第34話

孝直は農家の息子であり、5人兄妹の2番目ー次男になる。


小さい頃から、本を読むことが好きで、学校にも通いたかったが、暮らしは楽ではなく、両親は申し訳ないと思いつつも…学校や本を読む時間があるなら、もっと家のことを手伝いなさいと言っていた。


孝直は小言を言われないように少しの時間を作っては、教会へと通っていた。さっと本を選び、家へ飛んで帰る生活をしていた。


学校に通えなかったので…読めない文字は後日、また時間が出来てから神父に聞いていたので、1冊の本を読み終えるまでかなりの時間がかかった。


兄が出稼ぎに行っていたこともあり、青年になった孝直は、妹や弟も家の手伝いが出来るようになった頃、大工見習いとして稼ぎに出るようになった。

それでも時間があれば家のことを手伝うため、実家に足を運んでいた。

仕事と農家の手伝いの合間に教会へ本を借りに行くという生活を送っていた。


さゆりも孝直もお互いに知っているのは、名前だけだった。

それぞれが抱えている事情は相手に、詳しく話していなかった。

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