第108話

「だから…僕は東屋に行ける細道とその回りだけでいいと。都合のつく時に周りののびきった草木を綺麗にしてくれたら助かると伝えたんです。完璧に手入れをされた綺麗な庭先もいいけど…ちよっと草木が生い茂ってる方が秘密基地みたいでいいと思いませんか?」


あどけない少年のような笑顔で笑った。


こんな顔もなさるんだ…

いつも微笑みを絶やさない方だけど…


隼一の違う一面を見た気がした。


「…子どもっぽいですね」


隼一は恥ずかしそうに、ボソリと呟いた。


「いえ。素敵です。この東屋の雰囲気と合ってますっ」


楽しそうな笑みを浮かべたさゆりが隼一を見た。


ドキッ…。


隼一は鼓動が高鳴るのを感じた。

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