東屋で……Ⅰ
第105話
さゆりは1人…風に吹かれていた。
ここは、いい…。
1人になれる。
誰も傍にいない…。
こんな場所があったなんて…。
偶然見つけた場所ー東屋だった。
東屋は、加納家の敷地内ー本宅から離れた奥の方に木々や草木がうっそうと生い茂る中にひっそりと隠れるように建てられていた。
約2畳分の広さがある東屋は、西洋風な建物だった。
屋根は赤いペンキで塗られた板張りのドーム型で、6本の木の柱で支えられていた。建物は六角形の形をしており、地面より一段高く作られている。
東屋の床は赤茶色のレンガが敷き詰められている。
中には、西洋風な造りの2人がけの長椅子と丸テープルが1つずつ置かれていた。
鉄パイプをつなぎ合わせ、椅子の形を造っている。背もたれの部分は半円になっており、肘掛けは丸みを帯びていた。
人が腰かける所と背もたれの部分には、柔らかな綿が使われており、手触りの良いツルッとした皮が貼られていた。とても座り心地の良い長椅子だ。
丸テープルも鉄パイプで形造られ、物を置く部分はタイルで装飾が施されていた。
さゆりは東屋の中に置かれた2人がけの長椅子に座り、ぼんやりと空を眺めていた。
時折、風が吹き…草木がざわざわと音を立てる。
さゆりの髪の毛や服の裾を揺らし、通り抜けてゆく…。
…心地よい。
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