投稿開始後

目が覚めると、10時になっていた。金曜の夜に追い込みで編集をしてしまったせいだろう。恒武は、目をこすりながら起き上がった。千聖は、休日出勤らしく、家にいなかった。

リビングに出ると、昨夜の残りのカレーと、自愛なさってくださいという置き手紙がテーブルに乗っている。

「投稿頻度を落とすべきか・・・。仕事を変えるべきか・・・」

カレーを食べながら、恒武は悩んだ。転職するにしても、動画活動を続けながらやれるのなんて、バイトぐらいだ。しかも、リーマンショックで経済不況である。バイトと千聖の稼ぎを足したとしても、今後生まれてくる子どもを養えると思えない。

「う〜む」

今の頻度は、気合で毎日投稿だ。10〜15分程度の動画をアップし続けている。気合でどうにかしているものだから、内容がとてつもなく薄い。

彼は、もんもんとしながらカレーを食べ終えた。

その日は、物凄く暇な土曜日だった。動画編集をしようという気にもなれなかった。

「俺って、だめな夫だな」

彼はふと思った。いきなり政治家になりたいと言い出し、体を壊すような無理な生活を続けて妻を心配させているのだ。しかも、妻は妊娠中で体を大事にしなければならない時期だ。

「反省しなあかんな。まず、投稿頻度を2週間に一度に落としてからの、ブログを始めようか」

体をいたわる計画にするはずだったが、かなりハードである。でもマシになるという感覚が恒武にはあった。





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