紫苑ーツイソウー✳完結✳

加納　隼(かのう　じゅんいち)は、かつて華族だった。

ある出来事(あやまち)をきっかけに町外れにあるレンガ造りの小さな教会の神父となり、静かに暮らしていた……。

その土地には加納家の別荘があり、1人の女性に恋焦がれ、愛するもあるその女性を失った場所でもあった……。
その出来事(あやまち)以来……隼一は1日も欠かすことなく懺悔をし続けていた。

そんなある日。
加納家に仕え、隼一の執事だった小暮　智哉(こぐれ　ともや)が1人の女性と共に隼一の元へと訪れる。

隼一は小暮との再会を懐かしく思う一方……小暮の側に佇み、紫苑の花束を抱える女性が今は亡き妻ーさゆりの実の姉ー九条(くじょう)　ゆかりと知った途端、動揺し取り乱してしまう……。

そんな隼一に対してゆかりは妹の死の真相を知りたいと申し出…続きを読む