第4話

……花だ。

きっと……紫苑の花のせいだ……。

あの小さな花束が切ない想いにさせ、痛みを伴わせているんだ……。


「……どうかされましたか?」


「……」


隼一の態度が気になり、ゆかりじょせいは声をかけた。


「あっ……いやっ……」


「……?」


「そのっ……花束が……」


「あぁ、紫苑というお花です。小さくて可愛らしいお花でしょ?」


柔らかな微笑みを浮かべながら、ゆかりじょせいは隼一に花束を差し出す。


薄紫色の小さな花……。


……確か……貴女きみも……。


トクンッ……。


さらに隼一の胸を切ない想いが強くなり、懐かしいさと共に哀しみが駆け巡った……。


「ーーっ……」


「この……紫苑の花は、妹が好きなお花……でした……」


「……妹……さん……が……」


「えぇ」


ゆかりじょせいは優しく花束を見つめた。


「ーーっ……!」


その顔は少し哀しそうに隼一には見えた。


「あっ……失礼致しました。わたくし九条くじょう ゆかり……と、申します」


……九、条……。


「ーーっ!?」


ドクンッ!!


隼一の鼓動が大きく胸を打つ。


九条くじょう さゆりの……姉です」

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