第二章 逢

幼き頃に……

第11話

町外れにひっそりと小さな教会が建っている。

レンガ造りの2階建てで、1階が教会で、2階は神父が趣味で集めている本がきちんと本棚に所狭しと並べられていた。誰でも入ることができ、本を無料で借りることが出来る。


ぽかぽかと暖かな日差しが降り注ぐ午後ー…。


ギィィ…。


少し重さのある両開きの扉の片方がゆっくりと開いた。

開いた隙間から、ひょっこりと顔を覗かせる少女ー九条くじょう さゆりは中を見回す。


教会は、木製の長椅子が規則正しく左右に分かれて、置かれていた。その中央は人が通れるようになっており、正面には大きな木製の十字架がある。


建物の窓はどれも大きく、たくさんの日差しを取り込む造りになっていた。


十字架の後ろには一際大きな窓があり、ステンドグラスの装飾が施されていた。それは、愛おしそうに赤子のイエス・キリスト様を抱く聖母マリア様が描かれていた。日の光を浴び、彩られたステンドグラスがキラキラと輝いていた。


うわー。

キレイ…。


キラキラと輝くステンドグラスに心奪われたさゆりは、バッチリとした二重の大きな瞳をさらに大きくさせ、ゆっくりと一歩、中へと足を踏み入れる。

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