第31話
煌びやかで豪華な装飾を見る度に、緊張がどんどん増していく。
「顔が強ばってるよ」
「だ、だって……」
「せっかくの晴れ舞台なんだから、楽しまないと」
メイクを整え、白い基調としたドレスを身に纏うと、余計に現実味が湧いてくる。
そんな中、そんな事を言われても、この緊張感は簡単には拭えない。
鏡で自分の姿を見る度に、足が震える。
ジェードが近づいてきて、後ろから頬を撫でた。
「このまま攫ってしまいたい程、綺麗だよ」
鏡越しにまるで誘惑するような視線とぶつかり、初めての事に少しビクリとしてしまう。
「こらこら、執事君。人の嫁さんにちょっかい出すんじゃない」
ジェードから引き離され、大きな腕の中に収まる。
見上げると、グラウス様の優しい微笑みと目が合う。
「これは、失礼致しました。セレア様があまりにお綺麗だったもので」
そう笑うジェードの笑顔が何処か黒い気がする。
「しかし、こんなにも綺麗にしたのが他の男だと思うと、少々妬けますね」
苦笑した後、何ごともなかったかのように、いつも通り一礼して、ジェードが部屋を後にした。
「こりゃ、しっかり世界一幸せにしないと、執事君に埋められちまうな……」
はははと笑って、グラウス様が改めてこちらを見る。
「本当に綺麗だな……」
「グラウス様こそ、凄く素敵です。惚れ直してしまいました」
少し妖しく揺れた瞳に、体の芯がゾクリ甘く疼いた。
「これから式だってのに、いやらしい顔になってるな……」
「だって……グラウス様がっ……」
「ん? 俺のせいか?」
言いながら、グラウス様の手は、ドレスの上からお尻をやらしく揉みしだく。
彼の温度を覚えた体は、それだけで淫らに揺れる。
熱い息が口を出ると、密着している体を更に密着させて、縋るようにグラウス様にしがみつく。
「ったく……お前には敵わないな……」
「あっ……」
軽々と抱き上げられ、鏡台に座らされる。
シンプルなデザインのドレスが捲られ、下着がズラされた。
「まだ触ってもいないのに、凄い事になってるな……汚れないように、しっかり持ってろ……んっ……」
ドレスを抱きしめるように手繰り寄せて、外気に晒された下半身がヒヤリとしたのもつかの間、あっという間にまた簡単に抱き上げられ、何もせずに濡れたソコへ、一気にグラウス様の滾りが挿入された。
「ん、ふああぁあぁぁあっ!」
抱っこされた体勢で早速揺さぶられ、ドレスを強く抱きしめながら、夢中で快楽に溺れる。
「ふっ、んっ、はっ……ゃ、ぁ……」
「はぁっ、っ、声を抑えるその顔もっ……たまらないなっ……」
下から激しく突き上げられ、必死に声を抑えているのに、快感が強すぎてあまり意味をなさず、声が漏れ始める。
―――コンコンッ。
そんな中、扉がノックされ、肝が冷えた。なのに、グラウス様の動きが止まる事はなくて、中のいい部分ばかりを責め立てる。
「グラっ、ゃだっ……声出ちゃっ……ああぁっ……」
私の口からは、あられもない声が呆気なく放たれる。
「お取り込み中失礼致します。間もなく皆様お揃いになります。会場の皆様には前座を用意し、人払いもしましたが、出来るだけ早く済ませて頂きますように」
扉の外からジェードの声がし、足音が遠ざかって行く。
「ほんとにっ、執事君には脱帽だなっ……ぁ……」
「あっ、んっ、もっ……ダメっ……」
「なら、勿体ないがっ……執事君を怒らせるのも、癪だしなっ、んっ、はぁ……そろそろっ、終わらせるかなっ……」
軽く笑いながら、律動が激しさを増して、追い詰められていく。
「はあっ、セレアっ、くっ……好きだっ……んっ、はっ、あっ……愛してるっ……」
「ふっ、ぁっ、グラウス様っ、私、もっ……愛して、ますっ……ひ、ああああぁぁっ!」
二人で登り詰め、強く抱きしめ合う。
荒い呼吸をしながら、視線が交わり、微笑む。
「幸せに、なろう……二人で……」
「はい……」
唇が重なり、また笑った。
[完]
貧乏な私が裕福な悪女に転生してしまいましたが、溺愛もされているので残りの人生楽しみたいと思います【グラウス編】 柚美。 @yuzumi773
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