第46話
「なぁ…孝直」
クッと1口酒を飲んでから、雄助は真剣な顔で孝直に訊ねた。
その声は、大声で喋る周りの客達の声にかき消されそうだった。
ここは大衆酒場。
仕事帰りの男達が、こぞって集まり、酒を呑みかわしていた。所狭しと置かれた机と椅子はどこも埋まっており、それぞれの机で大騒ぎしていた。
孝直も仕事の先輩に誘われ、よく来る場所だ。ここでは、お酒以外にも安くて、美味しいつまみや定食もあるので、1人暮らしの孝直は、自炊もするが夕御飯を食べるのにももってこいの場所だった。
いつもとは違う雄助の雰囲気に孝直は背筋を正す。
「どこであんな可愛い人と出会ったんだ?」
「ーっ!?」
思いもよらぬことを聞かれ、孝直は驚きを隠せない。
机を挟んで正面に座っている大工仕事の先輩の顔を交互に見やる。
孝直から見て、右側に座っているのが、
背丈が高く、ガッチリとした体格で色黒の肌。無造作に伸ばした髪を後ろで1本に結び、細く鋭い瞳が印象的な青年である。
左側に座っているのが、
雄助よりも一回り身体が小さく、ツンツン頭の短髪。眉は細く、くりっとした瞳。小さい頃に怪我をしたという左頬は、頬から顎にかけて深い傷が残っていて、隠している。
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