第16話
「僕は、教会の隣の建物にいますから。何かあったら、声をかけて下さい」
「はい」
再び、孝直はペコリと頭を下げた。
神父は1階へと続く階段を降りて行った。
ちらっと外を見やる。
本を少し読んでから帰ろう…。
孝直は、1冊の本を手に取り、1階へと向かった。
2階から1階に降りる階段は、教会の十字架を正面に見て、左側に小さな扉が奥の方にひっそりとある。
一見、正面からは見えにくく、人が急に現れたように感じ、少しびっくりしてしまう。
…あっ…。
いつものお気に入りの場所ー1番前の左側の長椅子には、先客ー女性が1人座っていた。
コクコクと船をこぎ、気持ち良さそうに眠っている。
グラッ…。
大きく身体が傾く。
あっ…。
孝直は走り出し、手を伸ばす。
ガシッ!
…よっ…良かった…。
ふぅーと安堵の息を吐く。
長椅子から落ちてしまいそうだった女性を寸前のところで抱きとめる。
よほど疲れているのか…それとも、心地よい日差しのせいなのか…女性は起きない。
…どうしよう…。
このままの態勢でいるのは、あまりにも不自然すぎる…。
孝直は、悩んだ挙げ句…自分の身体に寄りかかるように肩を貸した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます