「さっ…さっきニヤついてたのは？」

「…ニヤついてた？」

「…はい」

「それは…」

「嬉しかったから」

「えっ…」

「年頃だって言うのに、お前には浮いた話1つねぇ…。好きな人の話さえしねぇ…と、きたもんだ」

「雄助と気にしてたんだよ」

「俺には敵わねぇーが、見た目はそこそこいい」

「オイッ！」

新が雄助に突っ込む。

「お前よりも男前だ。その細っこい瞳開いて、よーく見ろっ！」

「ひでぇ…」

「本当のことだ」

「俺…傷ついた…」

「ハイハイ」

隣でしょぼくれる雄助を尻目に、新は話す。

「話がそれたな…。俺と雄助は、お前のこと弟のように思ってるんだ。小さい頃から苦労してる分、いい人…好きな人と一緒になって幸せになってほしいって思ってんだよ。そんな時、お前の様子が変で何事かと心配になって…後つけてみたら…」

新は嬉しそうに口許を緩めた。

「ちゃんと、いるじゃん。…大切な人だろ？」

「えっ…」

ドキッとする孝直。

「大事にしろよ。想い合ってる者同士、一緒になれるってことは、とても素敵なことだぞ」

さっきまで、しょぼくれていた雄助が話に割り込んできた。

「…お前…いい頃合いで入ってくんなっ！　いいとこ取りかよっ!!」

「おーよ」

ニカッとドヤ顔で笑う。

新は「…こいつ…」と、言うものの、笑っていた。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい