第48話

「…ばっばか野郎! 声がデカイッ!!」


「いてっ」


軽く、雄助にどつかれた。


「何でもないっす。何でもっ!」


新は、作り笑いを浮かべながら、必死にごまかそうとした。


「…せっ、先輩達は俺が教会から出てくるまで、隠れて見ていたんですか?」


孝直は机に視線を落とし、ボソリと呟いた。少しふてくされた表情だ。


「いいや。そーんな趣味の悪いことはしねぇーよ」


…人の後をコソコソつけるのも十分…同じことだと、孝直は思った。

自分のことを心配してのことだが…。


「お嬢さんが教会に入ったとこで、帰ったよ」


「そうそう。あの、慌てよう…2人の邪魔しちゃ悪いじゃん」


俺達、気が利く先輩だよなーと、二人で見合った。


…って、ことは見られてないって…ことだよなっ…?

良かった~。もし…見られていたら…。


想像するだけで、ゾッとする。

雄助と新に面白がられ、からかわれるだけだ…。当分は、2人のやりとりのことを言われるに決まっている。

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