第42話
「もう、どこに行ってたのよ!」
その中でただひとり、メイはマックスの姿を見るや怒鳴りつけた。
けれどそれは、彼女なりに心配していたんだと私たちは知っている。
「…すまない」
きっとマックスもわかっていると思う。
マックスの言葉を聞いたメイはつり上げていた眉を、ふっと緩めて微笑んだ。
「…無事でよかったわ」
「…状況を教えてくれないか、メイ」
再会の喜びもそこそこに、スタスタとマックスは先頭に立つメイのもとへ歩いた。
「まったく、もう少しで完成だったのだがな」
魔道士は立ち上がると、モンスターを召喚した。
「見られたからには生きては帰さんぞ」
「グォオオオ」
「…説明、必要かしら?」
「ああ、よく分かった」
何もない場所からモンスターが生まれた様子を見ながら、彼らは武器を構える。残りのヒトは準備を整えていた。
タオも杖を取り出し、返して見ていると、
「あれ?
アンリ様?」
いつも戦いの前には杖のチェックを怠らないアンリ様が、珍しくボーっとしているのが気になって声をかけてみた。
「え、あ…。
ごめんなさい。安心してしまって…」
私が声をかけると、今気づいたというように驚いて誤魔化し笑いをした。
「…そうですね。マックスさんが無事でよかったです」
「ええ」
アンリはそこで話を切り上げて、遅れを取り戻すように杖の調子を確認した。
「よし、みんな行くぞ!」
メイとの話が終わるとマックス振り返り、全員を見回して声をかけた。それを合図に顔を引き締めて動き出す。
「タオ、行きましょう!」
「はい!アンリ様っ」
姫君と剣士 かねこかずき @kaneko507
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