第91話

「昴でいいだろ」


―――すばる。


平然と言う男。

いやだから、それはナシだって⋯。




「できないよ、あなただけを特別扱いにできない」


「すればいいだろ」


「⋯何言ってるの?」


「しろよ」



先に階段を降りていく矢島君の顔が見えない。


どんな顔をしてるかさえ、分からない。




特別扱いしろって。


どういう意味が分かって言ってるの?



「できない」


「それって、教師の立場が危うくなるから?」


「え?」


「免許剥奪とかされんの?」



違う⋯。そんなんじゃない。

そういうことじゃない。

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