第3話 ここを生息地とする


冴えない会社員だった俺、追い込みでエナドリとカフェイン錠剤のカクテルをキめたあとで倒れたっぽいところまでは覚えている。

それほどブラックでもなかったのだけど。


小説とかが好きでいつも創作を空想していた。


転生?召喚?生まれ変わりではなく呼び出されたのなら死体も残ってないのだろうか?


田舎から出て働いていたから親類縁者や友人も交友は薄くて、

俺が消えても失踪から自然消滅するのだろうな。


分からないことは考えても仕方ないか・・・


部屋にソファーを出現させ、横になりながら考える。


俺がルール係になった、この世界で出来ない事は存在しない、たぶん。


矛盾する事、例えば自分を暗殺するような何かを設定してもなんやかんやと都合よく収束するんだろうなと頭に浮かぶ。


なにか起こせば世界は玉突きのように変わっていく。

変わっていくのがわかってしまう。


めんどくさっ!余計なことはしないに限る。


自分の身体すら簡単に再構築できる。

神判で会った女神を思い出す、すぐに自分の姿も美女になった。

でもなんか負けた気がするので元に戻す。


とりあえず拠点を固めながらどうするか考えよう、ここを生息地にしよう。


快適にしたいが何でも出来るといってもいつも何でもしていたら疲れる、面倒くさい。

電気水道とかインフラが欲しい、適当にソーラー発電やら下水やらを創造構築する。


どうすれば何が出来るのかを作りながら検証していく。


住処はさっき出した八世帯の小さなアパート、これでいい、これがいい。

以前の通り二階角部屋に家具家電を揃える


「そこにそういうのがある」と、ある程度の概念を認識できればどんな物でも発生させられる事を確認する。

漫画全巻も生成できたが未完作品の新刊は出ない。


明らかに未来の物品は無理?まだ基準がよくわからんけどヨシ。


ネット環境は作れるのか、やりたくないから作らない。

やってはいけない事は、やりたくないと本能的に頭の中がささやく。

この感覚も世界のルールなのだろう。


投稿小説とかの続きが読めないのはちょっと悲しいが、既刊のものなら紙に出せる。

既刊の基準もまだ謎だがヨシ。


本が急に増え始めたので2階の一室を書庫にする。


厄介なのはこの拠点を隠す事、誰にも邪魔されたくない。

昔見た漫画で、拠点の塔を砂嵐や催眠マシンで隠しているのがあったから真似してみよう。


ぐるりと回りを嵐の壁にした、うるさいから遮音フィールドも挟む。

自然が無いのは寂しいけどとりあえずこれでいい、後の事は何か起きてから対処しよう。


映画を見ながら〇リーキャンプで運動をしたり、柿ピー食べながらビールを飲んだりして色々考える。

別に筋トレやダイエットしなくても理想的な体に再構築できるのだが、生前の怨念解消のためやってみたかった。

汗をかくってたぶん素晴らしい!

身体構造は基本的にあえて生前のままにしてあるのでちょっと楽しい。


この世界を「思い出す」

概要でいいのでざっくり頭に投影する。


よくある科学はイマイチで剣と魔法の世界。


魔術があって、亜人や魔物がいて、色々能力があるようでファンタジー的要素が盛沢山、

どうやら転生者・転移者も多数いて、勇者様やったり田舎暮らししたり色々の様だ。


さしあたり拠点の隣にある巨大帝国が、なんかローカル魔王みたいな何かといざこざを起こしている、

めんどうくさい事にならなければいいけど。



拠点で落ち着くと家事や整備がおっくうに感じる、施設設備や掃除にいちいち力を行使していては休まる暇もない。


召使いを作ろう。


とりあえず見栄えが良いメイドさん、上品な老女がいたから若い頃の姿をシミュレートして、肉体を再現。

可愛い衣装のメイドさんを目前に再現、自立制御をどうするか少し考え始めたその時…


「あぁあ!あれ?!あたくし起きれる?あれ死んでない?生きてる?」

「陛下!殿下!クロフェイド!リシャ!オミュナ!あれ?!いない?!」

「ここ何処?!なに?え?!なにこれ?!なに?!」


生成した女性が覚醒してパニくっている、俺まだ何もしてないのだけど。

うるさいので沈静化する。


「あなたどちら様ですの?ここはなんなのですか?」

落ち着いた女性が聞いて来る、さてどうした物か。


「とりあえずお前さんの身体は俺が作った、俺は神様か魔王みたいなモノと認識してもらえれば大丈夫」

「神?魔王?体を作るって・・・」


「今から説明するから落ち着いてね」


情報を整理して、必要な部分を

「かくかくしかじか、まるまるうまうまの術!」

相手の頭に手をかざし、適当に思いついた言葉を付けてちょっと気合を入れる。

実際に行ったのは相手の記憶に情報を植え付ける手続き。


「これでだいたい分かったと思う」


「あなたがその体で復活したのは、俺が召使いを作るにあたってあなたの若い頃を参考にしたからです、使い魔の様にするつもりでどういう頭脳にするか調整するため解放したところに、失礼ながらあまりにもちょうどお亡くなりになって繋がってしまい、こちらの身体で覚醒したのだと思います。」


「それでわたくしはどうなるのですか?」


「ここの家事をしながらのんびりしてくれればいいです、意志を持たれしまった相手を奴隷のようにはしたくありません」

「ここにいる間の生活と安全は完璧に保証します、将来の事はおいおい考えましょう」


「愛妾とかにしようと思ったのではなかったのですか。」

「それはない、あなたを参考にしたのは美しくて可愛いけど俺の趣味じゃなかったからです。仕事させている時に、変に手を出してしまうのを避けるために配慮しました。」


実際、背格好や色々な大きさとかを好みじゃないタイプで作った。


「趣味じゃないとか言われると、それはそれであまり気分の良いものではないですね」

「しかしわかりました、家事は下積み時代にみっちりやったので得意なんです。ここは自分も暮らす場所になりますからきっちりやらせていただきます。」


このあと、施設整備召使いは小型ロボみたいなゴーレムを多数作成した。

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本物の最強無敵神能力で異世界に来たけど何もしない タニヤマ南無 @taniyamatani

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