでなければ日本はアメリカやフィリピン並の犯罪大国になってしまう。



 日枝(社長・当時)はフジテレビ新人社員や社員を集めて訓示をした。

「産業人としての使命とは何か!」

 壇上の日枝は饒舌に語り始める。

「人間は物質だけでは生きられるもんではないし、精神だけで生きられるもんでもない。このふたつが車の両輪のように重なり合ってなければならない。われわれ産業人は、このふたつのうち、ゆたかな物質生活をひとびとにもたらし、その面から幸福を追求することを使命にするものであります。

 われわれはまず二百五十年計画をたてて達成していかなければ駄目だと思う次第であります」

 社員千二百人は、戸惑った顔をした。

 ……二百五十年計画といわれても……

 しかし、日枝は従業員たちに夢を話す。

「しかし、ぼくは皆さんに次世代の踏み台になれとかそういうことをいうのではない。みなさんはみなさんで幸福に生きたらいい。ただ、それだけでなく、次の世代のためによいものを残してほしいのです。一日一日努力してほしいのです。そうすりゃあ、使命感をもって諸君は働けるし、かならずよい結果をもたらせるでしょう。

 誰かさんがTVは十年後にはなくなる…とかいってます。しかしぼくは違うと思うなぁ。TVはもっとよく質が高くなる…皆さんはいいTVマンになってください!」

 壇上の日枝は熱く語る。

 話しが終わると割れんばかりの大拍手がおこった。

 みんな、眼がきらきら輝いている。

 やるぞ! という気迫がこもっている。ヒメオモンなんかに負けるものか!

 日枝はビジョンを与えた。


  姫尾和博は忙しくなった。

「社長、これどうしましょう?」

「いや、それはまってくれ」

 だんだんと会社が大きくなると、姫尾和博の『鶴の一声』だけで決まらないことが多くなっていった。それが気にくわない。おいがトップなんばい!

 醜悪な傲慢さが、この若造にはあった。

 そこで姫尾和博は愛人をかこって〝慰めもの〝にする。最近に調べでは娘ほどの女にも手を出していたという。



  あるとき、新聞記者が姫尾和博の取材をした。

 この頃、ライフノアは新進気鋭の企業として注目を浴びていた。

「姫尾和博さん。今度メディアを侵略するそうですが、心配はありませんか?」

「なにが心配なのですか?」

 と姫尾和博。

「でも、メディアは新聞がシュアを独占してますでしょ? いままでライフノア社はメディアなんてはじめてでしょう?

 それを今、始めてだいじょうぶなのですか?」

 その頃、マスコミといえば巨大新聞が競争していた。姫尾、ライフノア社はメディアの知識はなかった。

 それを、富士山グループを乗っ取るという。

 記者が不安になるのも無理はない。

 姫尾和博はいう。

「マスコミっていうのは、その国の先進性の象徴だ」

「…はあ」

「国にパソコンがいくつあるかで、豊かさがだいたいわかる」

「そんなものですか?」

「日本ではすでにネットブームが普及している。みなさんはインテリだ。みなさんのご家庭ではどれくらいのネットきてます?」

「……残念ながら普通のインターネットしかありません」

「ほらみろ!」

 姫尾和博は続ける。

「あと何十年後には日本はブロードバンドで食っていけるようになるぜ! ネット客があふれるのさ。ぼくはそういう有望な仕事をやってんだ。心配しなくてもいいぜ」

「なるほど」

 記者たちは納得した。

 姫尾和博は先をみた。

 しかし、事業は失敗した。ソンバンクにいいところをすべてもってかれて撤退・提携…

 世間は、

「あんななれないことに手をつけてだいじょうぶか?」と思っていた。

 市場は売り一色だった。株は下落し続けた。ライフノア株は売れなくなる。下げ続くける。そこで偽装報告……

 となる。どこまでも若造である。

 姫尾和博はすべて知っていた。

 しかし、姫尾和博は、

「ぼくは皇帝だ。しかし、客がネットつかわなきゃ話にならない」と自信たっぷりだった。「あんたは面白いひとですね?」

 例のTBSのキャスターの中年が、彼を取材していった。

「一社だけの独占状態だ」

 姫尾和博は訴えていく。

「独占こそ発展の道だ!」こうなるともう姫尾和博教である。

  富士山放送の幹部社長人事で、敵対行為を続けようともした。が、そうなると、上場廃止になり、フジは焦土作戦に出る。ライフノアは貧乏くじをひかされる。

 姫尾くんは北尾「オジサン」に宥められた。

「フジは関西テレビを提携させる作戦に出て、君を騙し、焦土作戦でポニー・富士山と産経新聞事業をフジ側に転売し、富士山放送の人材もフジ側にやるだろう。

 焦土と化して、富士山放送を焼き払い、その殻だけを君に渡すはらだ。諦めろ」


 姫尾和博はラジオ出演した。

 新進気鋭の天才経営者というふれこみだった。

 姫尾和博はいう。

「ただいま紹介を受けました姫尾和博です。

 私は二十代のときに起業して、商い一筋でした。そこには立身出世や儲けが要求されました。しかし、それだけでは商いはやっていけません。

 企業人というものは社会に貢献してこその企業人なのです。

 いままで高価で貴重だったパソコンは今や庶民のものとなり、電車もバスも多く通るようになりました。ぜいたくだった一部のものが世間にあふれるような時代になりました。 われわれの会社でつくっているネットもそうです。

 こうした時代にあたり、われわれはいかに社会に貢献できるかを考えなければなりません。

 この前、公園で浮浪者のようなものが万年筆をもってメモしているのをみて感動しました。万年筆は少し前まではとても高価なものだったのです。

 ほんの一部の金持ちのものだったのです。

 それが大量生産されて、安価になり、誰もが使えるようになりました。そういうことが文化なのではないでしょうか。

 またそうしたまずしい者たちを少しでもなくしていくのもまた文化だと思います」

 若い頃はまだ「まとも」だったようだ。

 しかし、絶対的権力は絶対的に腐敗するという。

 彼は独裁者となり、ヒトラーと同じになっていく。

 ナチス・ライフノアは、採算無視で次々とM&Aをしていく。

 誰もヒトラー姫尾和博に口をはさめない。

 文句をいったら最後、クビになり、路頭に迷うことになる。大卒ばかりのエリートきどりの彼等茶坊主どもは、イエスマンとなって、この若造を満足させていった。

「この壁紙、赤にしたら?」

「ここに氷がない!」

 〝ヒトラー〝は独裁色を強めた。

 しかし、栄華を誇った「姫尾王国」は崩壊しだした。

 社員千人を抱えたネットグループの総帥にして、ライフノア社長、巨万の富を夢見て、各界に睨みをきかせようと謀略を謀った。

 05年10月に彼は幹部たちを集めて「ぼくが謝れば世間は許してくれるんだよ。ぼくは天下の姫尾和博だよ? 政治家も弁護士も法律家もマスコミも、ぼくをこわがってる。なぜって? ぼくが天才だからさ!」

 ある元旦には、幹部五百人を集めて祖父の墓参りまでやらせた。

 この男は23歳でオン・ザ・エッジの代表取締役、31歳でライフノアの社長に就任した。実力ではなく、たんなる独裁……金の力である。ITバヴルがなければこの豚は成功しなかったろう。「ぼくより頭のいいやつはいらないよ」

「夏休みとりたきゃ幹部やめりゃいいじゃんか」

 どこまでも愚鈍な男である。

 こいつをいさめていいはずの母親も父親も何もしない。

 愛人に東京の豪邸をプレゼントして住んだ。

 愛犬にはフカヒレと松阪牛を食べさせたという。

 しかも、会社の金で豪邸を建てた。

 愛人のアイドルの女は、娘ほどの若さだ。

(TOBとは、Take Over Bidの略で、株の公開買い付けのこと。ライフノアは時間外取引でTOBはしてない。違法の匂いが強い。有価証券株報告書を受けて、買いたいひとが「こちらで買います!」といって、株を公開で買うこと。3分の1を株比率越えると議決権をもつ。合意を得ないで買うことを敵対的TOBと呼ぶ。

 ライフノアはまさにそれをやった。議決権とは会社の社長や役員を決めたり拒否したりする権利のことである。ちなみに株式市場では株式比率が、80%以上が1年間続くと市場から廃止され、上場廃止になる。90%でそく廃止)

(ポイズン・ピルとは毒薬の意味で、市場で敵対的取引を防止や回避するときに株式権を大量に発行して該当する会社に売却することで、禁じ手だ。日本では80年代に導入されたが、05年3月11日にフジテレビが敗訴。理由は「株主との公平さを欠く」ポイズン・ピルが有効だと法律で認められれば、ライフノアの株比率は17%、フジ64%になり逆転できるところだった。そのためライフノア側は焦って取り消し訴訟して前哨戦だけ勝った。そして会談で……)

 1000億円もリーマンに借りたが、返せるのか?

 それをきくとヒメオモンは冷や汗をかくしながら、

「うちの……財布の心配をしなくていいですから…」という。

 富士山放送の亀渕社長は……結局、焦土作戦にまでいたる気でいた。しかし、ホワイトナイト(白馬の騎士)のソンバンク北尾や孫が「撤退・提携しなさい。ほら、お金あげるから」といい、姫尾は撤退・提携することにした。

もし、ソンバンクがいなければ焦土作戦がはじまったろう。

そしたら、もぬけのからになった富士山放送……上場廃止になった富士山放送の社屋に入ってみてヒメオモンは失禁することになっていたかも知れない。

「おいどんは何百億円も借りたのでごわす。なにごて?!」

 しょんべんが脚を伝わって床にボタボタと落ちる。糞まで垂れてたかも。

「どげんしょっとか……」

 頭が痛くなっていたところだろう。                       


 


        4 ITバヴル崩壊



 91年、バブル経済が弾けた。

 打撃を受けたのはバブルに浮かれた西部グループと堤義明そのひとだった。

 しかし、彼はどこまでも愚鈍だった。

 彼は、バヴル化が濃くなりはじめ、その泡は弾けても「ホテルもっとつくれ!」という。 弾けると、統制されていた経済も政治もボロボロになっていった。

〝家臣〝からは「総帥」と呼ばれた。

 しかし、05年3月3日という女の子の日に逮捕されるというドジを踏む。

 西部グループも規制され、独占禁止法律で訴えられた。

 堤は警察の下っ葉に呼ばれた。

 驚いた。

「こっちへこい」と手錠をはめられたのだ。

 まったく驚きだった。

 いままで日本を、いや日本観光を牽引してきたのはぼくではなかったのか?!

「ぼくは偉い人間なんだぞ!」

「馬鹿か? お前は刑務所行きの罪人だ! 無職さ」

 といわれても、受けることは出来ない。

「ぼくは偉いんだ!」

 警官たちはにやにや笑った。ボロい白の軽ワゴンにのせられた。

 それはいままで乗ってきたスポーツカーやロールスロイスなどではない。

 誰でも買える大衆車だった。



 今度は「刑務所にはいってきてくれ」というのだ。

 警視庁長官は署員に激を飛ばして、カリスマを逮捕した。

 世間たちからは、感動がおきた。

 連行されたときだ。

「日本の警察もたいしたものだ」

 世論も感動していた。

 日本のドンを逮捕する………

 これは、警察にとって避けられない選択であった。

 けして、西部に反対していた訳ではない。

 しかし、逮捕しなければ世間が容赦しない。

 警官たちは彼の犯罪を調べ続けた。

「ああ…」

 堤は泣きくずれた。声もなく、義明は泣いた。

 しかし、これからが勝負だ! と思っている男たちがいた。

 マスコミである。

 この頃、マスコミ各社は堤のドス黒い利権や金脈を取材していた。

  その晩は、寝床でゆっくりと寝て、

「いやぁ、長い一日だったなぁ」

 と堤義明はいったという。

「だけど、これからが西部の始まりだ」

「お前は……どこまでもアホだねぇ」

 警官は笑った。

「ぼくは世界一の経営者だ! 世界一だぜ! そしてこの日本って国を世界一の『観光立国』にしたんだ! それがぼくの使命だったんだ!」

「『観光立国』? じゃあお前が日本を変えたっていうのか?」

 警官は呆れた。

 堤義明は野心を向きだしにする。

「ぼくは勝つ! 今度も勝つ! 今度も…」


 ポイズン・ピルをめぐって地裁、高裁までいった。さすがにリーマンも金を返せという。株価もどん底、「想定内……」ヒメオモンはしょんべんをちびりそうになりながら無理に笑顔をつくりいった。

 まさに第二の堤義明だった。

 差止め請求が通ったものの富士山放送や、ポニー・富士山や新聞もソンバンクに陥落した。ライフノアなどという名前だけ大きくなったちっぽけな会社は、ひとたまりもない。フジテレビもレギュラーだった姫尾を番組から消した。

 しかし、ヒメオモンはプロパガンダ(大衆操作)をテレビやラジオに出ては繰り返す。内心は買春がバレないかとヒヤヒヤだ。北尾「オジサン」の掌で踊らされる。

「100億稼ぐ仕事術」「ぼくの経営…」などと姫尾本は売れていく。しかし、人気がなくなると誰も見向きもしなくなっていく。忘れやすい国民はヒメオモンなど過去のひととしかみなくなっていく……

「富士山放送の企業価値なんてちっぽけだ。ライフノアと組めばフジサンケイグループはインターラクティヴなシナジーが生まれる…」

 日枝フジ会長は首を傾げる。

「ITバヴルででてきたひとでしょう? われわれは30年も前からシーズ(種蒔き)してるんだから。あの青年はメディアのこと知らないでしょ?

 あのひとは友好的に話したいっていうけどあれ友好的ですか?」

「ライフノアと話すことはありますか?」

「今のところありません」

 富士山放送の亀渕社長は「あれは株式テロだ!」と息巻く。

「われわれは30年間もシーズしてきたのに、あの青年は一瞬で……思い付きだけでやれると思っている。メディアの公共性などわかってない。

 あの青年は悪いひとではないが、やり方が間違っているのではないか?」

 黒い眼鏡の可愛い目をした禿げかかりの社長(当時)はいう。

 ヒメオモンは失禁しながらフェラーリを乗り回す。

 まさにバヴル……ITバヴルに浮かれた醜悪男である。しかし、もうITバブルは弾けた。パソコンは家電となり、ベンチャー企業は次々と倒産していく……

 ライフノアだって例外ではない。

 当時は、だ。現在はGAFA(Google・apple・Facebook・Amazon)の独占状態。中国のIT企業もある。日本のIT企業などそれらの足元にも及ばない。

「ゼロになったってまた稼げばいいんでごわす」

 しかし、白馬の騎士が現れて借金何百億円からのスタートにはならなかった……

(ライブトジアに富士山放送株を大量に売ったのは米国投資会社、サウスイースタン・アセット・マネージメント社…350万株)                    




         5 富士山グループ


  鹿内は、渡米して、メディアなどを見て、「このまんまんだったら日本はおいてかれる」

 と恐ろしくなったという。

 それだけ米国のメディア力は当時優れていたのだ。

「………日本はまだまだ外国に学ぶことは多いのだなぁ」

 鹿内は思う。

 そう思っていたのは日本を『技術立国』にした英雄、松下幸之助さんや井深大さんらも同じだった。同じ思いであった。

 まだまだ日本はこれからだ。まだ技術が足りない……

 そこで鹿内は外国の企業と提携して、技術を得ようと考える。富士山グループの前身は富士山放送というラジオ局だった。その当時まだTVはなかった。まず、どの会社にするか?

 鹿内は一回目の渡米では満足せず、今度はEUへ渡った。

 その頃、自社は大きな会社になっていたが、それでも提携が必要だ、と鹿内は思っていた。

 鹿内には夢があった。

 それは、自分の『鹿内帝国を世界でも』ということだ。

 ソニーや松下の夢は、日本製品は「安かろう悪かろう」ではなく「安くて品質のいい長持ちする製品」にすることであった。そのターゲットが鹿内の場合、〝メディア〝だった。 なにしろ『皇帝』と呼ばれていた鹿内のことである。

 やることも大きい。

 ヨーロッパ・オランダ(現・EU)の某社に単身乗り込み、提携書にサインした。アイルランドには提携会社をつくり、中国にも眼を向けた。

〝また一緒に取り引きしないか?〝

 と誘われて、それで提携したのだという。

 新しい技術関係というのは子を生み出すための夫婦関係のようなものだ。

 だから相手選びには慎重にならざるをえない。

「技術提携がうまくいくんもいかんも、自分に相応しい相手を選ぶことに限る」

 鹿内の考えはそういうものだった。

 相手がどんなに優れた技術をもっていても、相性があわなければうまくいかない。

 人間でも会社でもそれは同じなのだ。

「だから自分の目で、じかに確かめにゃいかん」

 と鹿内はいう。

 某社は小さい国土の中で、世界有数の技術をもった企業に育った会社だった。その点は初期の富士山放送に似ていた。

 相性もバッチリだった。

 オランダと日本は肌の色も違う。しかも言語も違う。

 しかし、「そんなもん関係ない」と開きなおるのが鹿内のすごいところだった。もちろん、経済では交流があった。

 戦争と経済は別なのだ。

 鹿内哲学を発揮して、日本代表のような気分にひたっていた鹿内だった。


 技術提携といっても、フジは教えてもらう立場だったので、技術指導料という形で月謝を払わなければならない。それではあまりにも一方的で、負担も大きい。

 鹿内はこう提案する。

「たしかにフジはあなたのところから教えてもらう立場ですから技術提供料はお支払いします。だけど、そのかわりうちは会社を経営するんだから経営指導料をもらいます。経営も技術ですから」

 これは相手の某社もびっくりした。

「経営指導料なんてきいたころもない」

 しかし、鹿内はねばる。

 ついには某社も根負けして、「わかりました」と受け入れたという。

 某社は他にも他社と提携していたが、フジは最高にうまくいっている会社だった。某社は、

「さすがに経営指導料をとるだけの会社だ」と納得した。

 鹿内は『経営の神様』といつしか呼ばれるようになっていく。

 ときには政治家にも意見をいう。

 するといわれた政治家も、

「そうか! さすがは目のつけどころが違う」といって納得する。

 鹿内はやがて息子の春雄に会社をゆずった。しかし、そんな春雄も88年死んでしまう。 それにクーデターをしかけたのが若き叩き上げ日枝だった。その経験と、起業や経営経験が役に立ち「経営哲学」を生んだことを見逃してはならない。

 富士山グループは大きくなっていく……

 父親が死んだとき、一番貪欲だったのが、春雄で、義弟宏明も遺産に群がったひとりだ。 しかし、父親からの遺言で、遺産は他人名義に偽装して相続税対策にあてられた。ほとんどの金と土地や会社経営権を握ったのが日枝だった。

 宏明はいまもそのときの恨みを忘れない。

 だが、兄とはいえ「総帥」の前では蛇に睨まれた蛙……乗っ取り後会見を開いても「あとの祭り」のようなものだ。「あのひとは裸の王様」……じゃあ、てめぇは何なんだ?!  あとからなら何とでもいえる。結局「金」でもめてただけじゃねぇか!

 姫尾はそのころ真剣に富士山グループを乗っ取れると感じていた。

 毎日新聞でこう吐露する。

「プロキシファイト(委任状権争奪戦)に勝つ自信がある。メディアなんてすぐ殺せますよ。ぼくは新聞も読まないしTVはパソコンでみる。みんなそうなんでしょ?

 メディアなんて死んじゃうよ。確実に。かけてもいい。十年後にはネットの時代だよ。 公共性? おもしろいもの流せばいいのじゃない?

 不愉快なものや露出やアダルトだっておもしろければ流せばいい。

 リーチ(視聴者)があればネットでポンですよ。みなさんが考えるメディアなんて死ぬだけですよ。利益があがるCDは2000円だが高い。ネットなら100円でもペイする。勉強しないと損しますよ。富士山グループだってこっちと組めばいい。どうせネットの時代が来るんだから。TOB? 法律に触れてない。

 富士山放送が上場廃止? そんなもの関係ない。ペイすれば儲かればなんだっていいじゃん。ぼくは歴史の一ページにしか過ぎない。透明な媒体でいたい。新聞だってネットでやるさ」

「資金不足で銀行に泣きついたそうですが? 資金は大丈夫なのですか?」

「………だか…ら……うちの財布の心配してくれなくても大丈夫ですから」

「金はあると?」

「……………だから……財布の心配はいいって!」

「幻冬舎の株を400万株無断で売ったそうですね?」

 姫尾沈黙。

「仮処分は勝訴しましたけど保証金供託金は払えるのですか?」

「………だか…ら……うちの財布の心配してくれなくても大丈夫ですから」

「ネット界のオウムといわれてますが?」

 姫尾沈黙。

「富士山放送が上場廃止になれば株は紙クズでしょう? だいしょうぶなのですか?」「……………だから……財布の心配はいいって!」

 ヒメオモンはまたネットの未来図の空想を語りはじめる。こうなると姫尾教である。

「金で何でも買えるそうですね?」

「そうですよ。命の次に大事なのが金だもの。こっちが筆頭株主なのにフジテレビは挨拶にこない。失敬じゃないの?」

「日枝会長は富士山放送の筆頭株主であり、フジのじゃないといってるが?」

「………別に」

「想定内?」

「そう。想定内です」

「じゃあ、フジの新株予約権も?」

「………まあ、想定内」

「…ポイズン・ピルも?」

「……………想定内」

「仮処分差止め勝訴も?」

「まあ…………想定内」

「ホワイト・ナイトも?」

「………想定内」

 記者は苦笑した。「なんでも想定内なんですねぇ。すごいなぁ」

「いや、まあまあまあ」

 この頃、ライフノアは45%、フジは1/3の36・47%を獲得していた。議決権が手にはいった。富士山放送とは縁を切ることだってできる。

 そして、焦土作戦に出るところでホワイトナイトが現れ、撤退・提携しかなくなった。〝焦土〝よりは金がもらえたほうがいいに決まってる。結局、野球のときと同じくソンバンクが漁夫の利を得た。朝日帝都テレビでなくフジテレビと提携でやれるのだ。

 村元ファンドも馬鹿じゃない。ヒメオモンに高く株を売り儲けた。高く買ってくれる大企業フジテレビにもついた。

 プロキシファイトでは勝つとかもうそんなことは関係ない。撤退・提携して金がもらえれば恩の字だろう。事業規模の差……といってしまえばそれまでだ。

 かくしてライフノアは地に陥ちた。

 ヒメオモンは号泣して、しょんべんを垂れ流しながら泣いた。

 豚がおえおえいっているのは醜悪だった。醜悪な男は、また女を、しかも少女を抱いていた。……。

 テレビは買収されたくなければ株式上場してはならない。

 しかし、日本のテレビ局は無知だった。

 1958年日本テレビ上場

 1950年TBS上場

 1997年フジテレビ上場

 2000年朝日帝都テレビ上場

 2001年テレビ東京上場

 つまり、フジの場合は鹿内一家からの支配から脱却のためだったが、ヒメオモンのようなやつが出てくるとは考えてなかった……という、ことである。           


    


     6 裁判沙汰と撤退作戦



 姫尾和博はナポレオンやリンカーンの大ファンだ。

「ナポレオンの戦争や南北戦争は米国の短い歴史の中でも特筆すべきもんだ。それがなければ米国は植民地になっていた。今日のような発展をとげることもなかったかも知れない」  

姫尾和博は中でも、ナポレオンが大好きで、その才能、行動力、天才ぶりを高く評価していたという。講演でも度々「ナポレオン」の話がでる。

 いまでは子孫のおかげで、墓もきれいになり、線香をあげる観光客が絶えないという。彼はちいさな銅像をもっていた。それは姫尾和博が尊敬する人物たちだった。

トヨタ自動車をつくった豊田佐吉やナポレオン、リンカーンなど……

 また発明家としては、エジソンやマルコーニ、オーム、ファラデーなどが選ばれた。

 エジソンの像は中央においた。

 姫尾和博は自分とエジソンをだぶらせる。

「発明王のエジソンは小学校では低能扱いされ、たった三ケ月で退学させられたが、自然化学から学ぶことに長けていた。おどろくほどの才能を発揮した。

 ボクもそうなりたく思う」

 姫尾和博は「企業秘密」などといって企業内部をみせないような男ではない。

 堂々と外国人たちやライバル企業に会社を見学させた。

 会社を見た一行たちはいっせいに、

「なんとうつくしく明るい会社だろう」と感嘆したという。

 姫尾和博にとって企業秘密などどうでもいいことで、「例えマネされてもうちもマネしてるんだしマネされた頃にはライフノアはもっと先へいってる」

 といったひとつの信念があった。

 また、姫尾和博はこの頃より、

「日本にはすぐれた環境がある。観光立国にもならにゃだめだ!」とうったえはじめる。 京都や奈良、沖縄、北海道……

 外国人たちが遊べる、楽しめる観光スポットは日本中にある。

 観光は日本の技術との両輪だ!

 姫尾和博は日本人の丁寧さ、器用さに尊敬の念をもっていた。

「外国にいくとわかるが、ウェイトレスはどうでもいいようにいかげんにコーヒーをつぐ。これは能率的にやろうとしてのことやろうが、むかつく。

 その点、日本人はお客様に迷惑をかけまいと慎重につぐ……これが日本人のいいところだとぼくは思う。この気配りこそが大事なんだ」

 事業も海外進出などめざましい発展があった。

 すでに当時、32歳となっていた。


 姫尾和博は「他社のいいところはマネして、付加価値をつけて売れ」

「いつも一商人なんだと心掛けよ」

「社長は社員のおかげでメシが食えると思え」

 などと言った。少しはマシな人間だった訳だ。

 しかし、姫尾和博は思う。

 日本の教育の腐敗………

 ……教育革命…

 これが、次の姫尾和博の前の解決さねばならぬ〝問題〝だった。

 この頃から、日本の教育はおかしくなっていった。

 校内暴力、少女売春、ひきこもり、いじめ、麻薬、殺戮、暴走族、SNSでの誹謗中傷、ネット掲示板荒らし、通り魔………

 日本の今の教育のままでは〝暗記だけの暗いロボット人間〝が大量に排出されるだけだ! 姫尾和博は教育こそ国の力だと思っていた。

 現在の学生を見るがいい。

 大学生が婦女暴行や痴漢で逮捕され、中学生までもが売春し、「憂える」さえ読めない。「天動説」まで信じている学生までいる。

 ホームレスを集団でリンチして殺すガキや、売春して稼いだ金でホスト通いの女子もいる。平気で親や他人を殺す……

 姫尾和博は日本の教育が衰退しているのを知っていた。

 だからこそのネットだった訳だ。

 姫尾和博は嘆いていた。

「このまんまでは日本は終りでごわす」

 このどうしようもないガキたちをどうするか?

 著者の提案をいおう。

『ボランティア研修』だ。

 老人ホームか、東南アジアやアフリカに点在する難民キャンプに学生をボランティアでいかせて何か月か研修させるのだ。

 自分とは違った世界にいるひとの苦しみを知ってそのひとたちのために献身的に働く。しかも語学まで学べる。他人の痛みもわかる。

 英語なんて話せなくていい。通訳をつけて、学生たちをボランティア研修させるのだ。 そうすれば、他人に平気で罵声を浴びせ掛けたり、嘲笑したり、殺したり売春するガキもいなくなる。もちろん内戦しているところへいけとはいわない。

 ただ、治安が守られて、通訳がいるところで辛い汗をかかせなければ、今のガキたちは変わらない。『ゆとり教育』だの『教育見直し』などの前に、ボランティア研修をさせることだ。そうすればガキどもも変わる。

 教育革命とはそういうことだ。


  姫尾和博はそれでも子ほどの女を抱いてにやにやしていた。この男などに日本の教育を語ってもらいたくない…

 あのおかしな若造に今後どれだけのことが出来るか……

 見物ではある。


「まさにストック(株)ビジネスのテロ行為だ!」

 富士山放送の亀渕社長(当時)は激昴していた。

 ヒメオモンに怒っていたのである。

 オール・ナイト・ニッポン時代を彷彿させる口調で「あれは若造のテロです! 富士山放送のコメントを「フジにいわされてるだけでしょう?」という姫尾さんの意見には納得できない。

 われわれには自分で考える頭というものがある。

 一企業がそんなこといわされる訳ないでしょう?

 あの青年は悪いひとではないがやり方が間違ってるんじゃないかなぁ?

 ネットにしてもうちでもフジテレビさんでももうやってるし、ブロードバンドもやっている。なのに……便利に? これ以上どうするのかまったかわかりません。

 出鱈目すぎる発言ばかりして、思いつきで富士山グループを乗っ取ろうとしただけじゃないの?」

 報道陣は日枝久フジ会長(当時)も「こちらとしては担当役員との話し合いならしますよっていってます。こちらが話してペイするならメリットがあるならライフノアさんと話す価値もあるし……」といいながら焦土作戦をじわじわ進めていく。

「姫尾社長は友好的に話しましょうといってますが?」

「あれ……友好的ですか?」

 そんな中、フジの馬鹿女子アナ、高島、中野、千野らはヒメオモンと鍋、セックスパーテイしてはしゃいでしまう。日枝は怒った。「こんなときにあの馬鹿娘たちめ!」

 しかし、日枝は前哨戦をものにできなかった。

 05年3月11日、16日などで新株予約権の発行停止が言い渡されたのだ。「なんで? 野球と違うのに? なんで?」日枝は老眼眼鏡を落としそうになった。

 豚は記者会見を開き、フラッシュを浴びた。

「勝ちましたね? ご感想は?」

「……いや、すぐ控訴したでしょ? 最高裁までいくんじゃないかな? でもプロキシファイトでは勝ちますよ」

 裁判は「経営者の保身」を否定したものだった。(富士山放送は最高裁までいかず) 時間外取り引きはグレーだが、新株予約権は少数株主の利益を損なうという。ライフノアの支配から逃れるためだけに大量の新株を発行するのは違法……

 それが17時5分……速報が流れるとライフノア社内から歓声があがったという。

 やった~っ!

 制度の不備はついたものの間違ったシグナルを送ってしまった。

 ライフノアの主張が通ったことでヒメオモンはさらに過半数(7割以上)を獲得し、また富士山放送やフジテレビ株を買い占めようと急ぐ……6月の取締役会までに……

 プロキシーファイトだ!

 裁判所は新株予約権を「特に有利な予約権発行とは認めない」「不公平でフジだけが得をする」と凡庸にして平凡な判断でお茶を濁した。

 富士山放送の亀渕社長(当時)は「残念だ。しかし、うちの主張が通るように上告したい。最高裁までいくだろう」

 と眉をしかめた。

「ライフノアの傘下になれば富士山放送の価値はなくなる。フジテレビさんの子会社になるしかうちの道はない。倒産する……といいきってもいい」

 無知な学生や団塊の世代はヒメオモンを支持した。

「あんな若いひと周りにいない。すごい」

「金あっていいな」

「ぼくも金持ちになりたい」

「ネクタイしめないのがいいよね」

「……金でなんでもできるんだ」

「しっかりしたビジョンがある。かっこ悪いけどかっこいい」

 裁判は頭のおかしな連中に誤ったシグナルを送り続ける。

「がっちり富士山グループをとりくみ、世界に冠たるITメディア・グローバル…」ヒメオモンは壊れていく……

 裁判は司法ルールにそっただけという弁護士もいる。フジサンケイの支配圏維持のためのポイズン・ピルは不法であり、新株予約の3千億円には合理性なし…

 時間外取引はグレーだが、違反じゃないともいう。M&Aで使われてきた。グリーン・メール(ライフノアはこんな悪い会社だ)というのを富士山放送は打ち出せなかった。

 この判決は世界の趨勢なのだともいう。

 しかし富士山テレビは株主割当増資(新ポイズン・ピル、旧ポイズンではなくフジ側だけでなく株主全員にライフノアのTOB前に株売る)をあらたに発行(500億円分)。姫尾はまた金が必要になる。あとは、ライフノアは富士山放送の過半数を取れたがあとは…馬鹿でもわかっていた。「話しあいはいいが…」日枝はにやりと笑った。

「あんな若造にグループを仕切れる訳ない。若造はその前に破産するさ。ホワイト・ナイト(白馬の騎士)? そんなものはいない。パックマン・ディフェンス(奇襲相手買収)? ライブなんとかなんて価値ない」

 しかし、ホワイトナイトは現れた。

 というより、富士山放送のもつフジ株13・88%をソンバンク系列会社「ソンバンク・インベストメント(SBI)社」に貸し渡し、ライフノアのフジテレビ支配をなくした。(SBIはワンポイント・リリーフ、本体はソンバンク。孫がフジ支配…という事) 孫は96年6月、オーストラリア出身のメディア王マードックと組んで朝日帝都テレビの株を買収したが、失敗。その翌年、朝日新聞に417億円で売却した。そのときの軍師が北尾吉考だった。しかしそれは敵対的買収ではなくTOBだった。それで日枝と合い、JスカイB(現・スカイパーフェクトTV)を立ち上げる。

時価総額はライフノアはソンバンクの25分の1しかない。しかも孫は姫尾の高校の先輩だ。

2000年に旧・日債銀を「あおぞら銀行」としてわずか1千億円で外資に売ったのもまた北尾吉考だった。

この男は渋沢栄一のように「論語」を読む。

SBIとフジ側は資金200億円を出し合ってファンド(SBIビービーメディアファンド)を合弁で設立。孫の軍師、SBIのCEO北尾は「(ライフノアは)他人の家に土足で上りこんで手をくもうと見える。M&A(企業買収)のプロとして遺憾に思う」

 クラウン・ジュエル作戦でもある。(ソンバンクは検索トップ、ヤフー運営)

 富士山放送のフジ株の8・63%は大和証券SMBCへ。SBIともに5年間貸付け。 フジ側は新たに新株大量発行(事実上の焦土作戦・株主割当増資。安価で新株を売りフジ側57%さらに増やす)に踏み切る。500億円の増資だ。

メディアの公共性も理解できない姫尾が社長となっても何もできない。ライフノアの時価総額は2千億円程度、富士山放送も同じくらい。だから株かえた。子会社とした。

(〝東大に入るための本〝まで出版する)

「テレビドラマ面白くなければシナリオかえちゃうとか…要はリーチ(視聴者)で…」

 滑稽なことばかりいうヒメオモン。「フジ支配……? 妄想ですよ。妄想!」

 ヒメオモンの狙いはフジサンケイグループ。ヒメオモンはフジのTOB買収を検討した。「次は本丸だ!」が……フジの時価総額8千億円…フジテレビを支配するだけでも2千~3千億円必要になる。外資を含めて姫尾如きにそんなに金は貸さない。

LBO(リバレッジド・バイ・アウト(てこ)、買収相手の資産を担保に金を借りる)でフジテレビ支配画策やるも失敗富士山テレビはフィナンシャルグループ化して防衛。

ついにフジテレビ側に説得され1440億円もの金を渡されて…姫尾くんは提携しつつ去っていった。

(時価総額とは株価×株式発行数)フジ側は「そんなのない」といいながら多額の売却金でパックマン・ディフェンス(奇襲相手買収)を画策(公共性を考え敵対的買収を考慮して)、ゴールデン・パラシュートやピープル・ピル作戦にでるところで、ライフノアは窮地に追い込まれるところだった。

村元ファンドも(02年より歪みを気付いた村元世彰は富士山放送株を買い、ライフノアに高く売った。村元がフジSG買収を姫尾に献策)微笑んだ。200億円くらい稼いだ。 

撤退・提携しなければこういうシナリオも考えられた。

〝フジ側にディノスや(クラウンジュエルの)ポニー・富士山や横浜ベースターズや出版社などの株を売れば当然ながら富士山放送にキャッシュ(現金)が残る。そこで、姫尾に渡すのを嫌でゴールデン・パラシュート(旧経営陣などが多額の退職金を貰って退職して大量にやめた)もしてピープル・ピル(人材退去)も富士山放送側は画策富士山テレビは株価配当を高めて姫尾に買収されないように画策……長続きはしないが富士山テレビ、サンケイグループはライフノアの傘下にならない。……〝

「……軍資金がないでごわす!」姫尾は焦った。アジアの巨人・孫正義はフジと提携する。 ヒメオモンはフジテレビ側に説得されて「焦土より撤退・提携がいい…」といわれOKした。(ヒメオモンは異常なほどネットを信じてるがネットなど一億件ですぐパンクする。その点、テレビなら一分で一億人に伝えられる。それがネットの弱点だ)

ヒメオモンはまたどこか狙うだろう。しかし失敗する。グッバイ・ボーナス「1440億円」でもヒメオモンはありがたく思い反省すべきだ。敵対的買収などといってフジに迷惑をかけたのだから……

 最悪の場合、…フジテレビ系列は次々と焦土作戦に出るところだった。05年6月、株主総会があり任期切れで、裳抜けの殼となった富士山放送に取締役全員を送りこもうと姫尾はしただろう。かくしてヒメオモンは空っぽの社長になり破産するところだった。

 誰も彼を相手にしなくなった。頭のおかしなやつ……そう思われたのだ。

 借金はなくなった。プロキシー・フアイトも糞もない。会社は倒産していたろう。優秀なものは楽土ITやソンバンクに移り、他のどうでもいい連中は失業するところだった。

 ヒメオモンはからっぽの富士山放送社長になり、しょんべんと糞をもらす事になっていたろう。しかし撤退・提携で何もかもクリーム・スキミング(おいしいところどり)された。……おわりだ……おわりだ……どげんすっど?! …一千四百億円はもらったけど… せっかく富士山グループも支配しようとしたとにどげんなったど?!

 ライフノアは信用を失い、急速に糾弾されていく。……マスコミはついてくる。

 ヒメオモンは地獄の底に落ちていった……




         7 ヒメオモンの最期



  日枝らは拳をつくっていう。

「なにがヒメオモンだ! たしかにつまらんTVといわれることもある。でも……悲しいときに〝心が温まりました〝といわれることだってあるんだ! 放送は金なんかで買えるもんじゃない! ガキが金ばかりほしいあまりに……我々はこんなことのために50年やってきた訳じゃない!」


  姫尾和博がミスを犯し、会社は植物状態となった。愛人は若いアイドルであった。ある日、検察が事情聴取にきた。淫行の疑いを探っていたのだ。風説の流布もやった。

「そんな………犯罪なんてー…やってないですよ。インサイダー? 粉飾決算(53億円)? 何それ?」

 姫尾はすがりつくような目で検察官たちをみた。姫尾は動揺し、暗く頷いた。

 姫尾が慇懃にいった。

「そんなことやる訳ないじゃん。ぼくは東大入って……インテリなんだぜ?!」

「姫尾くん…」検察官はとめようとしたが、姫尾は続けた。

「こっちだって忙しいんだから。手間をかけさせないでくださいよ。おれの失敗を期待したって無駄だっていうの」

「この野郎!犯罪をしたのは誰なんだ!」

 怒りの波が、検察官たちの全身の血管を走り抜け、抑制していた怒りを爆発させた。検察官たちは姫尾和博に詰め寄った。

「誰のせいって……こまったひとたちだなぁ。誰のせいでもないよ」

 姫尾は傲慢に、慇懃にいった。

「ぜんぶ…なんでもかんでもおれのせいにされたらたまらないよ。こっちは東大でてるんだぜ。ミスなんてするわけないじゃないの。エリートのぼくを恨むのは筋違いだよ」

「…あんたってひとは! それでも人間か?!」 姫尾は何かいおうとしたが、何もいわず口をとじた。

「とにかく姫尾君、もう裏はとれている。インサイダー取り引きで……かなり儲けたね? 姫尾君、部下ももう自白してる」

 検察官らはヒメオモンにいった。

 姫尾は何かいおうとしたが、何もいわず口をとじた。激しく動揺した。せっかく猛勉強して東大出て、金持ちになったっていうのに〝つまらないミス〝で、やばいことになりそうだ。姫尾はいいようもない絶望の淵に投げ込まれたような気分になった。すがるように検察官のほうに視線を移した。

 しかし、検察官は助け船を出さなかった。

「ど、……どげんと?!」

 姫尾はあえぐようにいった。そして、黙り込み、動揺した。世界の終りがきたときに何がいえよう。心臓がかちかちの石と化して、胸にずっしりと垂れるさがると同時に、血管の血がすべて凍っていくような感覚を、姫尾和博は感じた。くそったれ…め!


 ヒメオモンは、何年か刑務所に入獄するのは確実だった。

 姫尾和博は、財産はあるものの、しかし逮捕されそうだ。インサイダーも…

 姫尾と恋太のふたりは黙り込み、動揺した。世界の終りがきたときに何がいえよう。心臓がかちかちの石と化して、胸にずっしりと垂れさがると同時に、血管の血がすべて凍っていくような感覚を覚えた。何も考えることができなかった。すべての終りだ。ふたりには頭の中に響きわたるうつろな笑い声がきこえるようだった。誰かがふたりの命の栓をひっこ抜いたため、ふたりの命は渦をまきながら排水口から流れ出しているのだ。

 ふたりは空虚な、落ち込んだ気分で、裸のままシーツに横たわった。いま彼らには社会的信用がない。恋人は一文無しで、勉強も一流大学もダメ、姫尾和博はミスで裁判沙汰になり、世間の糾弾をあび、末は刑務所の中か……。会社経営権も取り上げられるに決まってる。そしたら、「一文無し」だ。

ネット以外にどんな職業につけるというのか?

しかも、刑務所でくさい飯を食わされる。たったひとつのミスで…。まるで田代まさしだ! 姫尾は落胆した。

 ふたりは暗く落ち込んだまま、裸のまま、抱き締めあった。強く抱いていれば、抱き締めれば、もう一度、栄華がもどってきて贅沢で快適な生活がもどるような気がした。

 しかし、いくらセックスに興じても、絶望的な状況は何もかわることはなかった。




 学校も六本木ヒルズも、あいかわらずひとで溢れ、ライフノア事件のことも姫尾らの失踪も何もかも風化していった。相変わらず、学校では生徒たちが騒ぐ、甲高い声が響いていた。

もしかしたら焦土作戦もあった。しかし間違いなくいえるのは、ライフノア姫尾は流行に過ぎなかったということ。

姫尾和博…ヒメオモン……ライフノア…みんなは急速にその名前を忘れていく

……05年2月8日から4月28日までの70日戦争はたんなるマネー・ゲームだった。

05年には選挙で暴走した。広島6区から出馬して落選。本人は売名とプロパガンダのつもりだったのだろう。誰にもバレなければいい、自分たちさえよければ自分たちさえ儲かれば……日本人のもつ田舎メンタリティ、自己中心性・排他閉鎖性……まさに〝無知・無能・無策はヒメオモンから〝? 

いやもっとも責められるべきは馬鹿な政治家であり、無策の官僚であり、国民を馬鹿扱いしてくだらない内容を流し続けるメディア全体だろう。

ヒメオモンは国民を無知にした。

その罪は重い。が、一番責められるべきはその無能たちの暴挙を許した日本国民すべてである。06年1月23日にヒメオモンや宮内、岡本ら幹部は逮捕された。

ご存じの通りリーマンブラザーズは倒産している(サブプライムローン崩壊のリーマンショックで)。

風説の流布や粉飾決算やインサイダー取引などのマネー・ゲームだった。

投資事業組合を流して6年間で60社をM&A(買収)した。破産寸前の会社に買収するといい、ライフノアから金を預けて新規株式を大量発行して偽装して株価で儲ける。それだけ。買収して自社株をつりあげておわりだった。しかも、ライフノアの事業を大きくつくりあげる。偽装…そしてマネー・ゲーム…04年9月期決算で、自社株売却利益37億6700万円を本来売り上げに計上してはならない売り上げに計上した他、後に子会社となる2社への架空売り上げ15億8000万円を計上し、計53億円あまりを粉飾した。

ヒメオモンと同じく幹部4人はいずれも実刑判決で、元・財務担当取締役・宮内亮治らもブタ箱行きになった……まったく赤字だったという。残ったキッシュ(現金)も株主訴訟でとられておわりだ。09年、旧・ライフノア側からフジに311億円賠償することで和解となり、村元もお縄になったが、富士山放送買収を画策したのが村元世彰で、売り抜けただけだった…ヒメオモンはこうして敗北したのである。

 ヒメオモンは刑務所に入り臭い飯を食い、少し痩せたという。そして娑婆へ!

馬鹿げた本を出して今度は宇宙ロケット事業だという。宇宙ビジネス投資でカモにされ、莫大な借金を抱えた。北九州の野球チームを買収し、2021年に野球チーム『北九州フェニックス』(独立リーグ)を所有・運営した。最近の恋人は女装の男性(*大島薫・芸名)……


『姫尾和博・村元世彰篇』池上彰「日本の戦後を知るための12人」『第七回 村元世彰と姫尾和博 金儲け至上主義と国策捜査』(文藝春秋社)より参照引用

 (九○年代末に到来した〝ITバブル〟。そこで急成長したライブドアがテレビ局という旧メディアを買収しようとしたときに起きたことはなんだったのか?時代の寵児と呼ばれた二人が実刑判決を受けた理由を考えます)

 (村元世彰・むらもとよしあき・投資家。一九五九年、大阪府生まれ。東大法学部から通商産業省に入省。四十歳前に退職しファンドを立ち上げる。「もの言う株主」として活躍するも、二〇〇六年に富士山放送株式のインサイダー取引で逮捕され、有罪判決を受ける。現在シンガポール在住)

 (姫尾和博・ひめおかずひろ・元ライブドアCEO。一九七二年、福岡県生まれ。東大在学中にホームページ制作会社を設立。同社を短期間で急成長させるも、二〇〇六年に証券取引法違反で上場廃止に。姫尾も翌年に二年六か月の実刑判決を受ける。現在、宇宙ロケット開発に精力を傾ける)


 姫尾和博さんが二〇〇六年一月に「ライブドア事件」で逮捕され、一審で有罪判決を受けて服役後、彼はまず、インターネットテレビでいろんな情報を発信することから活動を再開します。新宿の居酒屋で対談して、私はこう質問しました。

「あなたはフジテレビを手に入れたくて、その踏み台として富士山放送を買収したわけだけど、踏み台にされた富士山放送の社員の気持ちは考えたことがありますか?」彼は驚いた表情で、「考えたこともなかった」。

 村元世彰さんとの接点は、彼の娘さんがぼくの本を読んで、「池上さんがこういっている」と務所の彼に伝えたことでした。

 村元世彰さんは、事件の時、記者会見で、「僕は確かに、むちゃくちゃ儲けましたよ。でも、金を儲けるのの何が悪いんですか?」「ええ。お金を沢山、儲けました。金儲けがいけないことですか?」。確かに、お金儲けは悪いことではない。自分の汗と努力と頭脳で儲けたなら非難されることではない。

 ただし、日本には『けしからん罪』というのがあって、誰かが「あいつ、けしからん!」というと、同調して、その人物を社会的に抹殺しようという動きが出る。これが『けしからん罪』です。姫尾も村元さんも儲け過ぎた。だから、けしからん。と、妬みやひがみが出た。

 村元世彰さんは小学校の時に、父親から百万円を渡されて、以後はお前におこずかいはやらない。その代わり百万円をやるからその金を運用してみろ。といわれた。それでサッポロの株を買った。父親がビールを飲んでいたからです。そうして投資家の道を究めた。

 一方姫尾さんはというと、「小説を読んだことがない」というのに、東大の文学部に進んだ。小説など読まないのだから、当然、授業は全く面白くない。駒場の寮にこもって、麻雀ばかりしていたのだとか。

 そのうちに、九十五年の〝ITバブル〟がきて、姫尾さんは〝オン・ザ・エッジ〟という会社を起業する。そこで、倒産した会社・ライブドアを買収し、ライブドア社にするわけです。有名な会社だったので、広告料の節約のためでした。

 そこで、株を一株百円くらいに細分化して、個人株主を増大させ、度重なるM&Aで、のし上がっていくのです。

 富士山放送の買収も、ぶらさがっているフジテレビの支配のためでした。

 ですが、富士山放送の社員は反発します。当たり前ですよね。踏み台にされるのですから。それを説明して、ヒメオモンは「なるほど」と理解した。

 後で、「池上彰に説教された」とぼやいたそうですが。

 村元さんはファンドを設立して、最初は「もの言う株主」として、その会社をいい会社にしようとした。ですが、次第に、金儲けのためのハゲタカファンドみたいになっていった。大金に心を奪われたのです。金儲け至上主義に毒された。

 そして、村元さんと姫尾さんはフジテレビ支配のために、大株主の富士山放送を買収し出す。ねじれ経営で、資本力のない富士山放送が、大企業のフジテレビの親会社だった。だから、ヒメオモンは富士山放送を買収すれば、フジテレビもすぐに〝ついてくる〟と思ったわけです。ですが、戦略が甘いというか。野球球団設立のヒアリングでも、楽土ITの未希波社長は立派な背広にネクタイ。なのに、姫尾さんはTシャツにズボン。これをみてわたしは勝負あり、と思いましたね。

「ねじれを利用すれば、富士山放送を買収すればフジテレビを支配できるよ」

 ヒメオモンは村元世彰さんに耳打ちされ、買収工作をする。その際に、違法行為もしていた。つまり、犯罪です。と、同時に、先ほど言った『けしからん罪』で、姫尾さん(「粉飾決済」罪)も村元さん(「インサイダー取引」罪)も、東京地検に逮捕された富士山テレビは助かり、ヒメオモンたちは刑務所送りになった。

 実は、「ライブドア事件」の後に、もっと犯罪額が大きい粉飾決算の事件があったんですが。その事件では、東京地検はまったく動かなかった。

 「けしからん」じゃないから? ともかく、ヒメオモンも村元世彰も逮捕され、刑務所に入った。だが、今、その「ライブドア事件」を見てみると、「あの時代の雰囲気で、逮捕されてしまったんだな」と日本人は考えているように見える。

 でなければ、刑務所にまで行った犯罪者が、務所から出て、自己啓発本や成功ノウハウ本や成功体験本や、宇宙ロケット事業……株式投資の本やお金の本、などを出しても誰も買わない筈である。本気で、あいつら許せない、とかだったら、犯罪者があんなに注目を浴びるだろうか。

 犯罪者ではないが、ただ不倫をしただけのタレントのベッキーとかいう女性の方がよほど嫌われていて、テレビに出ることさえ嫌われている。それに比べれば、ヒメオモンや村元世彰は、犯罪者でも許容されている。ヒメオモンの厚かましい態度とか、口調や服装はそのままなのにも関わらずにです。

 だが、村元世彰さんの「金儲けして儲けて何が悪い」とか、ヒメオモンのTシャツや態度とか、これはいわゆるコミュニケーション障害(コミュ障)だと思うんですね。

 自分では社会の最先端をいっているつもりでも、相手がどう思うか? とか考えられない時点で、立派なコミュ障、ですよね。

 でも、ヒメオモンは「成功者への嫉妬。wwww」というだけでしょうけれど。

  


こうしてヒメオモンのいや姫尾和博の蒼天の夢、蒼天のZEROはおわった。

もはや誰も姫尾を相手にしない。ヒメオモンよさらば! さよなら野ブタ。ぶたオモン!こうして儚い夢はおわったのだった

こうしてヒメオモンの蒼天の夢、蒼天のZEROはおわった。     おわり

[第三部 マックス・バトラーICEMAN 天才サイバー・テロリスト]



サイバー犯罪。軍や政府をも脅かす、侵入率100%の天才ハッカー………

史上最悪のサイバー犯罪に手を染めた男・天才ハッカー、マックス・バトラー。

 別名・ICEMAN(アイスマン・冷徹な男もしくは冷静な男もしくは殺し屋)。

 政府や軍のサイトにいとも簡単に侵入。さらに世界四大巨悪サイトをたったひとりで崩壊させ、独占闇サイトを創り上げた天才プログラマにしてハッカー&クラッカー。

「マックス・バトラーは闇社会のウォルマートをひとりで創り上げた」

 闇社会の帝王。

 典型的な白人の若者で、後ろ髪と横髪を伸ばしたオタク系の男。マックス・バトラー。

 騙すか? 騙されるか? ハッカーどうしの壮絶な頭脳戦。

(ハッカーとクラッカー)

 FBIからの追跡。顔の見えないどうしの頭脳戦。天才ハッカーから闇(ダークサイド)に堕ちたマックス・バトラー。

 その激動の半生に迫る。

 マックス・バトラーは1972年アメリカ合衆国生まれ。

わずか八歳でプログラムをマスターした、コンピュータの天才だった。

 1983年(11歳)。政府やFBIなどへのハッキングの犯罪。

捜査すると犯人たちは十代の若者たち。マックス・バトラーもそのうちのひとりであった。

遊び半分での侵入だった。

 マックスもセキュリティの弱いところを見つけてハッキング………

 ハッキングとはセキュリティの弱点をつくゲームだ。

 1989年ベルリンの壁崩壊。1991年旧ソ連崩壊。

 米国政府は軍事技術であったインターネットを民間にリリース(提供)した。

 Windows(ウィンドウズ)95……1997年700万サイト……

1997年カルフォルニア州サンフランシスコにて、アイスマンことマックス・バトラー(当時25歳)は務めていた。ゲーム会社のプログラミングアドバイザーだった。

ライバル企業のゲーム会社をハッキングするなど、当時から、「自分にはハッキングできないシステムはない」と豪語するほどプライドが高い。で、「世界のハッカー達の頂点に君臨したい」という考えを持っていた。

遂にマックスの自宅にFBIが!

 だが、逮捕される訳ではなかった。最初は、システムの侵入やハッキングの犯罪で逮捕されてしまうのかと考えた。だが、バトラーは驚く。FBIの目的は別にあった。

今まで行った、バトラーの機密事項などの様々なシステムにハッキングした能力を評価していたFBIは、バトラーの能力でサイバー犯罪の検挙に繋げようとした。

「ホワイトハッカーとして雇いにきた」というのだ。

ホワイトハッカーとは、ハッキング能力や技術を犯罪などではなく正義の行為の目的に活かす者の技術者の事だ。

 逮捕・拘留・刑務所……恐怖で小刻みに震えるマックス・バトラーに、FBIらは「FBIの仲間になって、不正な悪のクラッカー(悪のハッカー)たちを一緒に捕まえないか?」

 いいだろう! マックス・バトラーは大きく頷く。

 マックス・バトラーはクラッカー犯罪を担当する。悪を叩き潰すのだ。

 しかし、FBIのこの決断がのちにバトラーをインターネット界の闇の帝王へと変えた大きな要因になってしまった。

最初にバトラーに与えたFBIの仕事は、電話会社のシステムをハッキングして電話回線を悪用している犯罪集団のアジトを特定するというもの。

バトラーには、このようなハッキングなどは企業や機密情報をハッキングしていたので、容易な事だった。あっという間に、一瞬で問題を解決した。

セキュリティ・コンサルタントとしても活躍。BINDの欠陥。

 BINDとは(〇〇.jpや〇〇.comといったアドレス。これを数字に変換)

 だが、マックス・バトラーはBINDの欠陥を直すときに、出来心で、再侵入の際に使えるようにサイトにバックドアをつくってしまう。

 政府や軍のサイトやサーバーの欠陥を修復。その期間はなんと五日間。たった五日間で、すべてのサイトやサーバーの欠陥を修復したのだ。

 だが、2000年(27歳)、マックス・バトラーは逮捕された。

 バックドアをつくっていたのがばれたのだ。

 マックス・バトラーは一年間、刑務所に服役。

 2002年(30歳)で、出所…………

 だが、マックス・バトラーは〝浦島太郎〟のような状態になる。

 あれだけ出来ていたサイトへの侵入ができない。

 軍や政府どころか、民間のサイトにさえ、セキュリティが強くなりなかなか侵入できない。何か月かかっても侵入さえできない。マックスは頭を抱えて、悩んだ。

 ITバブルで一気にサイトが増えて、クラッカーが急増。企業はサイトやHP(ホームページ)のセキュリティを強化した。なので、一般のハッカーやクラッカー、マックス・バトラーのような天才ハッカーでさえ、〝侵入〟が困難になった。

 これではセキュリティ・コンサルタントどころではない。

 バトラーは、以前には着々と問題を解決していきFBIの信頼を獲得していた。そうして犯罪者を次々に検挙していたバトラーだった。が、その経験が、同時に犯罪の手口を知るきっかけにもなっていた。

あらゆるサイバー犯罪の手口を知る事で、インターネットを駆使すれば金になると確信していったのだ。

バトラーには、企業のネットワークに侵入して防犯カメラを自由に操る事も不可能ではない。警察のシステムに侵入し運転免許の違法履歴の消去する事も出来た。

更には、銀行のシステムに侵入し口座残高を変更する事も可能になっていた。

バトラーはこのことからも「どんなサイバー犯罪も、その気になれば自分なら簡単にできる」と思うようになっていった。

その後、バトラーは一般の人がネット上で所有しているクレジット情報が売買される闇サイトを発見する。

裏社会では、バトラー自身が簡単にできる技術で大金を得ている事に憤りを感じていた。だから、FBIの仕事であるホワイトハッカーをしている事がバカバカしく思うようになっていく。そして、ハッカーとして、バトラーは試しに1人のクレジットカード情報の販売を試みる。と、そのカード情報は出品した瞬間に一瞬で完売した! これは儲かる!

この直後、バトラーは闇のハッカーになる事を決意した。

それで、マックス・バトラーはそこから〝闇社会(ダークサイド)〟に堕ちていく……。

 彼は思い悩み、カード詐欺師たちに不正クレジットカードを売る闇サイトをつくる。

 情報はフィッシングメールで収集すればいい。

 詐欺師から、一気に1万件の個人情報のダウンロード……

 (サーフィスサイト(一般)とディープサイト(闇サイト))

 闇のハッカーになると決意したバトラー。

初めに行った事は、偽造クレジットカード販売を行う詐欺団のリーダーと接触する事だった。

バトラーはカード情報を盗む事は出来ても、偽造クレジットカードを作成する事はできない。なら、詐欺団と手を組み、闇サイト「カーターズマーケット」を設立すればいい。

そしてここで、バトラーが付けたハンドルネームが「アイスマン」だった。

犯罪をするのを機に、まずは、偽装カード作成のプロのクリス・アラゴンと組んだ。

 サイトの売り上げは月に1万ドル(105万円)……

 2005年・闇サイト『カーダーズマーケット』設立。ハンドルネームICEMAN(冷静な男・殺し屋)………目的が自己研究心から、金銭欲求にかわった。

 2005年、クレジットカード会社のサーバーがハッキングされ、5000万件もの個人情報が流出。……ICEMANの闇サイトは業界五位に。

 だが、ICEMANことマックス・バトラーはネットで、馬鹿にされ、復讐を誓った。

「なにが「ICEMANなど只のコソ泥、不正カードで儲けるのがせいぜい。幼稚なクラッカーだ」だ、と? 俺のすごさを見せつけてやる!」

「4大カード会社(『スカンジナビアンカーディング』『トーカキャッシュ』『ダークマーケット』『バウチト』)をすべてつぶしてやる!」

 ICEMANことマックス・バトラーは闇サイトを独占しよう、と。またも暗躍する。

 SQLインジェクションにパスワードリスト攻撃。2日で完了。

 なんと、4大闇サイトをすべてつぶしてしまった。

 こうしてICEMANことマックス・バトラーは〝闇世界の帝王〟となった。

 偽造クレジットカードを求める犯罪者は、一気にアイスマンのサイトに群がった。

バトラーは、闇サイトの帝王に登りつめた。

ですが、ここでも満足する事なく更にサイトを大きくしようと、ヨーロッパに進出する事を企てた。

が、すべて独占したことにより、マックスは多忙になり、一日中、パソコンの前に張り付かざるを得なくなる。画面を監視しなければ、不正行為を見つけられないし、続出する注文に対応できない。

 が、忙しすぎて、食事や睡眠さえ満足にとれない。このままでは死ぬ、過労死する!

 マックス・バトラーは仲間を集めることにした。

 闇サイトで活躍する凄腕の天才ハッカーたちをヘッドハンティングして、共同で、闇サイトで儲けるのだ。

 仲間は集まった。

 ザ・コラプティッドワン(仮名・通称・ハンドルネーム)(外交力と冷静な判断力を武器にする天才ハッカー)が仲間に加わる。

 次に、サイロ(仮名・通称・ハンドルネーム)(複数のハンドルネームと人格や文体を巧みに使い分ける・カナダ在住)が仲間に加わる。

 次に、マスター・スプリンター(仮名・通称・ハンドルネーム)(ポーランドの巨大犯罪サイトのリーダー)が最後に仲間に加わった。

 だが、実は、警察機関の男で、本名はコ―キース・ムラスキー(FBI捜査官)である。

 最初は三人を信用していたICEMANことマックス・バトラーは次第に、〝猜疑心〟にとらわれていく。売り上げは順調だった。

 だが、きっかけはサイロの内部リークだった。

〝マスター・スプリンターはFBI捜査官ではないのか?〟というのだ。

 マスター・スプリンターのIPアドレスを逆探知してみると、ポーランドどころか米国のピッツバーグのFBIの地方組織……のような情報だというのだった。

 マックス・バトラーには「寝耳に水」だった。

 〝マスター・スプリンターは怪しい〟なら、それを追求して内部告発をしたサイロは、完全な味方か。では、〝ザ・コラプティッドワン〟はどうか?

 マックス・バトラーは警察なら過敏に反応するであろうメールを〝ザ・コラプティッドワン〟に送り付ける。

『米国大統領のW・ブッシュを暗殺しよう』と。

 すると、すぐに〝ザ・コラプティッドワン〟から返信メールが届く。

『副大統領も忘れるなよ』

 …………よかった。二人は味方で、仲間だ。

 こうして、マックス・バトラーは〝マスター・スプリンター〟の首を切り、さらに闇サイトの儲けを増やそうと暗躍する。

 だが、マックス・バトラーの悪運もここまでだった。

 マックス・バトラーはその数日後に、警察機関やFBIに逮捕された。

 実は〝マスター・スプリンター〟はやはりFBI捜査員だったが、〝サイロ〟も、〝ザ・コラプティッドワン〟も国際警察機関の捜査員であった。

 全員、マックス・バトラーの犯罪を追っていた〝おとり捜査員〟であったのだ。

 2007年9月にマックス・バトラーは遂に、逮捕された。

バトラーはその後、懲役13年が科せられ25億円というサイバーテロ史上最高額の損害賠償請求を命じられた。

バトラーによる被害総額は結局、100億円にも及んでいた。

これで彼は2020年まで刑務所に服役し、何百億円もの罰金を払った。

 だが、マックス・バトラーは〝時代のあだ花〟でしかない。

 もはや、サイバー空間の主役は個人やたったひとりの天才ハッカーではなく、国家に移っているのだ。

 ICEMANことマックス・バトラーの好きな言葉でパスワードに選んだ言葉は〝!!Onemancan make a difference!〟(ひとりでも正義は実行できる)

 こうして、ひとりの天才ハッカーの悲劇は終わりを告げた。


                           おわり






 [第四部 エドワード・スノーデン PRISM]



(引用インターネット上の映画情報記事)

映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』

2013年、世界中を震撼させた、米国政府による個人情報の監視という大スクープ。

告発者は29歳の青年。CIAでアナリストとして働いていたエドワード・スノーデンでした。

その告発劇の内幕を描いた、社会派オリバー・ストーン監督による映画『スノーデン』が公開されますが、こちらはその元ネタとなった本人出演によるドキュメンタリー映画です。

スノーデン本人をはじめ、実際の関係者たちによる衝撃的な証言の数々。あなたの個人情報、政府は全てお見通し?!信じられない事実が次々と明かされます!

【公開】

2014年(アメリカ)

【原題】

CITIZENFOUR

【監督】

ローラ・ポイトラス

【キャスト】

エドワード・スノーデン、グレン・グリーンウォルト、ユエン・マッカスキル

【作品概要】

アメリカ国家安全保障局らをはじめとする政府当局が密かに行っていた、国家のスパイ行為ともいえるプライバシー侵害。

命の危険を冒して告発という手段に出た青年と共に、ドキュメンタリー映画監督とジャーナリストが社会の真実を暴きます。

第87回アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞、全米映画批評家協会賞ノンフィクション映画賞ほかに輝きました。

映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』のあらすじとネタバレ

イラク戦争の映画製作がもとで、当局の監視下に置かれる立場の映画監督、ローラ・ポイトラス。2013年1月。彼女のもとに、匿名の情報提供者から暗号化されたメールが届きます。

「シチズンフォー」と名乗るその人物。最初はジャーナリストのグレン・グリーンウォルトに接触。安全な通信方法が確立できずに断念し、ローラを頼って連絡してきたのでした。

メールの内容は「買い物、電話の相手、メール、友人、閲覧サイトなど、米国民の膨大なデータは全て、NSA(国家安全保障局)に取集されている」という信じられないものでした。

世界ハッカー会議。NSAで、90年代大量のデータ分析方法を開発したというウィリアム・ビニーが語っていました。9.11後、NSAは国民の監視を開始。AT&T社に日々3億件以上もの記録を提供させた。CIAも関与したその事実を告発した後、私は銃で脅された、と。

2013年6月。香港。ローラとグレンは「シチズンフォー」と対面します。彼の名はエドワード・スノーデン、29歳。ブーズ・アレン社のアナリストでハワイ在住。肩書きはシステムエンジニアで、CIAシニア・アドバイザーを勤めているといいます。

彼によると、NSAは他国と協力して全ての通信を把握。電話、メルアド、クレジットカードを入力するだけで個人を確定、過去の記録も全てわかるシステムが確立されているとのこと。

グレンは、スノーデンの記事を発表。CNNで「米国民のプライバシー侵害」と放送されます。一方スノーデンは、告発したことをまだ知らせていないという、恋人の身を案じていました。

スノーデンに恋人から連絡が入ります。家賃を払っていないので家を追い出されると言うのです。家賃は自動引き落としなのにおかしいと言うスノーデン。おまけに、彼の家の前には謎の工事車両が何台もとまっています。不可解な状況にグレンも不安を隠せません。

ついにスノーデンはメディアに身元を明かします。2013年6月21日。米国政府はスノーデンを告訴。2日後、ウィキリークスがスノーデンの政治亡命を計画実行し、彼の飛行機はモスクワへ到着します。ところが米国政府がパスポートを無効にし、入国は不可能となります。

グレンは、ブラジルの上院公聴会で発表します。「9.11以降、政府が国民の安全を守るためにとったという政策は、テロとは全く無関係のものです。米国人の盗聴には裁判所の許可がいるが、在米外国人なら許可は不要。重大なプライバシー侵害です」。

モスクワの空港ターミナルで40日間過ごしたスノーデン。政治亡命者として1年間のロシア滞在を許可されます。オバマ大統領は「彼は愛国者ではない」と会見で言います。

2014年3月。NSAの監視に関する議会審問が行われています。ウィリアム・ビニーは、世界中の情報機関が同じことをしていると証言。しかし、審問は途中で中止されます。会場にCIAの二重スパイがいたことが発覚しました。

2014年7月。スノーデンの恋人が、モスクワへ引っ越してきました。グレンのもとには、新しい情報提供者が現れます。それを聞いたスノーデンは「非常に危険だ」と危惧します。

その情報は「ドローン攻撃全てが、ドイツの米空軍基地からなされている」というものでした。スノーデンは唖然としています。さらにグレンは、意思決定の流れをチャートにして書き説明します。その頂点に名が挙げられた人物とは、「米国大統領」でした。

「特筆すべきはこれさ」とグレンが書いたメモには「120万人が監視対象者リストに載っている」とあります。「そんなの国1つ分の人口だ」と、カメラの前で固まるスノーデン。

スノーデンは沈黙したあと、グレンに「勇敢だ」と言います。グレンは「米国大統領」と書かれたメモを見ながら答えました。「君の行動力に触発されたんだ」。


映画『シチズンフォー スノーデンの暴露』の感想と評価

なぜ、告発するという行動に踏み切ったのか。そう聞かれたスノーデンは答えます。

「国家権力は、国民の〝反対する力〝を潰そうとしている。世界中の子どもたちが、ネットで誰もが対等に、自由に意見を言える。しかし政府の監視が原因でそれが不可能になったら?それは知的探求心を制限するものだ。知的自由を奪うことはしてはいけない」。

ホテルの一室で取材を受けるスノーデン。ひたすら盗聴・盗撮されることを気にしています。IP電話なら受話器を置いた状態でも盗聴が可能だからと、電話の線をひっぱり抜きます。

そして、パソコンは新品でないと危ないと言い、SDカードを挿しっぱなしでいるのは危険だと抜き、パスワードがわかったらまずいからと、ブランケットを頭からかぶってカタカタとキーボードを打ち始めます。

事情を知らない人が見たらこれはもうノイローゼです。ジャーナリストのグレンも「被害妄想バグに侵されてるよ!」とジョークを言います。しかし、これが決して過剰反応ではないことが証明されるのです。

インタビュー中、絶妙なタイミングで火災報知器が鳴り出します。全員が一瞬、固まります。スノーデンは電話機を調べ、フロントに確認すると単なるテストだと言われますが、誰もがしばらく黙り込みます。

そして、スノーデンが世間に身元を明かす以前に、勤務先のNSAの人事部と警備員が彼の部屋に侵入するという事件が起こります。さらに、家賃が引き落としであるにも関わらず、なぜか不払いで追い出されそうになり、家の前には謎の工事車両が何台もとまっているというではありませんか。

フィクションではないので、ドラマチックな音楽も、命を狙われ危機一髪なシーンも、まさかの大オチも、何ひとつありません。超ド級の爆弾を落とした張本人スノーデンでさえ、つねに冷静で淡々として見えます。だからこそ恐ろしいのです。

新たな調査に挑む、グレンの決意で映画は終わります。スノーデンは、決しておおげさに反応しません。それでも何かを思案しているように黙ってグレンを見つめています。派手な演出も台詞もない、本物の恐怖が見えた思いでした。


まとめ

劇中、「デモ隊へのセキュリティ講習」というシーンがあり、ジャーナリストのジェイコブ・アッペルバウムが、リンカビリティというシステムについて語る内容が凄かったです。

例えば地下鉄のメトロカードとクレジットカードのデータを結びつける。それだけですでに買い物した場所、買った商品がわかり、カード使用の時間帯も調べれば、誰とどこで会ったかも簡単に判明する。

それを続ければその人物の人生まで読めてしまう。しかしそれが真実とは限らない。データ上で犯罪をした、と判断されればそれで最後。その上、指紋や写真までとられればそれはもう大きなリスクになると。

全ては9.11以降、テロリストや犯罪者から全米の国民を守るという大義名分のもと、政府が機密下で行っていたことがどれほど凄まじいことなのか。そしてそれがアメリカだけの話ではないとは。まさに今そこにある危機です。

スノーデンは2015年9月からツイッターを開始していて、1時間もたたないうちにフォロワー数が15万人にもなったとか。現在の居場所は明かされていませんが、ネットの講演やスピーチで精力的に活動しているようです。


(引用インターネット上の映画情報記事)

映画「スノーデン」

作品情報・キャスト

スノーデン

スノーデンの紹介:2016年アメリカ映画。2013年6月、一人の人間によってある情報が暴露される。

政府による民間人への無差別監視。その仕事を任されていた彼は事の重大さに黙っていられなくなった。

自らの危険を顧みず公表、世間は政府の実態に反感を買い政府はその男を追うことになる。男の名前はスノーデン、正義の為に国に尽くした29歳のアメリカ人である。

2013年に実際に起きた暴露事件の映画化。監督は「プラトーン」でゴールデングローブ賞等の受賞歴を持つオリバー・ストーン。

監督:オリヴァー・ストーン 出演:ジョセフ・ゴードン=レヴィット(エドワード・スノーデン)、シェイリーン・ウッドリー(リンゼイ・ミルズ)、メリッサ・レオ(ローラ・ポイトラス)、ザカリー・クイント(グレン・グリーンウォルド)、ニコラス・ケイジ(ハンク・フォレスター)、ほか

監督はオリバー・ストーン。「プラトーン」の監督で、反米的で、最近やや反日の人です。有名なスノーデン事件、でもアメリカ政府が盗聴や盗撮をしてただけで公表するかな?

と思ったら、やはり、それ以上の闇がありました。

パンフレットでは、町山智浩さんが、その動機をオリバーストーン監督のテーマである「父殺し」という風に解釈しています。

が、彼の家族は恋人以外、出てきません。

映画の中で印象的なルービック・キューブは実際のスノーデンは犯行に使ってないそうです。

今回は、アメリカを裏切るまでに何をしていたのか?

そして、その後が描かれています。

ある意味、コンピューターやハッカー物なので、退屈な映画になるかと思いきやかなり波乱万丈の映画になっています。

基本的に、純粋で真面目な人なので、本当にそこまでの善人だったのかな?

と疑わしくはありますけど。それなりに特番を見ていたつもりだけど、かなり知らない事実も多かったです。

やはり、反米映画なので、当初は米国企業の出資が得られなかったとか。

米国内の撮影はワシントンDCやハワイだけで、他はミュンヘンで行なったとか。

主役のスノーデンを演じたのは「ザ・ウォーク」に出演していたゴードン=レヴィット。スノーデンがノースカロライナで、ゴードンはサウスカロライナというところにも共通点があったのかも。

というか、スノーデン本人によく似てます。竹ノ内豊さんに似てるかな?と思いながら見てましたがw 

日本でも、共謀罪の制定が問題視される中、個人情報すら国家に管理されているとしたら?その恐怖や問題点を改めて考えるきっかけになるかもしれません。


2013年6月4日。香港のミラホテルのワニの人形前で2人の男女が待ち合わせをしていました。1人はドキュメンタリー作家のローラ・ボイトラス、そしてもう1人は英ガーディアン紙のグレン・グリーンウォルドです。

何人かの若い男を見送った後、片手でルービックキューブをしながら眼鏡の男性が歩いてきました。

彼は、軽い挨拶をして、そのまま歩き続け、ホテルの一室に案内します。そして部屋に入るなり、携帯電話を取り上げ、電子レンジに入れます。

撮影はローラの仕事です。エドワード・スノーデンは幾つかの身分証明書を提示して自らの経歴を説明し始めます。



9年前の2004年。彼は911で愛国心に目覚め、特殊部隊を志願し、過酷な訓練を受けていました。「フルメタルジャケット」や「ファミコンウォーズ」のCMでお馴染みの「my old granny, she’s 91」のリズムで「イラクはコンボイだ」と歌いながら、走り込み、丸太を飛び越えます。

が、起床時に、2段ベッドの上から飛び降り粉砕骨折しました。

訓練で、すでに折れていた骨が蓄積疲労で砕けたのです。

次、衝撃を与えると二度と立てなくなります。数カ月の入院の末、除隊します。その頃、出会い系のSNSで「攻殻機動隊」の話で盛り上がりました。

父が沿岸警備隊だったスノーデンは、次はCIAの面接を受けます。

通常時なら不採用ですが、非常時なので採用されました。

教室に入る前に、エニグマなどの古い暗号機械をいじってる教官ハンクと知り合います。CIAの訓練センター「ザ・ヒル」は検問も厳重です。トランクを開ける際も腕をハンドルに入れて左手で開けます。最初の授業は、5時間でクラッキングしたデータを再度直す課題です。8時間過ぎれば失格です。38分で、スノーデンはコービンに報告します。

「途中経過なら必要はない」「いえ全行程終わりました」

スノーデンは、自動処理で、終わらせてしまったのです。

コービンは「好きにしろ」といい、スノーデンは退出します。

で、バーで、待ち合わせをしていると、写真を撮られます。「青白いわね」それがリンゼイとの出会いでした。ワシントンDCで署名を求められ、リンゼイは署名し、スノーデンは拒否します。

政府批判は、戦場にいる友達のためにも出来なかったのです。

「あなた気に入らないわ」とキスされ「リベラルの味がする」と答え、2人は交際始めました。この頃は、まだカメラに拒否反応はありません。

スノーデンは成績優秀でした。ハンクは911前に識別するプログラムを組み不採用でしたが、知らぬ間に軍事利用されていて、それが一部の業者を見落とし、左遷されたのでした。

コービンはスノーデンの才能は最前線でこそ生かすべきと、推薦します。

但し、中東ではなく、ロシア・中国との戦いです。スノーデンの赴任先はスイス・ジュネーブで、国連代表部のCIAのネットワークセキュリティの維持です。

だが、上司のメールにハッキング跡があり、それを指摘しても、うとまれるだけです。

そんな中、エックスキースコア(別名『PRISM・プリズム』)を知ります。

本来NSA(米国家安全保障局)の権限が必要ですが、同僚のジェイムスが、操作を見せてくれます。

人物を特定すれば、危険な発言もメールやチャットも閲覧可能です。たとえば「ブッシュ」「アタック」です。それか、蛇が出てきたという内容でも。



スノーデンは、大使館のパーティーに誘われ、リンゼイも同伴します。

スノーデンに任務はアルカイダとのつながりがある関係者を見つけることですが、そう簡単には行きません。まず、知り合いになることも警戒されてできないのです。

その辺はリンゼイの方が上手でした。スノーデンがIT関連の株で大損したので、パキスタンの銀行家と話をつけてくれたのです。

スノーデンも彼女に2万と言ったが、本当は4万4千ドル損したと言って、気弱な青年をふるまいます。

銀行家の名前から、エックスキーコアで、ジェイムスが家族・親戚の全着信歴が調べます。そこで、15歳の娘の動画が映されます。

撮影したものかと思いきや、リアルタイムのハヤの様子で、着替えていました。

いわゆるバックドアです。カメラ付きのノートパソコンは、電源OFFでも遠隔操作でリアルタイム撮影できるのです。彼女が着替えだしたので、話題を変えました。

彼女には18歳の彼氏がいましたが、その母とも不法滞在者でした。

ジェイムスは喜んでいます。ジェイムスは何も知らないスノーデンを白雪姫(スノーホワイト)と呼びます。

スノーデンは訳が分からず、1週間後、上司に呼び出されました。

そこには、あの銀行家がいてかなり飲んでるようです。

上司は話しかけると銀行家は「君と知り合ったせいで酷い目にあったよ」と言われ、正体がばれたかと思います。

が、娘の彼氏が強制送還され、睡眠剤を大量に飲み、一命を取り留めたというのです。

スノーデンは話を合わせます。上司は分かれた後、「今から彼が飲酒運転を起こす。通報しろ」と言われますが、彼が運転するのは危険なので断ります。

NSAは財布を1つ手に入れたのでした。

2008年、米大統領選が行なわれ、オバマの政治信念を信じて、CIAを退職します。一般人のプライベートを暴き、スパイにするやり方に疑問を感じたのです。

この頃にはカメラ嫌いになり、部屋のPCカメラにはテープを張っていました。

それ以降のスノーデンは民間スタッフとして職につきます。

が、皮肉にも日本の横田基地でNSAの仕事が回ってきます。それでも、共和党から民主党に変わっているので、携帯電話のバックアップシステムとしてエピックシェルターの開発にいそしみます。

でも、リンゼイとの関係は壊れました。彼女がネットに自分のヌード画像を見せた時、キツく当たってしまったのです。

勿論、スノーデンは、その行動の愚かさを理解してましたが、それは米政府の機密に関わり、癒えません。

リンゼイは、最近のスノーデンは家に居てもゲームをするだけで、夜の生活がないことにストレスを感じていたのです。

でも、彼女は就労ビザがないため、アパートから出られません。

明日は久々の休暇を利用しての富士登山でしたが、リンゼイは帰国しました。

3カ月後、エビックシェルターが完成したので、メリーランドに行き、リンゼイとの仲を修復しました。

リンゼイはポールダンスの講師をしてました。

スノーデンも漸く人らしい生活をはじめるのですが、恩師のコービンに呼び出され、ハワイへの任地を勧められるのです。



その相談をしてる最中、パスタがゆであがり、それを止めようとして、湯気で気を失います。てんかん発作でした。

リンゼイは、ストレスをためないことがいいと言われたので、ハワイ行きを認めます。

でも、ハワイで待っていたのは、エピックシェルターを利用した、ドローンの攻撃装置でした。

携帯電話を持っている相手をGPSで見つけ攻撃するのでした。スノーデンはショックでした。

ハートビートと名付けられたそれは、人殺しを続けています。

BBQの中、ドローン攻撃するパイロットの話を聞きます。犬が加えていたと思った携帯電話は子供も巻き込まれていて、その葬式で家族も爆死した、そんな話です。

スノーデンはニュルンベルグ裁判で、最初は政治家や軍人だけだったか、最終的には弁護士・警官・医者・ただ仕事をしていた人も処刑された…と。

その話の最中、倒れ、てんかん発作が再発しました。

頭がボーっとするので薬を飲んでいなかったのです。

当然、リンゼイは怒りますが、スノーデンはパソコンに暗号化プログラムを打ち込み、外に連れ出します。

それで「盗聴・盗撮されている」と告げます。

で、仕事を終えたら、国外逃亡すると言い出すのです。

リンゼイにメリーランドに帰るよう言いますが、リンゼイは2人が逃げると疑われるので、連絡を待つというのです。

スノーデンは、同僚に「ハートビート」の異常性を説明します。ロシアで15億件に対し、アメリカ国内で31億件も反応があるのです。

米国3億人の人口に対してです。3人の電話をその相手も追跡すると40人ですが、40人を追跡すると250万人になるのです。上司に見つかったので、イラクとパキスタンでどちらが多いか賭けをしていたと言います。

それは、コービンに連絡され、呼び出されます。

かつて、リンゼイのSNSメールを閲覧したこともバレていました。

それどころか、そのメール相手と関係がないことも突き止められていました。

コービンは、情報戦は敵にも味方にも知られずにするのが現代の戦争とうそぶきます。

アメリカ政府内でも告発しようとした3人が逆にスパイ容疑で訴えられていました。

スノーデンの心は決まりました。

翌日、イスラエルでクラッキンクが起こり、CIAは大打撃です。

ハワイでも、海軍による視察が行なわれているので、その隙に全データをコピーします。わずか数分で転送は終わります。チップを抜こうとして、床に落とします。

同僚のイーウェンが気づきますが。足で踏んでやり過ごします。

で、スノーデンは手話でイーウェンと会話します。

「すまない、出ていく」

「俺とキャプテンアメリカを置いていくのか?」

「迷惑はかからないようにした」

「何のことか分からない」

スノーデンは、ジェイムスにも早退の挨拶をし、本土への入院も進められます。

が、チップを入れたルービックキューブは検査中、係員に渡し、やり過ごします。

そして、2013年5月に外へ出たスノーデンは晴れ晴れとした顔で香港に向かったのです。

スノーデンがローラを選んだのは、37回もロンドンで逮捕歴があったからです。

編集はミュンヘンで行なうそうです。

2013年6月4日(火)、英ガーディアン紙は夕方発表をしぶります。でも、既に1日経過しようとしていました。



結果、5日(水)に発表されました。

エックスキースコア、google等の検索サービスを利用したPRISMなどの秘密が公表されていきます。

だが、記者にホテルがバレ、スノーデンはローラのカメラを持ち、記者として脱出し、「今まで、色んな偉人に会ったが君は…」

その後、手引きしたのはウィキリークスでした。

難民達のいるアパートで23日まで滞在し、ロシアに向けて出発します。

が、オバマ大統領が「捕まえるのは29歳のハッカーです」とアメリカ政府がスパイ容疑でパスポートを止め、モスクワ空港で5週間立往生になり、8月に、プーチン大統領が在留許可を与えます。

イギリスのもNSAに協力していたため、ガーディアン社のコンピューターをクラッキング破壊しています。

2014年、ロシアからアメリカに生中継が行なわれました。

試走するモニターにスノーデンが映っています。

「ロボットじゃありません」

 スノーデンは、システムを破壊することは出来ました。でもしなかったのは、人々に考えて欲しかったからです。ヨーロッパからはスノーデンは内部告発者と考えるべきという意見もあります。

その年に、リンゼイもモスクワに向かいました。

彼は2020年までの居住許可があります。

今のところ、アメリカでは、モスクワで死ぬべきという意見が多く、帰国できそうになく、すれば死刑です。


[第五部 株式会社日本の崩壊のシナリオ20 日本が根こそぎハック(略奪)される!]


日本株式会社の崩壊のシナリオ (ZERO)菅義偉の正体と新型コロナ




東洋経済オンライン

日本がデジタル化で遅れる決定的な構造要因 国家・産業・企業における競争戦略を考える

田中 道昭 2020/10/03 13:30

「スガノミクスの日本創生」としてのデジタル戦略を考えます(写真:Graphs/PIXTA)c 東洋経済オンライン 「スガノミクスの日本創生」としてのデジタル戦略を考えます(写真:Graphs/PIXTA)

 菅新政権が2020年9月16日に誕生しました。総裁選のときから「安倍政権の政策を継承する」と明確にうたっていた新首相のこと、大きな政策変更はないものと見られている一方、「スガノミクス」とでもいうべき独自色もあります。

 現在、菅政権の目玉として語られているのは規制改革(行革)、コロナ対策(厚生労働)、デジタル庁(IT)の3つですが、規制改革への強い意欲は小泉政権下の新自由主義的な政策を予感させます。

 思えば菅義偉首相は総務副大臣として小泉政権を支えていたのです。したがってスガノミクス=安倍政権の継承×新自由主義と位置づけることも可能でしょう。また秋田出身の菅首相は、総裁選を通じて地銀再編にも言及するなど、従来取り組んできた地方創生を明言。中小企業基本法を見直すなど、中小企業改革にも着手します。

 デジタル庁に代表される菅政権のデジタル戦略。私自身、本年7月に発足した「デジタル市場における競争政策に関する研究会」(公正取引委員会所轄)9人の委員の1人(座長は東京大学大学院柳川範之教授)を務めていますが、米中メガテック企業の最新動向を参照しながら、私が専門とする国家・産業・企業における競争戦略とデジタルトランスフォーメーションを論じていきます。

「スタートアップのような企業DNA」が成否を分ける

 日本のデジタル化は立ち遅れている。従来繰り返し指摘されていたことですが、新型コロナウイルスの感染拡大により、改めてその事実があらわとなりました。とくに給付金申請にまつわるトラブルは象徴的でした。「オンライン申請可」としながらもその実、業務はデジタル化されておらず、FAXが多用されるなど、各自治体は人手による確認作業が余儀なくされました。

 筆者もまた、GAFA(グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル)、BATH(バイドゥ、アリババ、テンセント、ファーウェイ)といった米中メガテック企業の先進事例を目の当たりにするたび、日本の遅れを痛感させられてきました。例えば、日本が提唱する「ソサエティ5.0」にしろ、スーパーシティ法案で構想されている「スーパーシティ」にしろ、すでにアリババの本拠地である杭州で実現しています。日本はすでに「デジタル敗者」。残念ながら、それは国内外で十分に認識されているところだと言えます。

 なぜ、日本のデジタル化は遅れているのか。さまざまな理由が考えられますが、本稿において指摘したいのは企業、行政、システムという3つのセクターにおける「DNA」の問題です。企業には大企業病が、行政には官僚主義が、システムにはレガシーシステムがはびこっています。レガシーシステムにはITシステムのみならず、社会構造やマインドを含めても構いません。

 裏を返せば、デジタルトランスフォーメーションの本質はDNAの刷新にあります。すなわち、スタートアップ企業のようにスピーディーなDNAを取り戻し、大企業病を、官僚主義を、レガシーシステムを刷新すること。それは、米中のメガテック企業やデジタルトランスフォーメーション(以降、DX)を長年研究し、実務にも携わる中でたどり着いた結論です。

 いい例が、アメリカの小売り大手ウォルマートです。非デジタルネイティブ企業としては非常に珍しく、また「世界最大の小売企業」という規模の大きさにもかかわらずDXに成功しかけており、コロナ下においても業績は好調です。ECの台頭により多くの小売業が後退するなか、なぜウォルマートは好調なのか。

 もちろん店舗自体のアップデートも進めましたが、なによりの理由は企業DNAの刷新に手をつけたことだと私は考えています。2017年12月、社名変更により「ウォルマートストア」から「ウォルマート」へと生まれ変わったことは象徴的です。CEOは「テクノロジー企業になる」と宣言し、リアル店舗としてのウォルマートストアにこだわらず、ECやその他も含めてビジネスをデジタルシフトしていく、とのメッセージを内外に向けて発信したのです。

カギを握るのは「デジタル庁長官」

 あるいはノキアです。かつて「携帯電話といえばノキア」「フィンランドの奇跡」「技術の神童」と称賛されていた同社は、iPhoneなどスマホが台頭すると倒産の危機に追い込まれました。しかし彼らはスタートアップのような企業DNAを取り戻し、見事な復活を遂げました。その過程についてはシラスマ会長の著書『NOKIA復活の軌跡』(早川書房)に詳しく記されています(筆者も解説文を寄稿しています)。

 「スタートアップのような企業DNA」と言いましたが、それは企業のみならず、国家がDXを推進するうえでもなくてはならないものです。世界最先端のデジタル国家として日本がベンチマークしているエストニア、世界屈指の技術大国イスラエル、ITを駆使したコロナ対策で高く評価される台湾など、DXに成功した企業の多くが小国であることがその証左です。付け加えるなら、国際競争力ランキングの上位もシンガポールやスイスといった小国が占めています。これら小国はスタートアップ企業に似たDNAを持ち、意思決定も実行スピードも、大国とは一線を画します。

 日本がDXを本格的に推進するにあたっては、デジタル庁はもちろん、各産業においても個別企業においても「スタートアップのような企業DNA」が不可欠です。そのときカギを握る存在は、デジタル庁が設置されたのち、その司令塔につく「デジタル庁長官」です。政治家が就任するのか、民間から招致されるかは定かではありませんが、デジタル庁長官はいわば民間企業におけるCDTO(チーフ・デジタル・トランスフォーメーション・オフィサー)。DXを推進する指揮官として、極めて重要な役割を担う存在です。

 というのも、CDTOに求められる資質は非常に高度です。実務と先進のテクノロジーの両方に精通していなければ務まりません。さらには、GAFAやBATHといったメガテック企業が高い報酬と働きやすい職場環境を用意して獲得しようとしている優秀なエンジニアをひきつけ、採用し、定着させなければならないのです。デジタル庁の成功は、優秀なエンジニアをひきつけ、自律的に働くことを促進し、スタートアップ企業のような組織文化に刷新し、イノベーションを生み出せるかどうかにかかっている。私はそう確信しています。

「マイナンバー」で浮き彫りになる自治体システムの課題

 デジタル庁の課題として想定される「マイナンバー」についても、解決しなければならない課題があります。

 新政権はすでに「マイナンバーと口座を連動させることで、給付金の手続きをスムーズにする」等の方針をまとめています。国民の使い勝手や使いやすさ(ユーザビリティー)を考えるなら、行政サービスを受ける際の基盤としてデジタルIDを付与するのは必然であり、またそこにマイナンバーを活用することについては異論ありません。

 もっとも、ユーザビリティーの追求は一筋縄ではいかないことには触れておきたいと思います。デジタルツールである以上、PCやスマホと同様、ユーザーフレンドリーが厳しく問われます。私たちがすっかり慣れ親しんでいる「サクサク動くスマホ」と同等のユーザビリティーがなければ、どれだけ高機能であっても使われないことでしょう。ここでは詳述しませんが、中国企業がテクノロジー先進国となったのも、徹底したユーザビリティーの追求に複数のプレイヤーがしのぎを削った結果です。地方自治体が、自らの業務の効率性・生産性向上ばかりに気を取られ、国民の利便性向上を怠るようだと、マイナンバー改革は失敗します。

 さらに大きな課題が3つあります。

 第1の課題は、マイナンバーを取り扱う都道府県・市町村・省庁のシステムがバラバラであることです。

 これまで都道府県・市町村・省庁のシステムは、これまで各自がバラバラにITゼネコン各社に発注してきました。そのためマイナンバーで公的サービスをそろえていくことになった場合に

① システムをどこか1社のものに統一し、ほかはレガシーとして廃棄する

② それぞれのものをつなぎ合わせる

どちらか一方の選択を迫られることに。

 ②の場合、みずほフィナンシャルグループのシステム統合のように多大な時間を要し、また後述するようにセキュリティー上の懸念が増大するため、①が望ましいといえます。韓国も「バラバラだった自治体のシステムを統合した」過去がありますが、その際は韓国地域情報開発院(KLID)が自治体向けに共通のソフトウェアを開発し、無償配布しました。

 問題は、IT産業が建設業以上に多重的な大手・下請け構造により既得権益が守られていることです。そのためシステムを「どこか1社のものに統一」するのは至難の業です。政府が7月に発表した「骨太の方針」にも「ベンダーロックイン」という言葉が紹介されています。「システム改修を開発ベンダー(事業者)しか実質的に実施できないなど、特定のベンダーに依存せざるをえない環境のこと」です。この既得権益を打ち破れるかどうかが、1つめの課題です。

 実際、菅首相はすでに「自治体システムを2025年までに統一する」よう指示をしています。スピード感が求められているなかで「5年後」という時限は率直にいって「遅い」との感想を筆者は持ちましたが、それはシステム統一の難しさを熟知しているからでもあるのでしょう。

「しっかり計画してから実行」では遅い

 第2の課題は、計画~実行プロセスにあります。マイナンバーを中核に据えた公的サービス拡充を含めて、日本的な「しっかり計画してから実行」方式が想定されています。しかし、環境変化が目まぐるしい昨今、これでは時間がかかりすぎ、完成した頃には必要なシステムも変わっているおそれがあります。リスクを恐れるあまり綿密な計画を立てないと動き出せない「大企業病」も、ここに起因するところが大きいのです。

 そこでITの世界では「アジャイル方式」が浸透しつつあります。アジャイル方式とは、綿密な計画よりも「大胆なビジョンのもとでまずやってみて、それから高速にPDCAサイクルを回すことで改善を進めていく」開発手法のことです。これこそ米中メガテック企業、あるいは国際競争力の高い小国が採用している手法です。

 端的に言えば、計画に時間をかけるようではDXとは言えないのです。今回のデジタル庁構想こそ、まずは何かをアジャイルで始めることが肝要と私は考えます。小さい成功事例を作り、その成果を広げていくのです。その意味では、現在検討されている「行政手続きにおけるハンコを廃止し、電子契約に切り替える」動きは試金石となるでしょう。やはり既得権益層からの反対の声が大きい分野ではありますが、ここで頓挫するようでは、オンライン診療化もオンライン授業化もおぼつきません。

 第3の課題は、日本のセキュリティーの脆弱性です。

 そもそもサイバーセキュリティーの世界では「万全なセキュリティー」は存在しないとするのが常識です。サイバーセキュリティー先進国であるイスラエル、アメリカ、中国でもサイバーセキュリティーのテクノロジーは日々進化しており、どのようなセキュリティーもすぐに打ち破られてしまうのです。また、イスラエルがサイバーセキュリティーの最先端になりえたのは、皮肉なことに「日々攻撃を受け、また攻撃をしているから」にほかなりません。

 敵国に囲まれた環境で日々サイバー攻撃を受け/仕掛け、また軍のサイバーセキュリティー技術を民間に転用することを促進しているのがイスラエルなのです。裏を返せば、日本のボトルネックは、自らサイバー攻撃を起こす/防ぐといった「戦時」の経験を持たないこと。守る側の視点があるのみで、攻撃側の視点に欠けているのです。

 そのため、マイナンバーを口座等とリンクさせた場合、金融取引に対するサイバー攻撃など大きな懸念が残ります。とくに「バラバラのシステムをつなぎ合わせて使う」手法が選択された場合、つなぎ合わせた分だけセキュリティーの懸念は増大します。またエラー率や攻撃を受けたときの被害率が仮に1%にとどまったとしても(実際には今の日本のサイバーセキュリティーの状況だと数割程度のリスクがあると考えられます)、人口1億人なら100万人が影響を受けることに。これを金銭的に補償するのは現実的ではありません。安全性を担保する施策が問われるところです。

利便性、個人の尊厳、安全性のバランスを

 総じて言えるのは、自治体システムのデジタル化においては、システム(利便性)、プライバシー(個人の尊厳)、セキュリティー(安全性)のバランスを取ることが求められる、ということです。基本的に、これらは矛盾した関係にあります。利便性を求めデータを提供すると、プライバシーがのぞかれる心配が生じますし、あるいはドコモ口座不正出金問題のようにセキュリティーが犠牲になることも。

 ドコモ口座問題を受け、例えば写真付き本人確認書類も撮影して送信するなど、本人確認を電子化してスピーディーに行う「eKYC」が注目されていますが、これとて対面による本人確認手続きに比べれば個人情報の漏洩、プライバシー侵害のリスクは高まります。現在はまた新たな仕組みとしてブロックチェーンの技術を活用した「自己主権型アイデンティティー」などの概念も出てきています。これらを活用しながらシステム(利便性)、とプライバシー(個人の尊厳)、セキュリティー(安全性)のバランスを模索していくことになるでしょう。

 なお前述の韓国の自治体システム統合においては、「KLIDが自治体向け共通の業務ソフトを開発、無償で提供(利便性)」「システム上の個人情報へのアクセスログがすべて記録され、本人がチェックできる。不正なアクセスは罰せられる(個人の尊厳)」「KLIDが各自治体と自治体全体のセキュリティーを管理する(安全性)」というかたちでバランスが取られています。

 以上、さまざまな課題を抱えながらのスタートとなるスガノミクスですが、デジタル化の成功が大きな価値をもたらすこともまた事実です。デジタル化により何が可能になるのか。ここでは、デジタル化を軸に菅新政権の政策を読み解きつつ、筆者が考える政策を提言したいと思います。

 以下の図はスガノミクスの全体像を示すものです。私の専門である国家・産業・企業の競争戦略を分析する際のフレームワークにならい、菅首相の公約を「グランドデザイン」「理念」「ビジョン」「戦略」とブレイクダウンする形で整理しました。なお、菅首相の理念として知られる「自助・共助・公助」のフレーズですが、正しくは「そして絆」と結ばれます。

 (外部配信先では図を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください)

 ここでは紙面の制約から、日本創生戦略×デジタル戦略の掛け算による、「デジタル副業・複業市場の創造」を提言します。

 日本創生は、地方創生、産業創生、企業創生、個性創生と4つの領域で行われます。また、それぞれを実行するプロセスとして次の「3つのC+D」を提言します。

選択する(choose):それぞれの創生での最大効果ポイントを選択する

つなげる(connect):中央・地方・産業・企業・1人ひとりの個性をつなげる

深める(cultivate):それぞれの創生での絆を深める

デジタルで進化させる(DX):デジタルトランスフォーメーションで「自助・共助・公助、そして絆」を進化させる

スイスが小国なのに国際競争力が高い理由

 これを背景に、4領域では次のような変革が期待できるでしょう。

○地方創生:それぞれの地方の特徴・強みを起点に創生を実行します。

 さきほど小国のDXの事例に触れましたが、地方創生においても、ある小国が参考になります。スイスです。

 スイスは小国でありながら国際競争力ランキングの上位です。その要因は煎じ詰めると「優秀な人材や企業を国外からひきよせている」からです。なぜそんなことが可能なのかといえば、事業環境×教育環境×生活環境が三位一体で優れているためです。地方創生=産業とイメージされがちですが、事業環境だけでは人は集まりません。例えば、優秀なAIエンジニアは働く環境があっても、生活環境や教育環境が優れていなければ家族を連れていけず、わざわざ国外から移住しようとは思わないでしょう。

 それでは日本の地方はどうか。これまで地方は、豊かな自然など生活環境はもともと優れている部分があったものの、教育環境や事業環境が整っておらず人や企業をひきよせることができていませんでした。しかしコロナ禍によって急速に事業環境・教育環境のDXやオンライン化が進み、ようやく事業環境×教育環境×生活環境の三位一体が整いつつあります。後述のデジタル副業・複業市場を創造すれば、さらにカバーできるでしょう。

○産業創生:新たな産業を創造し、既存産業を再編します。

 すでに報じられている地銀再編のみならず、あらゆる既存産業の再編が進みます。いい例は自動車産業です。自動車にIT、電機、通信、電力・エネルギー、金融等の産業がクロスオーバーする次世代自動車産業が誕生しています。また自動車は「再編すべき」産業でもありました。2020年7月、EVの雄であるテスラの時価総額がトヨタ自動車の時価総額を超えただけでなく、のちに日本の全自動車メーカー上場9社の合計時価総額を超えたことが大きなニュースとなりました。

 ここからわかるのは、市場は明らかに日本の自動車メーカーとテスラを別々のものとみなしている、ということです。日本の自動車メーカーがいまだ旧来型の自動車メーカーであるとするなら、テスラはテクノロジー企業、あるいはクリーンエネルギーのエコシステムを構築している企業です。日本の自動車産業は、生き残りをかけてさらに再編を進めていくことになるでしょう。

○企業創生:総裁選挙期間中から、地方の中小企業の競争力を強化するとの方針が示されています。デジタル化によって競争力を高めていくことが求められています。

○個性創生:アベノミクスの継承と言いながらも「正すべきところは正す」といった発言が聞かれました。その最大のものは「格差縮小」です。とくに地方×中小企業に勤務している人々の所得改善を実行すると思われます。

○デジタルで進化させる:地方×中小企業に勤務している層をケアするといっても、給付金を出すのみでは持続可能性(サステイナビリティー)に乏しいでしょう。しかし菅首相が掲げる理念「自助・共助・公助、そして絆」で掛け算すると、突破口が見えてきます。「OECD世界の地域格差レポート」によれば地域の生産性は「交易可能な産業部門(トレーダブルセクター)をどれだけ持っているかに大きく依存します。ならば地方創生には、デジタルによって地場産業を交易可能な産業分野に転換することが有効になるはず。「交易可能」とは、地方と首都圏、地方と地方をつなげる絆そのものです。

 そのような絆が実現するものとして、私は「地方・産業・企業・個人をつなげるデジタル副業・複業市場」を提言します。ここでいう副業・複業は、正規の仕事を持ちながら別の仕事を持つことを意味しています。仕事はどうしても首都圏に集中しがちですが、デジタル化により例えばクラウドソーシングのように副業・複業を選択できる環境がより整えば、地方にいても自分の強みを生かすことができ、所得も伸ばせます。まさしく「まずは自助」が可能な環境が、公助によってできあがるのです。

カニバリゼーションを恐れてはいけない

 「カニバリゼーションをすることをせよ」。DXの最先端企業の1つであるアマゾンの創業者ジェフ・ベゾスは、かねてそう語っています。カニバリゼーションとは自社の製品やサービス同士が売り上げを食い合う(共食い)することをいい、一般的には回避すべきものとされます。しかしアマゾンは自社を変革し続けるために、カニバリゼーションをむしろ積極的に行ってきました。Kindleなどはよい例です。

 電子書籍は、アマゾン創業以来の書籍通販ビジネスとカニバリゼーションを起こす可能性のあったサービスでしたが、ベゾスはそれを恐れませんでした。それまで書籍部門を任せていた幹部をデジタル部門に異動させ、こう語りました。

 「君の仕事は、いままでしてきた事業をぶちのめすことだ。物理的な本を売る人間、全員から職を奪うくらいのつもりで取り組んでほしい」(『ジェフ・ベゾス はてなき野望』日経BP)。日本という国がDXをするにあたっても、それを阻害する既得権益、レガシーを数え上げればきりがありません。しかしそれらを破壊し、刷新することこそがDXの本質です。菅新政権が、カニバリゼーションを恐れず日本のDXを断行する初めての政権になることを期待します。

(役職は当時。菅義偉氏辞任後は岸田文雄氏が首相)


    

株式会社日本の崩壊のシナリオ 1 日本がハックされる(どんどん売られていく日本)

元・米兵はいう。「イラク戦争は対テロ作戦というより、石油のための戦争だった。帰還してからそのおかしさを訴えても、無視されて、弾圧まで受けた。その後、オバマ政権、トランプ政権、バイデン政権になって、アメリカ人はその本質事体を忘れてしまった。中国が脅威だの、アジア系差別や黒人差別だのより、この国が貧困大国アメリカとなってしまったことのほうが重大な誤り」「トランプ、バイデンは売国奴。売国とは自国民の生活を崩壊させ、外国に売ること。それは命や暮らしや安全のための、種子、水道、農地、消防や警察、物流、福祉と医療や教育、土地のサービスを停止し、市場を開放して、外国人に商売道具として差し出すこと。食料、エネルギー、温暖化ガス排出権、水、金融資産、国家債務などを投機の対象とし、売国に勤しんでいる」「日本は安全で水もきれいで、医療費もタダ同然。羨ましい」………本当にそうだろうか?

 我々は、金正恩や習近平などのわかりやすい敵を見ても、その足元で、日本の資源がどんどん根こそぎハックされているのを気づいているであろうか?


  株式会社日本の崩壊のシナリオ 2 水がハックされる

 「安全と水はタダ」その常識は日本でしか通用しない。日本の水道普及率は97.9%(2015年度)、だが、世界では21億人がきれいな水を利用できず、45億人が清潔なトイレを利用できない。蛇口をひねれば安全できれいな水をいつでも飲める。そんな国のほうが少ない。

 いわば水は人間に欠かせない重要資源である。

 しかし、今後、水は確実に世界で足りなくなり、水自体が商品として売られる日が必ず来る。もうタダ同然ではないのだ。水ビジネスは4000億ドルの有望な資源ビジネスだ。

 だが、世界が水道の公営化にすすむ一方で、日本は水道事業を民営化するという(当然、市場に参入したいアメリカからの要求)。水を民間企業が運営する。こんな危ないものはない。民営なら儲からなければその地方から撤退するし、水の料金値上げもあり得る。

 こんな人間の健康や安全に深くコミットする水事業を民営化するなど愚の骨頂である。


 株式会社日本の崩壊のシナリオ 3 今度は核のゴミがハックされる

 東日本大震災での福島第一原子力発電所の核のゴミも商売になる。〝トイレのないマンション〟という日本の原子力行政では、今は〝核のゴミ〟の最終処分場もない。

 原発でいっぱいになったトリチウム入りの水を、世界基準まで薄めて、海に放出するだけで、漁業者や識者が猛反対する。日本は宝の山の状態だ。カナダ政府が〝核のゴミ〟を請け負う、というのもビジネスとして大きいからである。


 株式会社日本の崩壊のシナリオ 4 種子・ブランド農作物がハックされる

日本の種子法がつくられたのは、「二度と再び、日本国民を飢えさせてはならぬ」という戦後の反省からきている。種子は、時間とコストがかかるので、減反のときのように、行政が手厚い資金援助をしていた。だが、減反政策も種子法も廃止された。

 農家の競争原理だの、日本の農家も世界的なビジネスを! と、主張だけはかっこいいが。

 単なる〝弱者切り捨て〟でしかない。地方では種子法の復活も相次ぐ、が。遺伝子組み換え食品や、大型自動機械やドローンなどをつかった農業も、すべて米国政府からの要求だ。


 株式会社日本の崩壊のシナリオ 5 農薬により日本人の健康がハックされる

日本の農薬使用は世界第三位である(一位・中国、二位・韓国、三位・日本)。日本もじゃんじゃんと農薬を使用しまくっている。

 ネオニコチノイド系農薬のアセタミプリドとクロチアニジンの残留農薬濃度の大幅な緩和を日本政府がしたこともあまり知られていない。

 実は、こういう農薬は世界では使用禁止が相次いでいる。まずミツバチが農場からどんどん消えている。「なら人工ミツバチロボット(RoBoBee)やドローン(PlanBee)をどうぞ」

 とかいう話ではない。医学的な検証は知らないが、この農薬の残留濃度は危険だ、と世界では言われる。日本人に食物アレルギーが多いのも、この残留農薬でではないか? とも。

 また「ラウンドアップ」という農薬は、確かに、雑草や害虫を退治する。が、その後は雑草や害虫も耐性をつけ、より強力な農薬が必要になり続ける、という。これでは悲劇だ。

 ちなみに、問題視されている農薬の成分は「グリホサート」という。


 株式会社日本の崩壊のシナリオ 6 遺伝子組み換え食品で、食の選択肢がハックされる。

まず、我々は「何を食べているのか?」を知る権利がある。

 遺伝子組み換え食品や遺伝子組み換え作物の表示とか、日本の法案はザル法である。

もっとも、「「遺伝子組み換え」はもう古い! 今は「ゲノム編集」だ!」とかいうのである。

日本から「遺伝子組み換え」も「ゲノム編集」の食品をなくせばいい。

農水省は「遺伝子組み換え食品は安全だ」と、主張するが根拠はなんだ?


 株式会社日本の崩壊のシナリオ 7 チーズやヨーグルト大量輸入で、牛乳がハックされる。

まず、外国から安いチーズやヨーグルトを輸入することは、日本の酪農家にとっては死活問題だ。外国産のチーズやヨーグルトが品薄になったら、日本の酪農家がチーズとかつくればいいのだ。と、いう意見は現実を知らない妄言だ。

 日本の酪農家の牛乳は、夏は足りなくなるし、冬は大幅に余る。

余った生乳を捨てれば膨大な赤字だし、安く売れば牛乳の値段が大幅に下がってしまう。

 だから、牛乳の流通を自由化するしかない。

 また、農協も外せ、EUで関税がゼロ? なら日本も。成長ホルモン入りや遺伝子組み換え牛乳の流通を阻止するしかない。


 株式会社日本の崩壊のシナリオ 8 農地法改悪で、日本の農地がハックされる。

日本政府はまたも農地法の改正(改悪)をすすめた。農地というのは住宅地の土地とは違う。食料を作り、人間の安全と生活を守っている。それが中国企業などにどんどんと売りさばかれている。また、農地だけでなく、山や川、水源や温泉などもである。

 農地には消費者、流通者、労働者がセットで耕作する体制化こそ重要である。


 株式会社日本の崩壊のシナリオ 9 日本の森や木々がハックされる。

日本政府は森林法改正(改悪)で、森や木々をどんどん売れるようにした。

「伐採しないで」と所有者がお願いしても、県知事や行政の許可さえあれば「(樹齢五十五年以上の)木々」は伐採できる。これでは良質な木々が国内で手に入らなくなる。

 まあ、外国(アメリカ)のオーダー(要求)で、法を改悪しただけだが。

 山もどんどん切り開いて、林道を何本もつくっている。住民のため……とぬかすが。


 株式会社日本の崩壊のシナリオ 10 漁業や魚がハックされる。

漁業は成長産業になりえるのか? わたしはなりえると思う。しかも、漁業は株式会社化できる。宮城県などでもやっているし、不可能ではない。

だが、売られた漁業は大失敗している。まあ、〝投機目的〟だから。

これからは漁業権を投資商品にする必要がある。築地から豊洲へ。だが、大事なのは漁業の卸市場の猥雑な制度の廃止だ。〝中継ぎ〟が多ければ多いほど値段も上がる。

もっといい知恵があるはずである。それこそビジネスチャンスがあるはずだ。考えろ!


株式会社日本の崩壊のシナリオ 11 どんなに働かせても合法……日本の労働者がハック。

「高度プロフェッショナル制度」(高プロ)は、年収「1075万円以上」の高額所得者を対象に、一か月に四日休ませれば、残り二十四時間フルに働かせても違法にはならない。

 だが、騙されてはいけない。厚生労働省のこの法案は、実は「1075万円以上」などという年収の上限などどこにも書いてはいないのだ。だから、実質年収100円以上でもOKだ。

 対象業種も自由裁量。年収制限も自由裁量。「時間ではなく成果で仕事を判断する」というが。当然、企業側は大賛成。だが、これは労働者側の意見が入っていない。

 政府の言う「女性が輝く社会」も、女性=外国人労働者、なのだとか。

 こういう利権に関わっているのが、経済学者でパソナ会長の竹中平蔵氏である。

 人のいい顔をして、売国奴並みに、日本をハゲタカ外資に切り売りしている。


 株式会社日本の崩壊のシナリオ 12 老後は誰に介護を受ける? 日本の介護がハック。

外国人労働者によって介護の人件費をカットし、もっともっと外国人労働者をじゃんじゃん遣い、「(いまだに知られていない)国家戦略特区」でも、いよいよ本丸の「移民五十万人」の解禁を狙っているのだとか。日本政府と竹中平蔵氏や安倍晋三氏、菅義偉氏の謀略である。


 株式会社日本の崩壊のシナリオ 13 ブラック企業を取り締まる労働署民営化。民営ハック。

改正国家戦略特区法。労働監督部門民営化。こうなると、いらない社員は陰湿にいじめたり、陰口や無視や嘲笑したりで、うつ病にして辞めさせればいい、となる。

 まあ、余りにひどいと自殺するし、裁判沙汰にもなる。だが、そんなのは氷山の一角であり、99%はうつ病になればそいつは嫌になって辞表を出す。それでいじめっこ社員は万々歳だ。こういう悪は、実は、日本の会社には実に多い。頻繁にある。


 株式会社日本の崩壊のシナリオ 14 (IR法)ギャンブルを民営化・経済発展!ハック。

カジノの民営化で経済発展を。日本人がターゲットだ。ギャンブルの資金はカジノが(高利で)貸します。ギャンブルは胴元が確実にもうかるから、主催者は笑いが止まらない。

 万博ついでに大阪でカジノ天国………その結果、大阪は世界のマネーロンダリングの天国になるだろう。


 株式会社日本の崩壊のシナリオ 15 公立学校の民営化。学校制度がハックされる。

またも改悪である。今度は学校制度や教育制度の民営化である。

まあ、当然ながら、アメリカからのオーダー(要求)で、アメリカ式の教育コンテンツや業者が参入できるように、法案が改正された。公立でも「バカロレア認定コース」「インターナショナルスクール式教育」「創造性発掘教育」………もう頭がおかしい。米国のポチ化。

「デジタル教育」は必要だが、あんな簡単なパズルゲームのような簡易プログラム(しかも日本語(笑))なんかで論理的な思考だの戦略的思考だの身につくことは絶対にない。

なめてるのか? なら、小学生にはあれでもいいが、中学高校ではサイバー技術やjavaやC言語のスクリプト(PC言語)や、ネットワークセキュリティを習わせるべきだ。

なら、ディベート授業も。発想力にはアイディア授業も。瞑想や禅も必要だ。

あの程度の遊びレベルのプログラム授業など、役に立たない。元・プログラマが断言する。

あと、近所の老人ホームや障碍者施設でのボランティア授業だ。青少年が犯罪行為をそこでしたら、少年院に入れればいい。「年少入って、俺は償った」と、青少年はいうだろうが。


 株式会社日本の崩壊のシナリオ 16 日本の医療を外国人も。医療がハックされる。

外国人でも日本に三か月以上滞在すれば、国保(国民皆保険制度)の恩恵が受けられる。

中国人はC型肝炎が多いらしいが、月455万円かかるのを国保制度で、月に2万円で済む。

また、外国人が病気で入院しても、治りかけに料金未払いで逃亡するケースも多く、回収できない分は、日本人の税金で補填するしかない。

 医療機器や薬は国民皆保険制度でカバーされるので、日本人は医療機械や薬がそれほど高額だとは思ってもいない。だから、薬漬け、でもある。

 こういうシステムは、アメリカでは考えられない。米国は医療費が高額であり、病気になったら貧乏ならまず助からない。命も金次第である。

 この日本の優れた医療体制・国民皆保険制度も、外国人に食い物にされている。このままでは破綻するしかない。

 お金があっても特別養護老人ホームはベッドが空いていても入れない可能性もある。

 何故に、介護職は人手不足なのか? これは「きつい、汚い、やすい」の3点セットであるからだ。介護職では、暴力や暴言は当たり前で、糞尿の処理に、時間も不規則で、サービス残業は当たり前。睡眠時間もほとんどなく、給料も安く、重労働……こんな仕事だれも望まない。だから、外国人労働者を介護職で、という厚生労働省の官僚が考えた。

 だが、外国人の介護職希望がゼロになり、「おかしいなあ」と首をひねる。

 至極、当たり前で、SNSなどで日本の介護職の「酷さ」を知っているからだ。だからと、ベトナムとかミャンマーとかラオスの片田舎からまで、介護職人材を招聘したりする。

 日本の介護会社は次々倒産している。だが、だからこそ介護ビジネスは投資商品でもある。

 外国人人材で難があるのは日本語でのコミュニケーション不足。これで、思わぬ事故や事件がある。だけど、日本人の上司や同僚には人材教育するだけの余裕もない。今後は、混合介護がやってくるだろう。


 株式会社日本の崩壊のシナリオ 17 サイバー攻撃。マイナンバー+LINE+運転免許。

                            情報がハックされる。

日本人は個人情報に寛容すぎる。自分の個人情報が洩れて流出したら、どれだけ悪用されるか。あまり、想像もしていないのではないか? だから、アカウントのIDとパスワードを使いまわしてしまう。できれば、サイトごとにIDはどうせメアドだろうが、パスワードは全部違うものにしてほしい。しかも、簡単に突破できないもののほうがいい。

 それにしても、マイナンバーカードを民間企業のLINEに委ねるのは危険がないだろうか? 韓国でさっそく情報流出だそうだが。

 まあ、韓国はハッキングが合法ですからね。

にしても、日本人は個人情報の危機意識が低すぎる。個人情報は資産であり、大事なお金と同じような価値がある。「個人情報」というのは資産であり、守るべき資産だ。


 株式会社日本の崩壊のシナリオ 18 日本では政治家は〝先生〟。良識政治家がハック。

イタリアでは元・お笑いタレントが政党をつくり、破竹の勢いであるとか。

 しかも、良識のある政治家の政党(「五つ星運動」)ができているという。

 日本では、政治家になるのは仕事を辞めて、背水の陣で、選挙を戦う。選挙で負けて、当選できなければ〝ただのひと〟で。再就職先さえない。

 だが、イタリアでは、供託金もないし、誰でも立候補の資格があるし、誰でも二期までで引退……立候補して敗れても再就職の先もある。というか、元の職場に戻れる。

 インターネットで立候補、選挙運動……難点は、同じ意見ばかりの仲間になること。

 だからこそ、イタリアの政治家は現場の声をきくようにしている。

 日本でもできるはずだ。できないわけがない。安倍だの、麻生だの、桜田だの、菅だの、

ああいう政治家はいらないんだよ。ルパンだって三世までだよ。

 上杉鷹山公のような政治家は、もう出てこないのか?せいぜい小泉進次郎や石破茂や河野太郎だけか? とにかく竹中平蔵氏だけは何とかしてほしい。日本国がおわってしまう。


 株式会社日本の崩壊のシナリオ 19 九十代の政治家が消費税廃止。消費税がハックされる。

マレーシアのマハティール首相(当時)が、任期時代(現在・引退)に消費税を廃止にした。

マレーシアにできて日本にできないことはない。消費税廃止は今様〝楽市楽座〟だ。

 外資に国を切り売りするな。輝いていた日本の経済大国時代の勢いを取り戻せ!

有機農業大国となり、自給率100%を目指せ! ロシアでやっていることだぞ。

種子を外国の外資に渡すな、命がけでブランドを守れ!

ハイブリッド種子開発で、農業大国へ! 水道は国営でいい。民間では無理だ。

自国の食料は自分たちで守ろう! 食育教育で農業安全思想と行動だ!

国民のほとんど八割は生協に加入しよう。金融危機だろうが最後は食糧戦略だ。


 株式会社日本の崩壊のシナリオ 20 子供を農薬から守れ! 健康がハックされる。

何故、これだけ〝食料アレルギー〟が多いのか? すべては残留農薬のせいだ。

「グリホサート」を食事から抹殺せよ! 子供を思う母親たちが立ち上がれ!

 やればできる! 今こそ、行動の時だ。

為せば成るなさねばならぬ何事もならぬはひとのなさぬなりけり、である。


  




インターネットで生活激変


「IT(情報技術)・デジタル革命」の時代である。

今や、スマホやコンピュータやインターネットがない暮らしや仕事は今や考えられない。

ITという概念が世の中に出たのは1999年、「IT革命」という言葉は若いわたしに「これからはインターネットだ」と、強烈な刺激を与えたのを思い出す。

NTTドコモの「iモード」や、続々とITべンチャー企業が生まれ、一世を風靡した。

楽土ITやyahooのオークションしかり、スマホゲーム、LINE、DeNA、ヒメオモン……

しかし、わたしたちがインフラのように利用するスマホネットのサービスのSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)は、フェイスブック(Facebook)、ツイッター(Twitter)、グーグル(Google)、インスタグラム(Instagram)など海外勢が多くを占める。

日本メーカーは、もうそこには見当たらない状況である。(よくてメルカリやペイペイ)

「日本の技術は世界一で、中国や韓国の製品はものまねだ」と思い込んでいたら、中国も韓国も世界ももっと先をいっていた。

スマホの次期の主役も研究が続く。音声入力の人工知能(AI)技術を活用し、音声認識で多彩なサービスを得られる「スマートスピーカー」。電化製品や自動車などあらゆるものがインターネットでつながる「IoT(インターネット・オブ・シングス)」商品が発売されている。自動運転自動車、水素モータリゼイション、宇宙ビジネス、仮想通貨、キャッシュレス社会、デジタル社会、新型コロナウイルスのような疾病へのAI対応、AIビジネス、3Dプリンター、LINE………

すでに「ポスト・スマホ」の模索も始まった。

インターネットの利用者は世界で1億人超、スマホの普及は71%と、爆発的である。

これからが勝負である。「ホワイトハッカー(正義のハッカー)」として。




最終章 ハッキング・ジャパン アンド ワールド

    HACKING JAPAN AND WORLD.





実際の話としてこの本題『ホワイトハッカー』は、いまだに発展途上である。

あまりに情報が不足しすぎる。だが、この先の道のりは編集部さんたちとの二人三脚でもあると思います。〝謎解き〝が完成した方もおられるでしょう。そう。

In case you didn’t know, I am not WHITE HACKER.

ということです。

確かに私自身、つまり、著作者自身が『天才ウィザード級ハッカー』ではないということです。もしかしたらハッカーでさえないのかも知れません(笑)

元・プログラマというのは嘘ではありません。

只、『伝説の天才ウィザード級ハッカー』という存在は『緑鷲直という架空の少女』の、冠、というか(笑)そんな存在は現実世界にはいないということです。

ですが、だからとてこの本が〝まがいもの〝ということでもありません。

 この書のタイトルの『ホワイトハッカーと『PRISM』と。~全世界監視社会とサイバー戦争の真実~』ということで、……〝伏線〟の〝回収〟ですが。

 確かに、正義の味方のホワイトハッカーという存在は大変にかっこよく、(あくまでイメージですが)英雄やヒーローのようです。ですが、もはや、現在は、個人が主役ではなく国家がサイバー空間の主役になってしまいました。

 漫画みたいな『伝説の天才ウィザード(魔法使い)級ホワイトハッカー』など存在しないとしても、ある程度の〝天才ハッカー〟は存在する。

 しかし、国家には世界各地に一日に数万件のサイバー攻撃が仕掛けられる。

 いかに天才のホワイトハッカーが一人だけいても、それでは対応しきれない。

 だからこそ、一人のホワイトハッカーではなく、凡才のハックテクでいいのでサイバー担当集団を数千人くらい育成しなければならない。たった一人の天才ハッカー(ホワイトハッカー)だけでは、スノーデンが暴いた米国の全世界監視ハッキングシステム『PRISM』の足下にも及ばない。

 まあ、サイバー戦争、というと映画スター・ウォーズみたいだが。

 一人の諸葛亮孔明よりも、三千人の一般(サイバー攻撃担当)兵士、だ。

 この書でいいたいのはそれである。

 日本政府も、米国の『PRISM』の日本国日本語劣化版を提供されたと聞くが。

 つかう日本の政治家や官僚が、あのレベルでは、お里が知れている。

 だが、若者や社会で一度挫折したひとたちには是非に、コンピュータのサイバー技術やプログラミングを学んで欲しい。絶対に、人生で役に立つ筈である。

情報や知識は大嘘ではないんです。是非、この書を、熱烈に歓迎応援をお願いしたい。

わたしの強みは歴史に詳しいこととパソコンの知識にくわしいこと。

いままで歴史大河小説や伝記小説をおもに執筆してきましたが、いまこそ得意なことを書いてみるべき、と思ったのです。

ならば、こういう書籍もあってもいいじゃないか、と。

また、自分こそ『ホワイトハッカー(WHITE HACKER)』なんだと。

すべてはこの日本の世界のPC世界の発展の為であるのです。

是非、バイブルとしてお読みください。そしてプログラム言語の専門書にも手を出して欲しいです。ゲームを作りながらプログラム言語を学べる本でも、なんでもいいとわたしは思います。すべてははじめの一歩です。

この書が「はじまり」でいいと思うんです。すべては、人生は、すべて勉強と努力次第ですから。

では。ハッピーハッキングライフ!!!


                       長尾 景虎   おわり。




参考文献

『徹底図解 パソコンのしくみ』OFFICE TAKASAKU新星出版社、『オープンソースワールド』川崎和哉篇著 翔泳社、『コンピュータはなぜ動くのか 知っておきたいハードウェア&ソフトウェアの基礎知識』矢沢久雄 日経BP社、『矢沢久雄のやさしいコンピュータ教室』矢沢久雄 日経BP社、『ゼロから知りたい! インターネットと自宅LANのしくみ』唯野司 技術理論社、『やさしいIT講座』米村貴裕 工学社、『クラウドの衝撃』城田真琴 東洋経済新報社、『ウィキペディア』、『ハッカーの学校』IPUSIRON著 DATAHOUSE社、雑誌『ハッカー・ジャパン』各号、『ファルコンのコンピュータハッキング』ファルコン著作 講談社、『ファルコンのモバイルハッキング』ファルコン著作 講談社、Wikipedia、他。

この研究書の土台は『ハッカーの学校』IPUSIRON著作、雑誌ハッカー・ジャパン2012年11月号・2004年5月号・2011年7月号・20112年3月号・ハッキングの達人(白夜書房)、漫画テレビドラマ『BLOODYMONDAY(ブラッディマンデイ)』(龍門諒原作・恵広史漫画 TBSテレビドラマ三浦春馬主演)と映画『デスノート L CHANGE THE WORLD』日本テレビドラマ『怪盗 山猫』、(映像)NHK『NHKスペシャルCYBER SHOCK』NHK『プロフェッショナル仕事の流儀(サイバーセキュリティ技術者・名和利男氏篇)』映画『スノーデン』『シチズンフォー スノーデンの暴露』、NHK『NHK番組・天才ハッカーICEMAN(マックス・バトラー篇)』、(単行本)『スノーデン・ファイル』著作ルーク・ハーティング(Luke Harding)三木俊哉・訳(日経BP社)、『サイバーセキュリティ』(NTT出版)、参考文献『新型コロナ』(ニュース情報+ウィキペディア)、『コロナ論』小林よしのり著作(扶桑社)、『(株)貧困大国アメリカ』『日本が売られる』『ルポ 貧困大国アメリカ』『ルポ 貧困大国アメリカⅡ』堤未果著作(岩波新書)、らのオマージュ作品です。物語の模倣ではなく、引用です。盗作ではありません。裁判とかは勘弁してください。


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サイバーセキュリティと『PRISM(プリズム)』と。ホワイトハッカーのすべて 長尾景虎 @garyou999

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