時間(とき)は流れ……Ⅱ

第18話

…はっ、恥ずかしすぎるっ!!

もーバカ、バカっ!!


うたた寝してしまうなんて…しかも、知らない男の人に肩を借りて寝続けるなんて…。


その光景を思い出し、さゆりの顔はさらに真っ赤になる。


バタンっ!!


勢い良く扉を開け、すぐさま閉める。


窓辺に置いたソファーに座って、刺繍をしていたゆかりは、ビクッとなった。


「なっ…何!?」


さゆりのただならぬ様子にゆかりは慌てて、針を布にさし、乱雑に傍にある小さな丸い机に布を置いた。


「どうかしたの…!?」


さゆりは俯いたまま、ツカツカと足早に歩き、ゆかりの隣に腰を下ろした。

ぎゅっとゆかりの手を両手で握り締めながら、ボソボソと呟く。


「…う…」


「えっ?」


「…どうしよう…」


その声はあまりにも小さく、聞き取りにくい。ゆかりはどうしたらいいのか分からず、戸惑う。


「一体、何があったの?」


優しく語りかける。


「……」


「ねぇ…さゆり…」


さゆりに握り締められた手をほどき、ゆかりは自分の手でさゆりの手を包み込む。

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