第42話

ドンッ!!


飛び込んできた人物と孝直は派手にぶつかった。


「うわっ!?」


「きゃっ!?」


ぶつかった瞬間…よろける人物に手を伸ばし、咄嗟に孝直は怪我をしないように庇い、一緒に床へと倒れ込む。


「…いてっ…」


尻もちをついた孝直は痛みをこらえながら、状況を把握しようと周りを見回す。


「…っ…」


さゆりは人の温もりを感じた。

それもそのはず、さやりは孝直の胸に身体からだを預けるような形ですっぽりおさまっていた。


「…さっ、ゆり…!?」


聞き覚えるある優しい声にドキッとする。

さゆりは声のした方へゆっくりと視線を向けた。


「…孝…直…さん…」


「大丈夫?」


心配そうにさゆりの顔を覗きこむ。

コクリと頷く。


「…良かった…」


孝直はホッと胸をなでおろした。


トクンッ…。


切なさがさゆりの胸を打つ。


やっと…会えた…。


「…っ…」


さゆりは憂いを帯びた瞳で孝直を見つめながら、そっと手を伸ばす。

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