第6話

「どうした、顔、赤いけど」

水槽に戻った片口君が、改めて呼吸をしながら私を気にかける。


「な、なんでもない。私の恋人が、すっごく、命がけで……来てくれたから。嬉しかったの」


「かな子」



部屋に、水音が響き渡る。

二人を遮るものは、ない。


「愛してるよ」


「片口君」



ほら、ゆきえ。

私たちこんなに幸せなんだよ?


「……なぁ、目をそらすなよ」


なんて言われて、一糸纏わない姿の彼をちらりと見た。

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幸せな二人 たくひあい @aijiyoshi

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