第43話

「えっ…」


さゆりの細い指先が孝直の頬に触れる。

孝直は目を見開いた。


「…っ…」


「……」


重なる瞳…。


…キレイ…。


孝直のやや茶色がかった瞳は澄んでいて、さゆりはキレイだと思った。


「…り…?」


「…っ…」


「…さゆり?」


孝直は少し困った顔で、さゆりを見ていた。


「ーっ!!」


「…どうか、した…?」


「ごっ、ごめんなさいっ!!」


孝直の声に…さゆりは我に返る。


自分の状況を理解し、顔が真っ赤になる。

慌てて、孝直の身体からだから離れた…。


…なんてことを…絶対…変な人って思われた…。


顔を両手で覆い隠しながら、自分がしてしまったことを後悔する。


…どうしよう…どうしたらいいの…?


さゆりは動揺し、耳まで真っ赤に染めながら、しどろもどろに言葉を紡いだ。


「あっ…あのね」


「うん」


「ひっ、瞳の色がねっ」


「うん」


「やや茶色でキレイだなーって。髪の毛と同じ色で…だからっ…みっ…見とれて…」


それ以上、孝直を直視できず、さゆりは俯いた。


「……」


孝直の言葉はなく、さゆりは不安にかられた。


…呆れてる…?

それとも…別の理由が…?


ゆっくりと視線を孝直に向ける。

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