第7話 意外と綺麗が好き

 こんばんは。ロウです。


 今はたぶん深夜かな? こんな時間に起きちゃいました、赤ちゃんだからしかたないね。まあ、僕にとっては母ちゃんが来ないので、思いっきり魔法の練習ができる時間です。


 そういえば、たぶん一歳になりました。だいたい一年くらい経ったと思う。赤ちゃんだから寝てる時間が多いし、間違ってるかもしれないけどね。一応、季節は一周したと思う。去年の今頃は、レオンにいが収穫した野菜を見せに来てくれてたなぁ。



 言葉もすこし理解できるようになった。耳になじんできたのかな、いろいろ分かるようになってきた。まだ、行動範囲も狭いし、自分から質問ができないから、まだまだこれからだけどね。


 これはレオンにいのおかげだね。ほぼ毎日話してくれるから、似たような話が多い分同じ単語がでてくるから勉強になるんだよね。たぶん、家で育ててる野菜の名前とかかな? 実物がないからどれのこと言ってるかわからないけどね。レオンにいがやってる草取りとか水やりとか、あとは野菜の収穫とかの言葉はわかるようになった。


 家族のこともライアンにいは「らいあ」、父ちゃんは「とちゃ」、母ちゃんは「かちゃ」って呼んでる。最初に呼んだときはみんな喜んでくれた。


 言葉に関しては地道にやるしかないね。教会って言葉も実際に教会を指さしながら教会って言ってくれないと分からないよね。赤ちゃんへの読み聞かせって何歳からするのが普通なんだろう? この世界に絵本とかあるんだろうか? あっても農民の家でも持ってるんだろうか? それこそ教会で文字を教わるんだろうか?



 魔法もいろいろ成長したよ。生活魔法はあまり上手くいってないけどね。


 異世界魔法のテンプレであるクリーンってどうやるんだろう。あれってホコリとか消滅させてるよね? 強くない? 火で燃やしても灰が残るし、バラバラに分解してもなんか残るよね? 物質を魔力に変換してる? それはそれで難易度高そう。一応、やってみたけどね。無理だったね。そもそも、この世界では物質を魔力に変換なんてできるんだろうか? 僕が未熟なだけなのか? いろいろ考えてるんだけど手詰まりです。


 そのかわりに登場するのが我が相棒の異空庫ストレージ君です。そうです。いらないものは全部しまっちゃえばいいんです。

 あれから部屋のホコリをシューティングゲームのごとく一つずつ狙って収納してたんですが、明るくないとできないし、飽きてきたし、面倒なんです。最初は面白かったんだけどね。


 そこで新しい機能がこちら。エリアオート収納! やり方は簡単。まず、ターゲットの見本となるものを見本箱に収納します。ここでポイントは情報閲覧との合わせ技で名札付きで収納することです。あとは、ゴミ箱用の箱も用意しておきます。


 発動のイメージは範囲内のものを収納しようとすると異空庫ストレージの魔法でふれるので、そこで魔法でふれているものに情報閲覧して見本の中身と同じ名称だと収納して、名称が違ったら収納しないってやる感じ。


 発動すれば範囲内に存在する見本箱の中身と同じものをゴミ箱用の箱に収納してくれます。魔力を大量に消費するけどね。いい感じで魔力が鍛えられるし、部屋の空気も綺麗になるので一石二鳥だね。


 ゴミ箱のゴミはそのまま保管している。捨てる場所もないし、負荷があると魔法の成長にいいかもしれないし、ゴミ箱の大きさが足りなくなってきたら魔力を継ぎ足して大きくすればいいだけだからね。


 あとは汚れの見本箱にいろんな種類のものを入れておけばホコリだけじゃなく土汚れとかもまとめて綺麗にできるようなる。他の人にはいろいろばれるから使えないんだけどね。これで、付着物はどうにかなるんだけど、しみ込んだものは無理なんだ。まあ、これがクリーン代用品の限界かな? 部屋の掃除には充分だとおもうけどね。



 さて、今夜の魔法練習ですが生活魔法の光を使います。赤ちゃんサイズの光なんだけど、数は増やせるようになりました。今回は丁度良いのです。何をやるかというと、部屋に星空をつくります。プラネタリウムです。同じことずっとやってると飽きるからね。練習にも工夫が必要なんです。


 さっそく、天井に光を設置していきます。やり方は指先に天井にくっつくようにイメージしたちっちゃい光をつくった後、魔力を込めた指で光をつついて天井に飛ばします。これの繰り返しです。星座をつくろうとすると難易度アップです。


 何ということでしょう。さっきまで真っ暗なだけの部屋が星空へと大変身。見違えるような素晴らしい空間に早変わり。ところどころいびつな星座があるけど問題ないね。全部の星座を覚えてるわけじゃないから、ほとんどはオリジナルの星空。地球の星空は再現できないよ。


 いつかこっちの世界の星空もみてみたいな。旅の途中に野営しながら見る星空とかいいよね。

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