第6話

それから……ゆっくりと1つ、息を吐いて視線を隼一に向けた。


「私がここに来たのは……直接謝って頂きたいからではありません」


「えっ……」


さゆりの言葉に隼一は戸惑った……。


……では、何故ここに?


さゆりが自分の下へとここを訪れた理由が隼一には全く分からなかった……。


「……知りたいのです……」


「……?」


「あの時、何があったのか……真実が知りたいっ……」


「ーーっ……」


……真……実……。


瞬時に隼一の脳裏に甦る記憶かこ

それはとても色鮮やかで数年が立っているにも関わらず……昨日のことのようにハッキリと思い起こされていた。


鼓動は早くなり、さっきよりもさらに大きく耳に鳴り響く。


身体からだの震えが酷くなり……止まらないっ……!

足元がおぼつかず、その場に崩れる。


「隼一様っ!?」


「加納様……!?」


小暮は隼一に駆け寄った。


ゆかりも隼一の側に行こうと杖を持ち直した時……小暮が手で止まるよう示した。

まるでその場にいて下さいと、目で訴えているかのようだった。


隼一は息が荒くなり、上下に肩が激しく揺れ、頭を抱え込み、唸った……。


「……っ……」


記憶かこの1場面、1場面が鮮やかに脳裏を駆け巡る。


そこに現れる1人の女性……。


君の笑顔

心地よい声

紡がれる言葉

倒れ込む姿

そして……

飛び散る深紅の血しぶき……


「うっわーー!!」


隼一は頭を抱え込んだまま、叫んだ。

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