花すすき 🌾

花すすき 🌾

鶏頭の鶏冠のいくつ朝の雨

大窓を占める山並み竜田姫

秋草のおのれの影をあやまたず

川上犬さくら召されて古都は秋

秋晴の空にくわんぬきなかりけり

軽やかにペダルを踏みて秋を漕ぐ

秋風に押されにはとりととととと

新絹のやうなむかしもありにけり

子別れの鴉か道をあてどなく

もう誰も帰らぬ故郷花すすき

彫金の薔薇のブローチ古びたり

アルバムを開いて閉ぢて秋掃除

地虫鳴くオール選択全消去

秋簾取り外しつつ次のこと

夕刻に雁の使のすいと来る

しけ寒や珈琲の香の家中に

一代で終るもよけれ秋刀魚の目

飲食（おんじき）は愛しきものぞ鉦叩

背表紙のだんまり通す夜長かな

長月の屋根の雨おと夜もすがら