回想 幼き日の記憶
第23話
ゆかりの自室の窓辺に2人がけのソファーが置いてあった。
子ども2人が余裕で座れるソファーにゆかりとさゆりは腰かけ、外国のことを子ども向けに書いた1冊の本を二人で仲良く見ていた。
「これ、なーに?」
さゆりは、1枚の挿し絵を指差し、ゆかりに聞いた。
「これは、教会よ。神さまにお祈りを捧げる場所なの。教会はね、神さまにお祈りが通じるように屋根が天に向かってとっても高く建てられているそうよ」
「神さまに…お祈り…?」
「そう。お願い事が叶いますように…って、お祈りする場所よ」
「…お願い事…」
ポツリとさゆりは呟く。
ゆかりは人差し指を顎にあてながら、天井を見上げた。えっ…と、と考え込む。
「…この町にも小さいけれど…教会があるって…聞いたことがあるわ」
「ほんと?」
「えぇ、確か…」
「じゃ、行ってくるね」
「えっ?」
ゆかりは、びっくりする。
「お姉様の身体が良くなるように…。家族みんなで、一緒に暮らせますように…って、お祈りしてくるね」
「…さゆり…」
「よいしょっと…」
さゆりは、ぴょんと、ソファーから降りる。
「えっ? ちょっ…ちょっと…!」
さゆりはそのまま、部屋を飛び出して行ったー…。
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